恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

1/4(月)第153回 四の日昼席@スタジオフォー

2021年01月04日 | 噺とか
新年の演芸始めはスタジオフォーから。
寄席の初席はにぎやかですが、しっかりと噺を聞く雰囲気ではないので、
こういう小さい会で、しかも実力派の師匠方の噺をたっぷり聞けるのはありがたいもので。
思い返せば昨年と一昨年は連雀亭でしたかね。
「4の日」の縁日に開かれるこの会ですが、
集客分散もあって、昨日も行われていたようですが、
この日もほぼ満席の盛況なのでありました。

「粗忽の釘」    左橋
「車内販売の女」  駒治
「うどん屋」    文菊
 -仲入り-
「夢の酒」     やまと
「大工調べ」    馬石

本来は駒治師匠が一番に上がるはずだったようですが、
勘違いなどもあって順番変更。左橋師匠が最初に上がります。
うっかりつながりで「粗忽の釘」でした。
寄席でもよく聞くこの噺で、私も好きな噺。
演者によって結構な違いがあるもので、その違いも面白いですね。
余計なくすぐりなどはほとんどないのですが、
粗忽っぷりがなんともおかしくて、非常に楽しい一席でした。

続く駒治師匠はさらっと謝罪があって、今日の午前中に健康診断に行った話から。
いつも嫌いなのが眼底検査で、目を大きく開けているのに、なんてマクラ。
そこから師匠である志ん駒師匠とのエピソードから「車内販売の女」へ。
この噺を聞くのも2度目でしょうかね。
お得意の鉄道落語のジャンルなのかもしれませんが、
駒治師匠の持ちネタである「ビール売りの女」とは姉妹編なのだそうで。
久しぶりに聞きましたが、新幹線車内の熱い女の争いと客のやり取りがなんとも面白い。
氷結を買い求める架空の落語家、「今昔亭駒ん治」とその弟子である、
「駒んどー」と「駒ねち」のネーミングセンスにもくすっと。変換は適当ですが。
あまり客いじりをするイメージがない駒治師匠ですが、今日は珍しく客席いじり。
そりゃ最前列の高座真ん前で思いっきり居眠りされたら、ねぇ。
とにかく駒治師匠らしい楽しい一席でした。

続いて文菊師匠。
江戸の物売りの話をあれこれとされたので、てっきり時そばかと思いましたが、
そば屋の話からうどん屋の話に変化して、「うどん屋」へ。
有名な噺ながらあまりお目にかかる印象がなく、私自身も生で聞くのは3度目ぐらいかも。
さすが文菊師匠、冬の寒さが伝わってくるなかで翻弄されるうどん屋と、
それをからかう婚礼帰りの酔っぱらいのやり取りがなんとも言えず可笑しく、
最後のサゲまで引き込まれる一席でした。さすが。

中入り後はやまと師匠。初夢の話をマクラで。
なんでも、大師匠にあたる志ん朝師匠が住吉踊りの格好で現れるという。
たしかに夢の中の出来事って不思議なことが多いですよね。
そんな夢の話をしていたので、「天狗裁き」かと思いきや、「夢の酒」へ。
この噺もなんともバカバカしい噺ではあるのですが、
夢の中での新造さんとのやりとりや、現実世界の奥さんとのやりとりなど、
女性の演じ方が問われる噺なのかもなぁ、などと感じました。
ときどき落語でこういう無茶苦茶な女性って出てきますよね。「厩火事」とか。
だいたいそういう役回りった男なんだと思うのですが、
とにかくこれはこれで楽しい噺でした。

トリの馬石師匠は「大工調べ」の序。
時間的にはもう10分やって15時半までやったら最後まで行けたのになぁなんて、
ちょっと贅沢なことを言ってみますが、序で終わる今日の一席もお見事。
なんとなくとぼけた若旦那なんかを演じることの多いイメージの馬石師匠。
もちろんこの噺でも前半部分の与太郎なんかはそんな感じなのですが、
大工の棟梁が啖呵を切る見せ場もしっかりと楽しませてくれました。
一通り棟梁が啖呵を切った後で、オウム返しよろしく与太郎が毒づくあたりが、
馬石師匠のキャラクターが存分に発揮されていて、大笑いでした。

なかなか平日には来ることのできない「4の日」昼席ですが、外れがないですね。
2月は残念ながらこれそうもありませんが、
時間が合う時にはぜひとも足を運び続けたい、そんな会です。

恐懼謹言。

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