今日はアミューあつぎの中にある映画館に行きました。予告が流れていた中で、ちょっと気になった作品があったのです。それが《パガニーニ~愛と狂気のヴァイオリニスト》です。
パガニーニとは1782年にイタリアで生まれたヴァイオリニスト、ヴィオリスト、ギタリスト、作曲家で、今日のヴァイオリン奏法に繋がる超絶技巧的演奏法を確立した天才として名高い芸術家で、同時代に生きたシューベルトやショパン、リストといった作曲家にも影響を与えた人物です。
パガニーニの時代にもなると、当時の熱狂ぶりを詳しく伝えた新聞記事が残されていたりするので、前世代のハイドンやモーツァルトに比べると、だいぶいろいろなことが分かっています。ただ、そこはまだ考え方が18世紀に片足を突っ込んでいる時代ですから、あまりの超絶技巧に「悪魔に魂を売って手に入れたものだ」などと真剣に考える人もいて、中には演奏中にパガニーニの足が地面から浮いていないかどうか足元ばかり見ていた人もいたといいますから、微笑ましいと言うかアホくさいと言うか…。
この映画では彼をイギリス公演に招聘しようとするジョン・ワトソンという指揮者とその家族が、気ままなパガニーニとフィクサー的マネージャーのウルバーニに翻弄されながら何とか公演に漕ぎつけるのですが、その中で、ワトソンの娘で歌手のシャーロットにパガニーニ自作のアリア《私を想っておくれ、愛しい人よ》を歌わせたことが思わぬ騒動に発展して…というお話でした。
感想としては「パガニーニが実際にこんな人物だったらイヤだな…」という感じでした。勿論、ドキュメンタリー作品ではないのである程度脚色する必要もあったでしょうし、紆余曲折も大事なのでしょうが、色事にうつつをぬかしている場面よりも、もう少し音楽家としてのパガニーニの場面もあってよかったのではないかと思うのです。
かつてアメリカで作られた《アマデウス》もツッコミ処満載の作品でしたが、それでも作品中に様々なモーツァルトの作品がちりばめられていて、音楽映画としても楽しめたのでそれはそれでよかったのです。ところが、この作品ではカプリスや《ヴェニスの謝肉祭》といったものの他には、ヴァイオリン協奏曲第4番の第2楽章を元にしたアリアがあるだけなので、音楽映画という感じはあまりしません。しかも背景や衣装は19世紀初頭らしいのに、アリアや協奏曲を伴奏しているオケから、その当時無かったであろうチェンバロやチェレスタの音が聞こえてきてしまうと、その時点で『…何か違う』と思ってしまうのです。
勿論、いい点もあります。何しろ主人公のパガニーニ役が現役ヴァイオリニストであるデイヴィッド・ギャレットで、当て振りではなくちゃんと超絶技巧を演奏してくれますから安心して観ていられます。馬車が行き交うロンドンの街や風俗も、コンサート会場であるコヴェントガーデン歌劇場も、19世紀の様子をきちんと反映した豪華なものになっています。
娯楽作品としてはなかなか楽しい映画だと思います。お近くで公開の折には御覧になってみては如何でしょうか。
パガニーニとは1782年にイタリアで生まれたヴァイオリニスト、ヴィオリスト、ギタリスト、作曲家で、今日のヴァイオリン奏法に繋がる超絶技巧的演奏法を確立した天才として名高い芸術家で、同時代に生きたシューベルトやショパン、リストといった作曲家にも影響を与えた人物です。
パガニーニの時代にもなると、当時の熱狂ぶりを詳しく伝えた新聞記事が残されていたりするので、前世代のハイドンやモーツァルトに比べると、だいぶいろいろなことが分かっています。ただ、そこはまだ考え方が18世紀に片足を突っ込んでいる時代ですから、あまりの超絶技巧に「悪魔に魂を売って手に入れたものだ」などと真剣に考える人もいて、中には演奏中にパガニーニの足が地面から浮いていないかどうか足元ばかり見ていた人もいたといいますから、微笑ましいと言うかアホくさいと言うか…。
この映画では彼をイギリス公演に招聘しようとするジョン・ワトソンという指揮者とその家族が、気ままなパガニーニとフィクサー的マネージャーのウルバーニに翻弄されながら何とか公演に漕ぎつけるのですが、その中で、ワトソンの娘で歌手のシャーロットにパガニーニ自作のアリア《私を想っておくれ、愛しい人よ》を歌わせたことが思わぬ騒動に発展して…というお話でした。
感想としては「パガニーニが実際にこんな人物だったらイヤだな…」という感じでした。勿論、ドキュメンタリー作品ではないのである程度脚色する必要もあったでしょうし、紆余曲折も大事なのでしょうが、色事にうつつをぬかしている場面よりも、もう少し音楽家としてのパガニーニの場面もあってよかったのではないかと思うのです。
かつてアメリカで作られた《アマデウス》もツッコミ処満載の作品でしたが、それでも作品中に様々なモーツァルトの作品がちりばめられていて、音楽映画としても楽しめたのでそれはそれでよかったのです。ところが、この作品ではカプリスや《ヴェニスの謝肉祭》といったものの他には、ヴァイオリン協奏曲第4番の第2楽章を元にしたアリアがあるだけなので、音楽映画という感じはあまりしません。しかも背景や衣装は19世紀初頭らしいのに、アリアや協奏曲を伴奏しているオケから、その当時無かったであろうチェンバロやチェレスタの音が聞こえてきてしまうと、その時点で『…何か違う』と思ってしまうのです。
勿論、いい点もあります。何しろ主人公のパガニーニ役が現役ヴァイオリニストであるデイヴィッド・ギャレットで、当て振りではなくちゃんと超絶技巧を演奏してくれますから安心して観ていられます。馬車が行き交うロンドンの街や風俗も、コンサート会場であるコヴェントガーデン歌劇場も、19世紀の様子をきちんと反映した豪華なものになっています。
娯楽作品としてはなかなか楽しい映画だと思います。お近くで公開の折には御覧になってみては如何でしょうか。