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神戸でメキシコ在住アーティストによる展覧会-日墨の移民と文化テーマに

2014-11-22 | 先住民族関連
神戸経済新聞-2014年11月21日
 海外移住と文化の交流センター(神戸市中央区山本通3)内の「CAP STUDIO Y3」(TEL 078-222-1003)で11月22日より、メキシコ在住アーティストによる展覧会「幻影、気配をとらえて」が開催される。
 駐日本メキシコ合衆国大使館、C.A.P.(特定非営利活動法人 芸術と計画会議)、メキシコ日本2014実行委員会が主催し、イベント「メキシコと日本 それぞれの視点 移民と文化変容」の一環で行われる同展覧会。「プログラム1」は、10月26日~11月1日に「交錯する文化-死者の日をとおして」と題してレクチャーとワークショップ中心に開催した。
 「プログラム2」となる今回は、現代のメキシコを代表する写真家のグラシエラ・イトゥルビデさんの写真作品をはじめ、メキシコ在住で美術家のはぎのみほさんと建築家のタロウ・ソリジャさんのメキシコにおける日本人移民と子孫を扱った作品など、メキシコ民俗文化と移民をテーマに展覧会と関連レクチャーを開く。
 C.A.P.担当者の下田展久さんは「2年前、メキシコ在住の日本人アーティスト・矢作隆一さんが来日した際の会話の中で、2014年の支倉常長400年と合わせて『日本とメキシコ、移民と文化の変容』というテーマが出てきた。そこから、いろいろなタイプのアーティストに参加いただくことになり、メキシコの大使館も一緒にこの企画を進めることになった。まさに2年越しの企画」と明かす。「メキシコは移民の国。そして現在の神戸も実はさまざまな国の人たちが集まり、多様な文化がミックスして形成されている。優れたアートを通して、またさまざまな立場の人の声に耳を傾け、文化のミックスを積極的に受け止める機会にしたい」とも。
 1970年代からメキシコの先住民族、地方共同体の宗教儀式や生活を独自の視点で撮影してきたグラシエラ・イトゥルビデさんの写真展「仮面と儀式」は、独特な詩情と対象との間合いが映っているイトゥルビデさんの膨大な作品から選び抜いた代表作を展示。はぎのさんとソリジャさんによる「きおくのなかのくに」は、アメリカ大陸へ渡った日本人移民とその子孫が、家族から何を学び何を継承して来たかがテーマ。2008年から2013年までの5年間、忘れられつつある日本人移民の中で継承してきたことに視点を絞り、メキシコ各地を巡り制作した写真・言葉・ビデオから成り立つ総合作品を紹介する。
 神戸には初めて来たというイトゥルビデさんは「神戸の皆さんに私の作品を見ていただけるのをうれしく、とても楽しみにしている」と話し、はぎのみほさんは「メキシコの文化や移民のことなどを深く紹介するのはなかなか難しいと思うので、このような機会を頂けて本当にうれしい」と話した。ソリジャさんは「今回は、神戸に滞在しながら作品を制作することがメーンで、それに合わせて僕らの活動を展覧会とトークを通じて伝えたいと思っている。ぜひ多くの方にお越しいただきたい」と来場を呼び掛ける。
 初日には、はぎのさんとソリジャさんによる「きおくのなかのくに」についてのトーク(15時~)、イトゥルビデさんのトーク(16時30分~)も行われる。今月28日には、ソリジャさんによる講演「DREAM HOUSE -アメリカへ移民するメキシコ人と建築」(19時~)、イトゥルビデと写真家の畠山直哉さんの対談(20時~)なども予定する。
 開催時間は10時~19時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場無料。12月28日まで。
http://kobe.keizai.biz/headline/1914/

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キャンパる・なにコレ!?:札幌大ウレシパ奨学金 アイヌ民族に進学の道

2014-11-22 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2014年11月22日(土)
 今年3月、北嶋由紀さん(41)は、札幌大学の卒業式に自作のアイヌ民族衣装で出席した。手芸が好きで「縫い物をしているときは神様が見守っていると聞いたことがあるんですよ。完成するのは神様に好かれているからだって」と話す。
 北嶋さんは2010年4月、36歳の時に、新聞記事で知った「ウレシパ奨学金」を利用して札幌大の門をたたいた。「ウレシパ」とはアイヌ語で「育て合い」を意味する。同大文化学部が、アイヌ民族のために同年度から設けた返済不要の奨学金制度で20万円の入学金と授業料(年間77万円)を給付する。
 北海道が5月に発表した調査によると、道全体の大学進学率が43・0%だったのに対しアイヌ民族は25・8%。アイヌの人々は、近代化の中で独自の文化を奪われ抑圧された歴史を持つ。差別や格差の問題は、現在の生活になお影響している。北嶋さんの母や祖母も、子供を差別から守るためアイヌであることを隠すように言い、大人になるまで隠していた。大学進学は、経済的事情を理由に小学生の頃からあきらめていた。
 ウレシパ奨学金制度を提案・導入したのは、アイヌ文化を専門に教える文化学部教授の本田優子さん。アイヌ民族の大学進学の道を開くとともに、アイヌ文化を学ぶ場を提供する目的がある。
 不況のあおりを受け、学費未納で退学を余儀なくされる一般学生も多いなか、学内からは「アイヌ民族の学生だけ特別扱いするのは逆差別だ」という批判もあった。本田さんは、理解を得るためにシンポジウムを開催するなど尽力した。
 努力が報われ、10年4月、ウレシパ奨学金第1期生6人の入学が決まった。社会人だった北嶋さんもその一人。「もっと奨学金制度を利用してくれる人が増えてほしい」と期待する。初年度以来、受験者が募集定員の6人に達しておらず、認知度の向上など課題は残る。
 現在、ウレシパ奨学生は11人。アイヌ語やアイヌ文化を積極的に学ぶほか、文化伝承保存活動としてイベントの企画運営なども必須となっている。奨学生の一人、4年生の竹内隼人さん(22)は、さまざまなイベントで、踊りを披露するだけではなく、絵本を読み聞かせるなど、何事にも挑戦する大切さを学んだ。「卒業後は、アイヌ文化をいろんな人に発信できる仕事に携わっていきたい」と夢を語った。
 北嶋さんは「私はアイヌ民族として生きることを選んだ。アイヌのことをもっと知って、自分たちの文化を学べる場を作りたい」と話した。【専修大・瀬戸麻理乃、写真は国学院大・小野田愛美】
http://mainichi.jp/shimen/news/m20141121dde012070038000c.html

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木が宿す時間と命、形に 床ヌブリさんが残した作品  ピヤラ アイヌ民族の今

2014-11-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞 (2014/11/11)
異彩放つ「彫らない」表現
 10月上旬に77歳で亡くなった床ヌブリさん(釧路市阿寒町阿寒湖温泉)はアイヌ民族の彫刻家の第一人者。シマフクロウや抽象作品でアイヌ民族の心を豊かに表現した。釧路市内にも多彩な作品が残る。一部を紹介する。(斉藤直史)

 アイヌ民族の守り神シマフクロウの彫刻作りは床さんが先駆けだ。「コタン・コロ・カムイ」など穏やかさと鋭さを兼ね備えた作品を多く手がけた。道立帯広美術館の五十嵐聡美学芸課長(50)は「木と対話し、木が蓄えてきた時間や宿っている命を生かして制作している。一見粗削りで未完成に見えても、作品として成立している床さんにしか表現できない世界観があった」と語る。
 「ユーカラ クル」(アイヌ物語の語り部)も異彩を放つ。ニレの埋もれ木を材料に彫る部分をできるだけ少なくして原木の質感を生かした。床さんの長男、州生(しゅうせい)さん(48)は「月日を重ねるにつれ、彫らずに表現するようになった。彫る時間より考える時間の方が長かったかもしれない」。
 釧路市立博物館に保管されている「カムイ・ミンタラ」は縦2メートル、横6メートルのレリーフで、神々が遊ぶ庭を表現した。別の作品の制作を手伝った弟の明さん(70)は「繊細な作業は譲らず、必ず自分でした。寡黙に集中して彫る姿が印象的だった」。
 1990年には釧路市の姉妹都市カナダ・バーナビー市の公園にカナダ杉約150本を使った高さ20メートルの木彫群15基を完成させた。当時のバーナビー市長に協力を依頼するなど尽力した元釧路市議の張江悌治さん(80)は「計画は床さんのひらめきで始まった。バーナビー市が作業所や宿泊場所などを援助してくれた」と振り返る。
 床さんは68年にユーカラ劇の「阿寒湖ユーカラ座」を結成。76年にパリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部での公演を実現し、演出や監督を務めた。ともに公演に携わった友人の千家盛雄さん(74)は「出演者に物語を丁寧に説明して理解してもらっていた。衣装やストーリーの設定など夜通し話をしたのが懐かしい」と惜しんだ。
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/piyar/249928.html

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