翡翠湖畔で誰にも邪魔されず、
愛犬ケイトと静かに暮らす、
中年の自動車整備工、
大道寺勉と彼の愛した菜津。
菜津は特に優れたところのない普通の女性。
あまりにも自己否定の性格には
少々うんざりしますが…。
誰も来ない山中での食糧確保。
土地代金を一括払いできるお金を所得。
湖面から対岸までの射程教理。
英語が堪能。
一体この男は何者?
謎を秘めていそうな…。
何かいわくつきの男。
自分の過去を、愛する菜津にも
話していないなんて…。
菜津を交通事故で
失ったのを契機に、
謎めいた大道寺の過去が、
明らかにされていく。
最初は二人の愛の日々の、
想い出が描かれていますが、
菜津の死後、一気に、
本の雰囲気が変化していきます。
彼の昔の仕事は鍛えられた始末屋。
大道寺は始末屋の仲間と共に
過去の仕事に引き戻される。
過去の秘密、
菜津の死の真相。
始末屋の仕事とは…
読み進むにつれ謎が
明白にされていきます。
特徴のある長い文章、
慣れてきたのか途中からは
気にならなくなりました。
この作品は、
06年第10回
日本ミステリー文学大賞新人賞の
受賞作品です。
パッサカリアとは
ヘンデルの(チェンバロ組曲第7番)の中にある、
楽曲だそうです。