十島村(口之島)からの上り便は鹿児島港に18:50分に入港した。鹿児島に着いたら指宿方面の温泉に入る事と、2年前に来た時に「特攻記念館」を訪れたが其の時、機会があれば時間を掛けて再度、見学したい思いが在ったので例により途中にある「喜入の道の駅」へと向かった。十島村では滞在中、パンやインスタントのラーメン、うどん、そばで過ごした為、御飯ものが欲しかったのでレストランに入り食事をする事に、久振りに暖かい食事をしたので長居をしすぎて「喜入の道の駅」に到着したら8時30分過ぎ、温泉の閉館は9時なので入浴は諦めて次の「道の駅いぶすき彩花菜館」(写真上段1~2番目)まで進みこの場所で車中泊とした。
あけて13日は終日、知覧の「特攻記念館」の見学予定であったが昨晩は温泉に入る事が出来なかったので「指宿に来ながら其れはないだろう」と朝一番に温泉に行く事に、2年前に来た伏目海岸の竹山の近くにあるヘルシーランド露天風呂たまて箱温泉に向かった。其の場所には8時前ころ到着したが駐車場には一台の車もおらず、時間待ちを兼ねて駐車場の近辺を散策する事にした。最初に伏目海岸の温泉を利用した山川の製塩工場跡や砂風呂で有名な「山川砂むし温泉」を見学した。砂むし温泉も興味はあったが御客さんはおらず私一人では気が引けて相変わらずの小心者振りとなった。
元の場所に帰るとヘルシーランドの従業員さんが外回りの準備をしていたので「温泉は何時から入れますか?」聞いたら「9時半からの営業と成ります。」との答え、まだ1時間近い待ち時間がある。仕方が無いので隣の温泉保養館方面に散歩に向かった。近くには温水プールや子供用の遊具やアスレチック設備が点在し一回りして帰る途中、運動場を横切る青年が見えた。長身の背格好や服装に見覚えがある。
ヘルシーランドに通じる最後の上り坂で御対面、向こうから「お早う御座います」と挨拶が有り返礼の後、「元気で良い旅してましたか?」と言ったらビックリした様子、私は気付いていたが彼の方は解らなかった様子、彼とは1週間振りの再会、聞くと早朝に竹山に登り汗を掻いたので温泉に入りに来たとの事、目的は同じなので一緒に入る事と成った。下段1~2番の写真が「たまて箱温泉」の露天風呂、最初の写真に写っているベトナム人の様な傘を被った人相の悪いのが私(顔に似合わず小心者、後ろには開聞岳が見えているK君がシャッターを切った)2番目の写真のバックの山が竹山、中国の山水画に出てくる様なこの辺りでは変わった形をしている。
温泉の客は2人だけ、話をしながらゆっくりと温泉を楽しんだ。彼は4年近く沖縄、九州、四国を徒歩で回っているらしく。冬は沖縄のサトウキビ畑をやっている83歳の御爺さんの所で働き、夏は四国の石鎚山で民宿のアルバイトをしながら其の間を利用して旅行しているらしい。彼の年頃は私の息子に近い、確かに私も若い頃は一人旅や長野の山小屋の住込みのアルバイトを考えた時期も有ったが既成概念や世間体を気にして実行出来なかったので今の彼の生き方が羨ましいと思う反面、彼の親の立場として考えると自分の息子が同じ事を遣ろうとすれば反対するだろうな?と複雑な気持ちに成った。
然し彼には浮付いた所は無く折角、再会出来たので食事を御馳走しようと誘ったが「御気持ちは本当に有難いのですが同行と成ると車に同乗しての移動と成ると思います。其の事は私が4年間守り続けてきた拘りの徒歩での旅を始めた目的に反するので申し訳有りませんが今回は遠慮させて戴きます。」と言った。中々言える言葉では無い。其処には彼の括弧とした信念をみた。別れ際に「もし四国の徳島に来る事が有れば必ず連絡をくれ、其の時は御馳走する」と名前と携帯電話の番号を交換した。そして温泉の出口で別れたが日本最南端のJR駅、西大山駅へ向かう途中、重いリュックを背負い元気に歩く彼と出会い、車を止めて歩いてくるK君に向かいシャッターを切った。其の時の彼の はにかんだ笑顔を忘れる事は出来ない。
沖縄の御爺さん所(他人)のアルバイトも御爺さんが働けなく成るまでは応援に行き、最終的には沖縄に永住する気持ちが有るらしいが其の間に徒歩で日本一周をやり遂げると言う彼には私の息子や今風の若者には無い野生的な魅力を感じた。人生の送り方に定石は無い。何かを求める瞬間から何かを失う。其の目的や目標が特殊で有ったり高い程、両方を得る事は出来ない。彼は一般的に見てリスクを伴う道を選択しているが、それ故に得られる物も有るだろうし、達成感も得られるだろう。他人事ながら後悔の無い様に進んで貰いたいし、何時の日か徳島で再会出来る事を楽しみにしている。
下段、4~7番目までは最南端の駅、JR西大山駅、特別な駅では無いが2年前と同じで私が滞在する1時間余りの時間、観光客が途切れる事は無かった。皆さん開聞岳をバックに記念撮影をしていた。私は一部のQSLカードを入れた封書を島根に向け此の「幸せを届ける黄色いポスト」に投函した。果たして効果は有るのだろうか?有れば良いのだが・・・・・