共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

こんなものでしょう

2013年08月28日 19時37分10秒 | 日記
以前、日韓関係の記事を掲載したところ、後日『韓国人』を騙った通りすがりの要らんこと言いが散々コメント欄に書き散らして行きました。残しておいてやろうかとも思ったのですが、あまりにも下劣かつ稚拙な内容で当ブログ内にわざわざスペースを割いてまで保存しておく必要性無しと判断して、謹んで削除させて頂きました。

ただ、その拙い書き込みの中に、映画《終戦のエンペラー》についての捩曲がった内容のものがあったのを見て、そういえばまだ観ていなかったな…ということを思い出して観に行くことにしました。ああいうゴミみたいなコメントでも、時として役に立つこともあるようです( ̄ー ̄)ニヤリ。

御存知の方もおいでかと思いますが、内容としては太平洋戦争終結後、GHQ最高司令官として日本に降り立ったマッカーサー元帥が、同行したボナー・フェラーズ准将に、彼の『日本通』としての腕を見込んで、10日間のうちに昭和天皇陛下が開戦に関与した証拠の有無を洗い出すよう命令し、フェラーズ准将が東條英機首相や近衛文麿前首相、木戸幸一内大臣、関屋貞三郎宮内次官といった関係者と会談を重ねるも、決定的な証拠を得ることは出来ず…といったようなものです。

何故終戦後68年も経った今になって、しかもハリウッドで製作されたのかは定かではありませんが、恐らく朝鮮戦争以降、ベトナム戦争や一連の中東介入等、アメリカが関与して『明確に勝利した戦争』が無い中で、かつて自分達が大鉈を奮うことのできた戦争を引っ張り出して、自信を取り戻したかったのかも知れません。

見終わった感想としては「まぁ、アメリカが作ったんだから…こんなもんでしょうな」という感じでした。

とにかく全体的に、何とも中途半端なのです。『天皇の戦争責任の有無の追究』という、ある意味日本の戦後史最大の関心事の一つをテーマにしていながら、そこにフェラーズ准将と架空の日本人女性アヤとの若き日のラブロマンスを中途半端に織り交ぜるものですから、妙に話がとっ散らかているように思われてなりませんでした。また開戦前フェラーズが日本に滞在していた時に、アヤの叔父である鹿島大将から「『信奉』について理解できれば、きっと日本人のことも理解できる」と言われた回想シーンもあるのですが、結局フェラーズは最後まで『信奉』というものを理解できずにマッカーサーから与えられた期限を迎えてしまいますが、それでも何とか自分なりにまとめ上げた玉虫色の報告書をマッカーサーに提出します。それを見たマッカーサーは初めのうちは当惑しつつも、来るべきアメリカ大統領選挙への自身の立候補という野心を成就させるための戦功作りの目玉になると踏んだこともあって、それがために昭和天皇陛下とマッカーサーとの会見が実現したような運びになっていたのも気になるところではありました。

それでも個人的に感銘を受けたのが、天皇陛下の側近達に事情聴取を続けていく中で、フェラーズが関屋貞三郎宮内次官と対峙した場面です。関屋次官は御前会議の場で昭和天皇陛下が、居並ぶ大臣や軍幹部に向かって明治天皇陛下の御製を詠ぜられたことを説明した後、フェラーズの前で席を立つと天皇陛下のおわします方角に深々と頭を垂れながら、朗々と

《四方つ海 皆はらからと 思ふ世に など波風の 立ち騒ぐらむ》

と詠じ、『これが天皇陛下の大御心である』とフェラーズに説きます。その場面の関屋次官の凛とした姿に、目頭が熱くなりました(関屋次官を演じられた夏八木勲さんはその後他界されたため、この作品が遺作の一つとなりました)。

それから木戸内大臣が語るかたちで、陸軍による、ポツダム宣言受諾を全国に放送するための《玉音放送盤》の放送前夜の強奪並びに昭和天皇陛下暗殺両未遂事件が描かれていたのは評価できるポイントでした。こういう部分は当事者側が製作する場合にはともすると隠蔽されがちですが、そこはさすがにアメリカ側が冷静に製作しただけのことはあります。

ただ、実際に昭和天皇陛下が画面に登場したのはほんの数分間で、マッカーサーが感銘を受けたという一連のやり取りも、退出を命じられたフェラーズがドア越しに覗き見るというかたちでちょっとだけ描かれただけ、その後はフェラーズが部屋を出て、外で待っていた通訳のタカハシという日本人と「飲みに行くか」と言って終わってしまいます。

これだけのために天皇陛下を画面に引っ張り出してきたことがどれだけの意味を持つのか甚だ疑問の残る作品でしたが、とりあえず天皇陛下の戦後処遇という歴史を何も知らない人が『知るきっかけ』として観る分には、それなりの価値があるのかも知れません。ただし、あくまでも『戦勝国としてのアメリカの目線』で製作されているということを前提にして御覧下さい。
コメント
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