トリップエディター2022/09/07
固有の文化を持ち、自然とともに生きる「アイヌ民族」。自然のすべてに神様(カムイ)が宿り、自然に感謝して生きるという先住民族の守ってきた文化は、発展した現代だからこそ知っておきたい魅力でいっぱい。
なかでも北海道には、アイヌ文化に触れることのできる観光スポットがたくさんあります。日本最北の北海道の地で育まれたアイヌ文化に触れると、自然への感謝を改めて感じることができるはず。今回は、アイヌ文化を学ぶことができるスポットをご紹介していきます。
目次
1ウポポイ(民族共生象徴空間)
2平取町立二風谷アイヌ文化博物館
3阿寒湖アイヌコタン
4北海道博物館
5川村カ子トアイヌ記念館
6旭川市博物館
7神居古潭
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
ウポポイ(民族共生象徴空間)
アイヌ語で「(大勢で)歌うこと」の意味を持つ「ウポポイ」と名付けられたナショナルセンターは、アイヌ文化の継承と復興・創造の拠点となる施設です。
2020年にオープンしたばかりの同所は、アイヌ文化に触れることのできる施設のなかでは、もっとも巨大で充実した体験ができる大注目のスポット。
アイヌ民族の視点でアイヌ文化を紐解く「国立アイヌ民族博物館」や、伝統工芸・民族舞踊を通してアイヌ文化に触れる「国立民族共生公園」、アイヌ料理のレストランや慰霊施設などが一緒になった、見るだけでなく体験できる施設です。
平取町立二風谷アイヌ文化博物館
展示の充実度がとても高く、アイヌ文化を学ぶのには欠かせないのが、沙流郡平取町にある「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」です。
アイヌ文化を研究し、アイヌ文化の保護に努めた萱野茂氏が初代館長をつとめた博物館で、展示品の豊富さや専門性の高さは折り紙付き。
衣服、食生活、生産や産業、住生活、遊戯、信仰にいたるまで、ありとあらゆるアイヌの文化品が展示されており、アイヌの人々の生活や信仰、考え方を学ぶことができますよ。
また、予約制で体験学習も可能(※ムックリ制作は当面の間休止、刺繍は2022年度受け入れていません/2022年9月2日時点)。
木彫りでムックリを作ったり、アイヌ舞踊を習ったりと本格的な博物館ならではの体験が用意されています。再開されたらぜひ体験してみたいですね。
平取町立二風谷アイヌ文化博物館 北海道沙流郡平取町二風谷55 公式サイト
阿寒湖アイヌコタン
美しい阿寒湖のほとり、アイヌの人々が暮らす日本で最も大きな集落が「阿寒湖アイヌコタン」です。
「コタン」という言葉はアイヌ語で「集落」の意味。阿寒湖にあるアイヌの集落では約120人の人々が、アイヌの伝統工芸品や文化を守り、訪れる人々に広めながら暮らしています。
かつてのアイヌの民家を再現した家々が立ち並ぶ通りは自然と同化しているような、どこか懐かしい佇まい。
ウッドアクセサリーや美しいアイヌ刺繍の工芸品店、目新しいアイヌ料理店が並ぶ通りを抜けると、アイヌの生活用品や衣類などを集めた小さな記念館もあります。自然とともに暮らしたアイヌの人々の貴重な体験ができる施設ですよ。
阿寒湖アイヌコタン 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目7-19 公式サイト
北海道博物館
北海道の自然や歴史とともに、アイヌ文化を学ぶのにぴったりなのが、札幌市にある「北海道博物館」です。
アイヌ文化に特化した博物館ではありませんが、北海道と先住民族であるアイヌ民族の歴史や関係を知り、どのように今日まで文化が守られてきたのかなどを学ぶことができます。
映像や展示品、パネルを駆使して北海道の開拓の様子からアイヌとの関わり、歴史をしっかりと学べます。
北海道の開拓により打撃を受けたアイヌ文化。目の当たりにするのはつらい事実も多くありますが、大人がじっくり学べる情報量の多い博物館です。アイヌの文化を目で見て、聞いて、触れることのできる博物館です。
北海道博物館 北海道札幌市厚別区厚別町小野幌53-2 公式サイト
川村カ子トアイヌ記念館
旭川市を訪れるのなら、ぜひ足を運びたいのが「川村カ子トアイヌ記念館」です。日本で最古のアイヌ博物館で、唯一の私設博物館です。
開館は1916(大正5)年、100年以上の歴史を持つ博物館は自宅を公開する形で始まりました。このころアイヌの人々が暮らした地域に本土からの和人が増え、好奇の目にさらされることが多かったといいます。そんなアイヌの人々の心の支え、文化を守る砦となったのがこの記念館です。
小さな記念館ではありますが、約500点以上の展示品が見られます。その多くは館長の川村カ子ト氏が収集したものなんだとか。アイヌ文化のぬくもりを感じられるような素朴であたたかな展示を見学しましょう。
川村カ子トアイヌ記念館 北海道旭川市北門町11丁目 公式サイト
旭川市博物館
人気漫画『ゴールデンカムイ』の聖地として知られ、近年人気が高まっているのが「旭川市博物館」です。筆者が訪れた際は、同作に登場するアイヌの少女アシリパさんのパネルなども設置してあり、記念撮影をする方の姿を多く見かけました。
そんな旭川市博物館は、アイヌの人々の暮らしが等身大の人形を使いリアルに再現されています。
文字や写真ではイメージし難い部分もしっかり再現されており、アイヌ文化をより身近に感じることも。貴重なアイヌ文字の展示もされているのでぜひ注目してみましょう。
旭川市博物館 北海道旭川市神楽3条7丁目1-45 旭川市公式サイト
神居古潭
博物館やテーマパークでアイヌの文化を学んだ後は、アイヌの人々の聖地へと足を運んでみましょう。アイヌ語で「神様の住む場所」という意味を持つ「神居古潭(カムイコタン)」は、旭川を代表する景勝地のひとつです。
アイヌの人々にとってこの神居古潭は畏怖の対象でした。険しい自然のなか、石狩川を船で進んでいくのは命の危険と隣り合わせ。神様に祈りを捧げながら通るべき場所だったのです。
現在の神居古潭は木製の「神居大橋」がかけられ、その端から絶景が見られる景勝地として知られています。
神居古潭(カムイコタン) 北海道旭川市神居町神居古潭 公式サイト
自然に神様の姿を重ね、生きてきたアイヌの人々。その貴重な文化に触れられるのは北海道旅行の大きな醍醐味です。
あたたかなアイヌ文化に触れ、継承していくことの難しさや大切さを感じる少し知的な大人の旅へぜひ出かけてみませんか。
https://tripeditor.com/448164