恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

2023/07/04 四の日昼席

2023年07月04日 | 噺とか
6月はまるまる落語を聞けず、
久しぶりに足を運んだのが四の日昼席。
相変わらずの盛況ぶりでほぼ満席でした。
悔やむべくは最近の値上がりで、
2000円が2500円になったこと。
少し割高感がありますが、
出演者を見ると納得かなぁと。

鮑のし        文菊
初音の鼓       やまと
厩火事        馬石
−仲入り−
ひろしのおっかけ音頭 駒治
井戸の茶碗      左橋

開口一番は文菊師匠。
奥様から「執着を捨てなさい」と言われ、
冷蔵庫に入ったオレンジジュースを飲んでいるだけでもあれこれ言われるそうな。
家庭での生活がまるで修業のようだ、と。
文菊師匠の奥さんのエピソード初聴。
そんな話題から鮑のしへ。
後半戦までたっぷりの一席でした。

続くやまと師匠は念願の映画出演が決まったエピソード。
この日の折り込みにも宣伝が入っておりました。
修業している長唄の稽古の話から、
初音の鼓へ。この噺もそこまでたくさん聴くわけでもなく、嬉しいですね。
楽しい一席でした。

仲入り前は馬石師匠の厩火事。
なんとなくゆったり、のんびりと、
そして馬石師匠のとぼけた調子がマッチする一席。

仲入りの後は新作の駒治師匠。
偶然、一年前の四の日昼席で、
ネタ下ろしに近いこの噺を聴きました。
あれから一年、細部は記憶にないものの、
テンポといいくすぐりといい、
笑いの多い一席になっておりました。

トリは左橋師匠で井戸の茶碗。
少し聞き飽きた感のあるこの噺、
前半部分は少し休憩しながら聴かせてもらいました。
中盤から後半にかけては独自のくすぐりも多く入って楽しく聴かせてもらいました。

こういう井戸の茶碗なんかを聴くと、
巣鴨地蔵通りで行われている縁日で並べられている骨董品に目がいきますね。
別に何か買うわけでもないのですが、
なんとなく並べられたよくわからない品物を見ながら巣鴨駅までの道すがら、
ゆったりとした気持ちになりました。
梅雨明けしないながらも炎暑の一日。
夏もすぐそこですね。

恐懼謹言。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/05/31連雀亭昼席

2023年05月31日 | 噺とか
今月2度目の連雀亭。
前回は講談きゃたぴらでしたが、
今回は全て落語です。
落語協会から2人、芸協と立川流からそれぞれ1人ずつという顔付です。
平日ということもあり客数は5人。
ゆったりしていていいのですが、
相変わらずのパーティションとマスク着用はそろそろ見直してもいいような。

子ほめ     一刀
かくやのこうこ 今いち
紙入れ     らく兵
妾馬      文吾

一刀さん、久しぶりです。
柳朝師匠のブログに目つきの悪い三谷幸喜などと書かれていましたが、
メガネかけるとそんな感じでしょうね。

Facebookの想い出から📸 | 総領の甚六【春風亭柳朝No.6のオフィシャルブログ】

Facebookの想い出から📸6年前だそうな。📸前座の頃の春風亭朝太郎さん。三増れ紋チャンは元気かなぁ~❓若いな…俺❓ &...

総領の甚六【春風亭柳朝No.6のオフィシャルブログ】

 
噺は定番の子ほめをたっぷりと。
食傷気味でもある前座噺なこともあり、
ちょっとゆっくりしながら拝聴しました。

続く今いちさん。新作のイメージもありますが、この日は「かくやのこうこ」。
初めて聴く演題ですが、調べると、
「酢豆腐」の前半部分なんですね。
chat GPTで新作落語を作らせてみるマクラなども面白く聴かせて頂きました。

立川らく兵さんは、はじめまして。
見た目が日本兵に似ているということで、
兵の字が入っているそうな。
本題は紙入れで、独自のくすぐりなどもあって、会場はよく笑っていました。
女将さん宅での回想シーンはオリジナルでしょうかね、楽しく聞かせて頂きました。

トリの文吾さん、以前も連雀亭のトリを聴きに来たことがありました。
身分制度のマクラから入って妾馬へ。
笑いあり涙ありの変化に富んだ噺を、
とてもよく演じられていて、
噺に引き込まれました。
この日の間違いなくナンバーワンで、
この噺を聴けただけでも来た甲斐があったというものです。

梅雨入りが間近な日々、
疲れがついつい溜まりがちですが、
落語を聞いて少しリフレッシュ。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/05/19 連雀亭講談きゃたぴら

2023年05月19日 | 噺とか
少し時間ができて連雀亭へ。
落語を、とも思いましたが、
今日は講談中心の日でした。
間に浪曲もあるそんな顔付け。
全員が女流の方ということもあり、
客席はかなりの盛況でした。
なお、連雀亭は客席でのマスク着用必須。
世の中が脱マスクになっていますが、
その狭さゆえでしょうかね。
カバンの中にマスクがあってセーフ。

駕籠幽霊    紅佳
身代わり音頭  小そめ
木村重成の最期 いちか

駕籠幽霊は葛飾北斎のストーリー。
調べてみると青空文庫にもあるんですね。
世界観にどっぷり浸らせてもらいました。

小そめさんは浪曲。浪曲自体久しぶり。
というか、そこまで頻繁に聴いておらず、
いつも新鮮な気持ちで。
身代わりで殺された男のために、
木曽路を下って男の代わりに子の父の代わりをするという、
二重の意味での身代わりの話。
落語とも講談とも違う演芸、いいですね。

トリのいちかさん。
名前は各所で伺っていますが、
聴くのは初めてかも。
大坂の陣を題材にした難波戦記から、
木村重成のエピソード。
歴史好きながらこの人物を知らず。
青柳との色恋と別れ、
そしてそれらを解する家康のエピソード。
今年の大河ドラマの主人公でもあります。
いちかさんの人気の一端を知ることのできる一席でした。

馴染みのない講談や浪曲に親しむ機会もいいものですね。
終演後、演題が掲示されておらず、
ネットでアップされている情報を参考にさせていただきました。
待ってたら掲示されたんですね。

コンパクトに楽しい時間を過ごしました。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いなせ家半七師匠の訃報

2023年05月16日 | 噺とか
ネットで、いなせ家半七師匠の訃報が目に入りました。


普段はあまりこういう記事は書かないのですが、思い出を少々。

とても贔屓の芸人さんであるとか、
多くの高座に触れたわけでもありません。
記録と記憶に残っているのはただ一度。
2019年1月の黒門亭でした。
トップ画像はその時のもの。


改めて記事を読み返すと、
ネタは天狗裁きだったようで、
特に珍しい噺でもありません。

ただ、なぜ今回記事にしようかと思ったのかというと、
この時の高座がとても印象に残っているのです。
天狗裁きの一席が終わったのち、
最前列で聴いていた私に目を向け、
おもむろに使っていた扇子をストンと落として、私に「差し上げます。」と。
一瞬、意味が分からず固まった私ですが、
意味がわかると一言感謝の言葉を添えて、
その扇子をいただきました。

黒門亭の狭い客先ですので、
その様子は全ての客に知られることに。
トリの彦いち師匠のあとで、
黒門亭の常連客数人が私のもとに集まり、
「誰の扇子?!」と興味津々。
今まで会話なんてしたことない方々でしたが。
小朝一門ということもあり、まさか、
ということだったようですが、
実際のところは芸協の披露目の扇子。

私からすればそんなことはどうでも良く、
目の前で落語を演じていた噺家さんから、
今の今まで使っていた扇子を戴くなど、
後にも先にもないことなので、
とても感激した記憶が今でもありありと思い出されるのです。
当時は特定されるかなと思って、
上記の記事では言及しませんでしたが、
今回の訃報に接し、書き留めたものです。

もとは先代柳朝一門で、
師匠没後は小朝一門に入られたようで、
政治家を目指したり、
各地の温泉を巡ったり、
多彩な人物だったようです。
小朝師匠もこのことをブログに書かれています。


身近で接していただけあり、
愛に溢れた文章だと思います。
4月中席まで小朝師匠の芝居に出演していたんですね。
鈴本に半七師匠の名前があったことは確かに記憶しています。
小朝師匠との繋がりあってのことでしょうね。
2019年に私が足を運んだ黒門亭でも、
トリの彦いち師匠が半七師匠のエピソードを話されていました。

寄席ではあまりお目にかからない、
そんな噺家さんではありますが、
私の記憶に残る噺家さんでした。
ただ、モノをもらったからとかそんな話じゃなくて、
高座の落語や立ち居振る舞いから、
その温かい人柄の一端に触れたような気がしたからです。

謹んでご冥福をお祈りします。

恐懼謹言
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/05/02 お江戸日本橋亭さよなら公演 扇蔵・馬桜二人会

2023年05月02日 | 噺とか
世間はいよいよゴールデンウィーク。
コロナも収まりを見せ、
人の動きもいよいよ活発になりました。
ふと時間が空いたところで寄席でも、
と思いましたが動き出しが遅く、
15時開演の日本橋亭へ出かけます。
なんでも今年で取り壊しなんだそうで、
会の名称もそれに因んだもの。
コロナ禍でめっきり訪れていませんで、
私は実に3年半ぶりの来訪になりました。
最前列の座椅子がなくなり、全て椅子席。
会場も盛況でありました。

洒落番頭 たたみ
天災   扇蔵
明烏   馬桜
−仲入り−
人参代  馬桜
試し酒  扇蔵

開口一番は三平門下のたたみさん。
前座ながら洒落番頭って珍しいですかね。
こういう会で試してみるという感じかな。
どうしても師匠にネガティブなイメージが付きまとうのですが、
会場の笑いをとっておりました。

以降ネタ出し。扇蔵師匠は天災でした。
この噺、好きなのですがなかなか生で聴く機会もなく、楽しみにしておりました。
聞けば東日本大震災などの災害があり、
なかなかかける機会がなかったそうです。
期待通りの面白さでした。

馬桜師匠の一席目は明烏。
寄席のトリネタなど廓噺の定番ですね。
何度も聞いていますが、
志ん朝師匠から稽古を受けたという、
馬桜師匠の明烏は聴き応えたっぷり。
吉原の情景描写も丁寧で、
新たな発見があったように思います。

仲入り後は馬桜師匠の2席目。
過去の病歴のマクラから本題へ。
人参代という初めて聞く噺でした。
高麗人参を題材にとったストーリー。
初めてなので注意深く聴いていないと、
サゲの部分で若干消化不良に。
解説を改めて見て、なるほど、と。
もう一度チャレンジしてみたいものです。

最後は扇蔵師匠の試し酒。
今まで聞いてきて経験上、
途中でどうしてもだれてしまう、
そんなイメージがあるのですが、
改めて注意深く聴いていると、
様々な演出方法があるのだなと感じます。
最後まで楽しい一席でした。

終わった後にはフォトタイム。
最近の流行に合わせて馬桜師匠の会ではたびたびやっているそうです。
オープニングトークならぬ、
エンディングトークをしつつ撮影タイム。





久しぶりのお江戸日本橋亭でしたが、
濃厚な楽しい時間でした。
取り壊し前にここに来るのは最後かな?
リニューアルを気長に待ちたいものです。

今日から謹言。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/04/04 四の日昼席@スタジオフォー

2023年04月04日 | 噺とか
久しぶりの四の日昼席です。
うまく仕事との調整がつけば、
是非とも足を運びたい落語会です。
コロナも収まりつつあり、
陽気もいいこともあってか大入りの満員。
もう少し遅いと座れなかったかも。
池袋の龍玉師匠のトリと迷いましたが、
こちらも大満足でした。

権助魚      左橋
ヒーローズライフ 駒治
安兵衛狐     馬石
−仲入り−
風呂敷      文菊
叩き蟹      やまと

左橋師匠はWBCの話題から権助魚。
軽い話ではありますが、
左橋師匠の演じるとぼけた権助が面白く、
楽しく聴かせていただきました。

続く駒治師匠は旅で熊本や鹿児島を巡ったエピソードから、戦隊モノの新作。
暴力戦隊ハラスメンツという、
なんともギリギリなネーミングセンスのヒーロー戦隊が登場。
華やかな戦闘とは裏腹に、
ヒーローにも家庭はあるし、
戦いの際の経費や被害弁済もある。
駒治師匠らしい新作でありました。

馬石師匠は最近コインケース?を落としたエピソードから繋がって安兵衛狐。
この噺も普段はあまり出会わないため、
こうやって聴けるのは嬉しい限り。
マクラとの繋がりの部分では場内が大いに湧きました。
池袋に足を運んでも馬石師匠には出会えたでしょうが、こちらで正解。

仲入り後に文菊師匠。
こちらもあまりお目にかからない風呂敷。
終盤に向かって行くあたりの、
ドタバタシーンが何とも面白いですね。
寄席ではどちらかというと定番ネタの多いイメージの文菊師匠ですが、
こういう噺に出会えたのは嬉しいですね。

トリのやまと師匠。
初めて聴く、叩き蟹という噺。
マクラでは魂を込める、というところから入ったので、
左甚五郎の「ねずみ」かと思いましたが。
ちなみに、マクラでは魂を込めない噺家として小三太師匠のエピソードを。
ディスっているようですが、
これはこれでいいのかなぁと。
で、本題の叩き蟹。
人情噺ではないのかもしれませんが、
笑いありほろっとくるところもあり、
45分ほど集中して聴いてしまいました。
まだまだ知らない噺がたくさんあります。
今日の収穫の一つでありました。

1時から3時半までの2時間半、
池袋に比べるとコンパクトですが、
それでもかなり濃密な時間でありました。
毎回期待を裏切らない四の日昼席です。

恐懼謹言。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/03/28 池袋演芸場 新作台本まつり(主任:弁財亭和泉)

2023年03月28日 | 噺とか
3月下席池袋は恒例の新作落語台本まつり。
かなり久々になります。
休みをとって和泉師匠の出番のこの日に。






(不明)   貫いち
絹子ちゃん  ふう丈
(不明)   ぎん志
名探偵コテン 天どん
紙切り    八楽
(不明)   あお馬
だるま    文雀
−仲入り−
皿留     彦三
隣の男    時蔵
奇術     伊藤夢葉
最悪結婚式  和泉

しかしまぁこんなに演題のわからない落語会というのも久しぶりです。
これも新作の会だからなのか。

前座の貫いちさんからもう新作。
たけのこ族やらたけのこニョッキみたいな演題がつきそうな噺。
頑張ってはいるのですが、もう一息。

ふう丈さん、こちらの新作はさすが。
演題を調べたらヒットしました。
出身地熊本に関するマクラから本題へ。
深夜のコンビニアルバイトに、
絹子さんなるお婆さんが入ってくるお話。
ふう丈らしくてとても楽しい。

ぎん志師匠はかなりご無沙汰。
謝罪会見を題材にした弁当屋さんの噺。
演題わからず。盛り上がりはもう一歩。
もっとお見かけする機会があってもいいなぁと。

天どん師匠は名探偵コテン。
落語に詳しい人は楽しめるだろうなぁと。
白鳥師匠やら、新作に関するネタも散りばめられていて楽しい。
おそらく今日で1番の盛り上がり?

八楽さんは鋏試しでお嫁さん。
大谷翔平とくまモンを切りました。
話芸も紙切りもきっとこれからですね。
熱意はすごく感じる高座。

あお馬さんは古典ですが、
誰もやり手のない速記物から。
調べてみたのですが演題がわかりません。
芸者を見受けしようとする旦那、
これに迷って友人に相談すると、
試しに心中をすると持ちかけてみなさいとアドバイス。
これに従って上野清水堂の桜の木で首吊りをすることに…という展開。
なんとなく厩火事と似ているような。
引き込まれる一席でした。

仲入り前は文雀師匠。
選挙事務所を舞台にした新作。
落選した候補の事務所にあったダルマに秘書が目を入れると、
そのダルマが人間になって恩返しに来る、
というストーリー。
楽しい一席でした。

彦三さんは皿留という大岡モノ。
調べると正雀師匠のネタのようですね。
この人の語り口がとても淡白なのですが、
ストーリーはとても楽しい。

時蔵師匠は別日にトリネタでやる隣の男。
これも今日聞いた新作の中ではとてもよくできた噺だなと感じました。
幽霊ネタは台本の題材にもなりやすいのかもしれませんが、
それでもちゃんと作り込まれていないと。

和泉師匠の最悪結婚式。
2019年の入賞作とのことで、
和泉師匠はこの日がネタおろしだそうで。
結婚式当日に花嫁が逃げてしまって、
というこちらもありがちな展開から始まるのですが、
話の展開とともにおかしな方向へ。
登場人物の描き方も和泉師匠の新作に出てくるような感じで、
とてもよく合っていると感じました。
20分ほどの本編でしたが、
よくまとまっているな、と。

観客数もほどよい池袋演芸場。
マスク着用の強制もなくなり、
ちらほらノーマスクの人も。
のんびりゆったり楽しめる寄席。
そろそろそんな環境が戻ってきましたね。

恐懼謹言。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/03/04 三遊亭歌る多 講演と落語の会

2023年03月04日 | 噺とか
純粋に落語ということではなく、
講演と落語がセットになった無料の会が目に留まり、
早々に予約して行ってきました。
80人満員ということで盛況でした。
会場は文京区男女平等センター。
普段ならあまり縁のなさそうな所ですが、
こういうことについて知見を広めるのもよかろう、ということで。

講演「女性落語家 真打への道
   〜セクハラ・パワハラを超えて〜」
−仲入り−
手紙無筆  二之吉
替り目   歌る多
(踊り かっぽれ)

講演は約45分間。
男女雇用機会均等法が制定される以前、
親の反対を押し切って先代圓歌に入門した歌る多師匠のエピソードを中心に。
セクハラやパワハラの概念のない時代、
様々な苦労をするものの、
自分がなりたくてなった噺家の道、
自分なりの考えと信念をもとに、
それらを乗り越えていくエピソード。
明言はされませんが、
意識しているなかな、と感じました。
落語会の常識は世間と10年はズレている。
という歌る多師匠。
これらを肯定するのではなく、
少しずつ改善していかねば理解は得られないだろうとして講演を結びました。
噺家さんの講演だけあって、
笑いもあって楽しい45分間でした。

休憩後に落語へ。
開口一番は二之吉さん。
軽くマクラと小噺から入って手紙無筆へ。
しっかり笑いをとって楽しい一席。

いつもの寄席スタイルの歌る多師匠、
先ほどの講演の内容と絡めて酒の話。
お酒のお付き合いって大事なんですね。
そこからたっぷりと替り目でした。
よくある前半で切るパターンですが、
本来の下げの由来まで説明されました。
噺の後には景気良くかっぽれでお開き。

講演では普段聞かないエピソードが聞けたことと、
落語も2席ながら楽しく拝聴しました。
これで無料ならいいですね。

とはいえ、区として行う男女平等の理解を広める講演としては正直、??です。
過去はこうだった、私はこうだった、というだけでは未来には繋がらないように思います。
古い制度の残る伝統芸能の世界で、
どうしたら男女平等を実現できるのか、
セクハラやパワハラをどうやって根絶していくのか、
そういう提言があれば良かったかなと。

落語のイベントとしては満足。
男女平等について考える講演会としてはもう一声、という気がします。

恐懼謹言。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/03/01 国立演芸場(主任:柳家さん喬)

2023年03月01日 | 噺とか
2月は全く落語に触れることができず、
久しぶりに寄席に足を運びました。
3月上席の国立演芸場はさん喬師匠のトリ。
おまけにネタ出しと来ているので、
演目を見て初日に予約。
かつて復活した直後の黒門亭で、
小袁治師匠から聞いて以来の柳田格之進。
客席は半分ぐらいの入りでゆったり。


子ほめ    小きち
寿限無    やなぎ
紙切り    楽一
好きと怖い  歌奴
強情灸    志ん彌
−仲入り−
雛鍔     さん助
ギター漫談  ペペ櫻井
柳田格之進  さん喬

前座の後のやなぎさん。久しぶりです。
寿限無に入って特に何もなく過ぎるのかなと思っていたら、
通常のサゲではなくその後はオリジナル?
どういうわけか北海道の船の話に繋がり、
下げるという変化球でした。
油断していただけに楽しい一席。

楽一さんは鋏試しに馬。
続いて、大相撲・ひな祭り・柳田格之進・舞妓さんの花見、を切られました。

歌奴師匠、今年で閉鎖になる国立演芸場の思い出をあれこれと。
寄席でも珍しく風呂があるんだそうな。
内弟子時代にたびたび入ったそうな。
そこから定番の、好きと怖い。
客席も沸いていました。

さん助師匠、たびたびお見かけしますが、
楽しい高座ですね。
雛鍔も耳にする機会は多くないものの、
子どもの弾けっぷりとか、
夫婦の掛け合いが愉快でお見事。

トリのさん喬師匠はネタ出し、
長講45分の柳田格之進でした。
さん喬師匠の流麗な語り口と、
風景・人物描写に引き込まれます。
以前、小袁治師匠で聴いた際には、
最後の部分が碁盤をぶった斬るシーンで終わったように記憶していますが、
その後のエピソードまで続きました。
こちらの方が最後にホロっとくる、
そんな印象を受けます。
初めてならこのパターンの方がいいかも。
小袁治師匠の型も終演後の余韻があっていいのですが、
とにかくあっという間の45分間でした。

他の寄席に比べると時間も短い国立。
これぐらいの時間がちょうどいいかもしれません。
今日はさん喬師匠の満足度が非常に高く、
仕事をさっさと上がって足を運んだ甲斐がありました。

3月はもう少し寄席に足を運べそうです。

恐懼謹言。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023/01/25 池袋演芸場昼席(主任:弁財亭和泉)

2023年01月25日 | 噺とか
約1ヶ月ぶりの池袋です。
前回が白鳥師匠のトリを見にきたので、
またしても新作寄りの芝居なわけですが、
だいぶ趣も違います。
平日の昼下がり、ほどほどの入りで、
のんびりと楽しんできました。

金明竹       十八
うちの村      きよ彦
引越しは夢     れん生
スナックヒヤシンス きく麿
粋曲        小春
でもね       茜
天どん       氷の上
      −仲入り−
粗忽長屋      勧之助
紋三郎稲荷     扇辰
奇術        アサダ二世
匿名主婦只野人子  和泉

前座はきく麿師匠の弟子で十八さん。
丁寧なんですが、18分ほどかかりました。
あえてなのか、配分ミスかは不明。
全体的にはいい出来だったかと。

きよ彦さん二つ目になってから初めて。
この新作は前座時代に聞いたような。
設定やストーリーも面白いですね。
二つ目になってかなり安定感があります。
もっと活躍されそうな予感。

れん生師匠は2年前の披露目以来。
あまり寄席でもお目にかかりませんが、
この日は長めの新作を、と。
夢に出てきた白髪の老人に引越しを勧められ、思い切って引越すも…という噺。
全体的に悪くないのですが、
笑いとしては控えめだったかな?

きく麿師匠、鉄板のスナックヒヤシンス。
この辺りから客席にも笑いが増えて、
盛り上がりを見せてきました。
歌もいつもより長めでいい調子。
楽しい一席でありました。

茜先生の新作講談は、でもね。
ぶっきらぼうな物言いしか出来ない女性が主人公のお話。
でもね、というマジックワードで人生も大きく変わる、というそんなストーリー。
初めて聴きましたが、楽しいですね。

天どん師匠は、氷の上、という噺。
雪の翌日に滑って転ぶ人を見るのが趣味、
という男が出てきて展開する物語。
この日が雪予報が出ていたのでやろうとしていたそうですが、
現実には雪予報は見事に空振り。
それでも池袋だからやります、と。
比較的最近のネタなんですかね?
最後の高座で暴れ回るのはお約束。
個人的には好きな噺。

仲入り後は古典が二席続きます。
勧之助師匠は、花いちさんの代演なので、
本来はここも新作だったわけですね。
通り一辺倒ではない独自の演出もあり、
楽しませていただきました。

扇辰師匠は紋三郎稲荷。なかなか珍品。
初めて聴きました。
新作が多い中でこういう噺が聴けるのは、
本当に有難いというか、嬉しい限り。
この位置に顔付けされている妙ですね。

トリの和泉師匠、ポイントカードにまつわるマクラから、匿名主婦只野人子へ。
こちらも初めて。
というか、和泉師匠のトリネタ自体が初めて、ということかもですが。
ストーリーはこの辺りの記事に詳しいので、割愛しますが、
和泉師匠の感性が光る一席でした。

全体的に新作メインでありながらも、
要所を古典の師匠が固めるという、
理想的な形の芝居だったように思います。
とても居心地の良い、そして温かい、
そんな池袋演芸場1月下席でした。

恐懼謹言。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする