恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

2/15(土)第10回 ふう丈・辰乃助の四千万歩

2020年02月15日 | 噺とか
週末、どこか寄席に行こうにもいまいちピンとくるものがなく、
かわら版をめくってあれこれと思案して見つけたのがこの会。
お江戸両国亭で行われている二つ目さんの二人会。
会の存在自体、今回初めて知ったのですが、なんでも今回が10回の記念公演。
ゲストも駒治さんが出るというのもなかなか惹かれます。
ふう丈さんも辰乃助さんも寄席で何度もお見掛けしており、
これを機会に足を運んで見ます。

-オープニングトーク-
ふう丈「同窓会」
辰乃助「ベースボールカウンセラー」
駒 治「車内販売の女」
-仲入り-
辰乃助「鼓ヶ滝」
ふう丈「心の中」

オープニングトークでは、今回10回記念を迎えるにあたり、
過去にネタおろしした作品をネタ帳とともに確認するところから。
毎回新作のネタおろしをしてきたものの、
それぞれものになった作品は少なく、その多くがお蔵入りになったといいます。
たしかに、タイトルを聞いても知らないものが多く、
かろうじて辰乃助さんの「マオカラー」を聞いたぐらい。
それでも、10本に1本のあたりがあれば、100回やったら10の新作ができる、と。
とにかくそんな新作の完成する瞬間に立ち会ってほしい、と挨拶して締め。

ふう丈さん一席目は「同窓会」という、設定そのままのお話。
小学生時代の女子同級生の日記帳を核に噺が展開します。
なんとなくありがちな展開ではありますが、練りこんでいけば面白い噺になりそう。
今日の新作の中では比較的わかりやすくて、寄席でもいけるのでは?
などと感じておりました。

続いて辰乃助さん。
悩みをカウンセリングにくる患者さんたちがニュースで話題の人物たち。
それに対してなんでも野球を例えに出して回答するお医者さん。
どちらかといえば時事ネタに偏っているようにも思いますが、
これもその時々で変えていけば通用するような噺になると思います。

ゲストの真打は古今亭駒治師匠。
何をやるのかと思えば「車内販売の女」でした。
数ある鉄道落語の中でも私が聞いたことがなく、かつ聞きたいと思っていた噺。
池袋のトリにも行こう行こうと思っていてついに行けず残念に思っていましたが、
ここで聞けたことがまさしく幸運というべきか。
新作派の会なのにどうも客席がついてきていないことをあれこれ突っ込みつつ、
安定の駒治師匠の鉄道落語が展開されていきます。
比べてしまってはいけませんが、やはりこの安定感はすごいなぁと。

仲入りをはさんで辰乃助さんの2席目は古典で「鼓ヶ滝」。
こういう噺も新作の間に挟まって聞くと安心しますね。
ネタおろしで聞く新作はいいにつけ悪いにつけドキドキするもの。
知らず知らずのうちに心が古典を求めていたのかも。

トリのふう丈さんは、人の心の中を巧みに描いた「心の中」。
胸の痛みを患う患者が医者へ行くと、心の問題であるという。
心の問題を解決するためには自ら心の中へ入っていかねばならず、
心の中にある垢や闇と向き合っていくという。
一見すると難解でとっつきにくいのですが、これも練りこんでいくと名作になる予感。

コンパクトなお江戸両国亭はほぼ満席という盛況ぶりでした。
細かいことをいうのであれば、気になったのが最前列で座席を荷物置きにしているお客2名。
ガラガラで空いているのであれば構わないと思いますが、
席が足りなくなってきてあちこちで席を探す人がいる中で、
堂々と最前列の良席のイスを占拠しているのはちょっといただけません。
2名のお客の話の様子からそれなりに寄席などに行っているようですし、
今回の演者さんのファンのようでもあるのですが、
そのあたりのマナーというのも守ってこそのファンなのでは、と思ってしまいます。

恐懼謹言。
コメント
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