授業が始まった,先生はまだ二十代前半?の超キュートな女性。生徒は日本人3(私,短期留学の大学生,在台1年以上のアーチストの卵),韓国人2(カナダ在住の若夫婦),インドネシア人1,ベトナム人3人の構成。男性は私と韓国人の旦那だけ。そして私以外は数か月以上台湾に滞在経験があるので,フツーに中国語で会話している人たちである
ちなみに先生は前列右の方です。学生みたいですよね
授業の形式は,用中文学中文すなわち中国語で中国語を教わる。今日本の高校でやってる「英語を使って英語を教わる」授業と同じだ。
ある程度覚悟はしていた。台湾の教育機関が作ったサイトを使って事前学習し,語法や文法の説明を中国語でしている動画を繰り返し見聞きして,大分慣れているつもりだったのだが・・・
(1)速い
レベル3(中級)ということもあるのだろう。とにかく先生の話すのが速い! 私が見ていたのは初級レベルのビデオだったので,先生はもっとゆっくり喋っていたし,出てくる言葉も簡単なものだったので,一部聞き取れなくともなんとなく全体的に80%くらいは理解できていたが,本番の授業は50%以下?になってしまっている。
(2)字を見ないとわからない
先生はプレゼンテーションソフトで画像や文章を提示しながら授業を進めてくれるのだが,この辺は大丈夫 漢字文化の日本人にとって,字が見えれば意味は大方理解できる。しかし,先生の話がそこから離れ,口頭での指示となり,文が見えなくなってしまうと,途端に意味不明になってしまうのだ 自覚は無かったが,これまでの学習は完全に「視覚に頼っていた」ようだ。確かに先述の学習動画にも,中国語の字幕がついていた。無意識に音よりもそれに頼って理解していたのだろう。
(3)話すことが通じない!
無自覚だった音の軽視は,アウトプットにも影響大だった。
文法的には正しい言葉を話しているつもりが,相手には「はあ?」といったリアクションで 返されてしまうのだ
①理由の一は,まず声調(イントネーション)。中国語では同じ音でもイントネーションを 変えると全く異なる意味になる。
有名な"マ"の発音で 例を挙げると
マ→(平板アクセント) 妈=お母さん
マ↑(上昇アクセント) 麻=ごま
マ↓(下降アクセント) 罵=ののしる
マV(微下降+微上昇) 馬=うま といった感じ
例えば生活"ションフォア"という言葉。正しくは→↑ なのだが 間違って ↓↓ と言ってしまうと通じない。これは有名なことなので,知ってはいたのだが,いざ話そうとしたとき,緊張して正しいアクセントを忘れてしまう事が度々。話す前に辞書で声調をよく確認する作業が義務付けられるようになった。
②似たような音を言分け&聞き分けできない。例えば"チ"もしくは"ヂ"という発音。中国語の発音記号では"q ","j","zh","ch" と4種類あるのだが,学習開始当初,よく違いが判らなかったので,これまでなんとなく曖昧に過ごしてしまった。しかし,リスニングでもスピーキングでもこれが結構な障害となっていることに気づいた。結局,入門書に戻り,発音の基礎をやり直すこととなった。
そんな訳で, 授業中に「~しなさい」と先生に指示されても何のことかわからない。隣の女子大生にこっそり教えてもらって, やっと作業に入る始末
疑問点があっても, なかなか上手く質問できない。辞書で発音確認して,何度か言い直して,やっとわかってもらえる。あー英語だったらこんなこと無いのに…
授業中に「音」に集中するためには,書く・読むの作業は予め済ませておかねば・・・ということで,予習・復習に力を注いだ。授業は8時45分から11時35分までの3時間弱だが,多い時にはそれ以外に5~6時間勉強した。
そんなこんなで悪戦苦闘すること10日,授業中に話し合いをする作業では相変わらず同級生の話す言葉が聞き取れず,半ば折れそうになった頃,気持ちの転機が訪れた。
比較的席が近く,よく話す日本人&韓国人の5人で昼食しながらおしゃべりする会を行ったのだ。
永康街のオシャレな店でパスタランチ
先述のとおり,私以外は、みんな普通に中国語で会話出来るレベル! ふだん教室では話せなかったあれこれを,みんな楽しそうに話す。私に話が回っても、私のたどたどしい中国語をふんふんと聞いてくれる、みんな優しい
気がつくと、みんなと一緒に中国語で会話して、笑っている自分がいた。そうだよ,全部は分からないけど60%位は分かってるじゃんオレ! やっぱり2週間我慢した分の力は付いてるんだよ。優しい級友たち、ありがとう。あと一週間頑張る気力が湧いてきた。
その日の帰り道,屋台でスナックを買った。以下おばちゃんとの会話(中国語) 「辛くする?」「いや、オレ日本人だから辛いのダメなんだ」「あら、あんた日本人に見えなかったよ」「何人に見えた?台湾人?」「台湾人ぽいよ」「オレ、台湾好きだから、嬉しいなあ」あら、これぐらいなら話せるんだ~ と自分を再認識。
これを機に,悲観することは止めた。とにかく分からなくても聞く,通じなくても話す。3週間しかいられないんだから,少しでも進歩できればOKだ,くらいの感覚。
半分しか分からなくても,授業は楽しかった。これまで中国語は家で一人で学ぶものだったのが,若い素敵な先生や優しい学友たちと一緒に学べる。3時間の授業は,毎日あっという間に過ぎていった。(次回へ続く)
ちなみに先生は前列右の方です。学生みたいですよね
授業の形式は,用中文学中文すなわち中国語で中国語を教わる。今日本の高校でやってる「英語を使って英語を教わる」授業と同じだ。
ある程度覚悟はしていた。台湾の教育機関が作ったサイトを使って事前学習し,語法や文法の説明を中国語でしている動画を繰り返し見聞きして,大分慣れているつもりだったのだが・・・
(1)速い
レベル3(中級)ということもあるのだろう。とにかく先生の話すのが速い! 私が見ていたのは初級レベルのビデオだったので,先生はもっとゆっくり喋っていたし,出てくる言葉も簡単なものだったので,一部聞き取れなくともなんとなく全体的に80%くらいは理解できていたが,本番の授業は50%以下?になってしまっている。
(2)字を見ないとわからない
先生はプレゼンテーションソフトで画像や文章を提示しながら授業を進めてくれるのだが,この辺は大丈夫 漢字文化の日本人にとって,字が見えれば意味は大方理解できる。しかし,先生の話がそこから離れ,口頭での指示となり,文が見えなくなってしまうと,途端に意味不明になってしまうのだ 自覚は無かったが,これまでの学習は完全に「視覚に頼っていた」ようだ。確かに先述の学習動画にも,中国語の字幕がついていた。無意識に音よりもそれに頼って理解していたのだろう。
(3)話すことが通じない!
無自覚だった音の軽視は,アウトプットにも影響大だった。
文法的には正しい言葉を話しているつもりが,相手には「はあ?」といったリアクションで 返されてしまうのだ
①理由の一は,まず声調(イントネーション)。中国語では同じ音でもイントネーションを 変えると全く異なる意味になる。
有名な"マ"の発音で 例を挙げると
マ→(平板アクセント) 妈=お母さん
マ↑(上昇アクセント) 麻=ごま
マ↓(下降アクセント) 罵=ののしる
マV(微下降+微上昇) 馬=うま といった感じ
例えば生活"ションフォア"という言葉。正しくは→↑ なのだが 間違って ↓↓ と言ってしまうと通じない。これは有名なことなので,知ってはいたのだが,いざ話そうとしたとき,緊張して正しいアクセントを忘れてしまう事が度々。話す前に辞書で声調をよく確認する作業が義務付けられるようになった。
②似たような音を言分け&聞き分けできない。例えば"チ"もしくは"ヂ"という発音。中国語の発音記号では"q ","j","zh","ch" と4種類あるのだが,学習開始当初,よく違いが判らなかったので,これまでなんとなく曖昧に過ごしてしまった。しかし,リスニングでもスピーキングでもこれが結構な障害となっていることに気づいた。結局,入門書に戻り,発音の基礎をやり直すこととなった。
そんな訳で, 授業中に「~しなさい」と先生に指示されても何のことかわからない。隣の女子大生にこっそり教えてもらって, やっと作業に入る始末
疑問点があっても, なかなか上手く質問できない。辞書で発音確認して,何度か言い直して,やっとわかってもらえる。あー英語だったらこんなこと無いのに…
授業中に「音」に集中するためには,書く・読むの作業は予め済ませておかねば・・・ということで,予習・復習に力を注いだ。授業は8時45分から11時35分までの3時間弱だが,多い時にはそれ以外に5~6時間勉強した。
そんなこんなで悪戦苦闘すること10日,授業中に話し合いをする作業では相変わらず同級生の話す言葉が聞き取れず,半ば折れそうになった頃,気持ちの転機が訪れた。
比較的席が近く,よく話す日本人&韓国人の5人で昼食しながらおしゃべりする会を行ったのだ。
永康街のオシャレな店でパスタランチ
先述のとおり,私以外は、みんな普通に中国語で会話出来るレベル! ふだん教室では話せなかったあれこれを,みんな楽しそうに話す。私に話が回っても、私のたどたどしい中国語をふんふんと聞いてくれる、みんな優しい
気がつくと、みんなと一緒に中国語で会話して、笑っている自分がいた。そうだよ,全部は分からないけど60%位は分かってるじゃんオレ! やっぱり2週間我慢した分の力は付いてるんだよ。優しい級友たち、ありがとう。あと一週間頑張る気力が湧いてきた。
その日の帰り道,屋台でスナックを買った。以下おばちゃんとの会話(中国語) 「辛くする?」「いや、オレ日本人だから辛いのダメなんだ」「あら、あんた日本人に見えなかったよ」「何人に見えた?台湾人?」「台湾人ぽいよ」「オレ、台湾好きだから、嬉しいなあ」あら、これぐらいなら話せるんだ~ と自分を再認識。
これを機に,悲観することは止めた。とにかく分からなくても聞く,通じなくても話す。3週間しかいられないんだから,少しでも進歩できればOKだ,くらいの感覚。
半分しか分からなくても,授業は楽しかった。これまで中国語は家で一人で学ぶものだったのが,若い素敵な先生や優しい学友たちと一緒に学べる。3時間の授業は,毎日あっという間に過ぎていった。(次回へ続く)