(読売新聞 2011年10月14日)
SFと西部劇が融合
西部のど真ん中にエイリアンが現れて、カウボーイと対決するという荒唐無稽なアイデアによって、伝統の西部劇を活性化することに成功している。
1873年、冷酷な牧場主が牛耳る西部の町に、名も知れぬ男がたどり着く。牧場主には出来の悪い息子がいて、男と親子は一触即発の状態に。型通りの展開だが、西部劇の味わいが久しぶりに心地よいなどと思っていると、突然、夜空にまばゆい光を放つ飛行物体が現れて、人間を襲い始める。見慣れた光景が、あっという間に変貌する。
以後、男と牧場主に、酒場の店主や先住民らが加わって、さらわれた人々を助ける旅が始まる。馬は走るが、追いかけの相手は飛行物体だし、モニュメント・バレーが映るが、渓谷に見えてくるのは金属製の基地だ。ダニエル・クレイグ演じる流れ者風の主人公=写真右=は、光線を放つ腕輪が武器だし、ハリソン・フォード演じる牧場主は、エイリアンを倒すために、カウボーイと共闘してしまう。
一見でたらめのようだが、違和感はない。西部劇の風情が損なわれていないのは驚きだ。作り手たちのしたたかな計算のせい、いや、映画愛のせいだろう。
担い手は、ジョン・ファブロー監督というより、製作にまわったスティーブン・スピルバーグとロン・ハワードだろう。スピルバーグのSF、冒険活劇とハワードの西部劇、家族劇。映画愛を共有する2人によって、ジャンルの壁はいとも簡単に超えられてしまったのである。1時間58分。有楽町・丸の内ピカデリーなど。(近藤孝)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/creview/20111014-OYT8T00588.htm
SFと西部劇が融合
西部のど真ん中にエイリアンが現れて、カウボーイと対決するという荒唐無稽なアイデアによって、伝統の西部劇を活性化することに成功している。
1873年、冷酷な牧場主が牛耳る西部の町に、名も知れぬ男がたどり着く。牧場主には出来の悪い息子がいて、男と親子は一触即発の状態に。型通りの展開だが、西部劇の味わいが久しぶりに心地よいなどと思っていると、突然、夜空にまばゆい光を放つ飛行物体が現れて、人間を襲い始める。見慣れた光景が、あっという間に変貌する。
以後、男と牧場主に、酒場の店主や先住民らが加わって、さらわれた人々を助ける旅が始まる。馬は走るが、追いかけの相手は飛行物体だし、モニュメント・バレーが映るが、渓谷に見えてくるのは金属製の基地だ。ダニエル・クレイグ演じる流れ者風の主人公=写真右=は、光線を放つ腕輪が武器だし、ハリソン・フォード演じる牧場主は、エイリアンを倒すために、カウボーイと共闘してしまう。
一見でたらめのようだが、違和感はない。西部劇の風情が損なわれていないのは驚きだ。作り手たちのしたたかな計算のせい、いや、映画愛のせいだろう。
担い手は、ジョン・ファブロー監督というより、製作にまわったスティーブン・スピルバーグとロン・ハワードだろう。スピルバーグのSF、冒険活劇とハワードの西部劇、家族劇。映画愛を共有する2人によって、ジャンルの壁はいとも簡単に超えられてしまったのである。1時間58分。有楽町・丸の内ピカデリーなど。(近藤孝)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/creview/20111014-OYT8T00588.htm