村上海賊の娘 上巻 村上海賊の娘 下巻
瀬戸内海の海賊、
能島村上家の当主、
村上武吉の娘の景姫という架空の人物、
醜女といわれその上、大女。
彼女がこの物語のヒロイン。
織田軍が包囲した石山本願寺に
兵糧入れをしようとする、
毛利方の村上海賊と、
阻止しようとする織田側の泉州海賊との戦いを
描いています。
信長と一向宗の戦いである
第一次木津川口の戦いが
史実に基づき書かれています。
地元では醜女といわれる彼女は
真鍋七五三兵衛をはじめとして
泉州海賊にとってはかなりの美人、
別嬪さんと誉めたたえられます。
泉州の侍や紀州の傭兵。
鉄砲傭兵集団 「雑賀衆」の
伝説の鉄砲使い雑賀孫市も登場します。
木津川口で火花を散らす
村上海賊と真鍋海賊の長~い戦闘描写。
想像力の不足から、
戦いの様子を頭の中で
思い浮かべることができない
場面もありましたが…
景姫と七五三兵衛の戦いは
かなりの迫力。
敵方となる真鍋の海賊は
とても愉快に描かれていて、
魅力的な脇役になっています。
軽妙な泉州弁は
迫力ある戦闘場面の中で
いっとき気がゆるみます。
眞鍋道夢斎と乃美宗勝の会話シーンも
激しい戦いの中で
緊張感がほぐされるシーンでした。
景姫の弟の景親は
臆病者から勇者に成長します。
登場人物がそれぞれ個性的で
人物の数が多くても読んでいて
それほど頭が混乱するということはなかったです。
とにかく登場人物が、
生き生きと描かれ
それぞれの見せ場も盛られていて
楽しく読むことができました。