一千兆円の身代金
元副総理の孫が誘拐される。
政府に突きつけられたのは、
身代金として、
財政赤字と同額の1085兆円を要求。
あるいは財政危機の責任を反省、
国民への謝罪、再建案の提示。
犯行声明が報道機関へ。
前代未聞の要求に、政府、
捜査陣、マスコミは騒然。
捜査陣はあるブログの存在に行き着く。
一兆円の身代金という、
魅力的なタイトル。
でもなんだかタイトル程、
緊迫感はあまり感じられず
リラックスして読むことができました。
現在の借金漬けの体質、
政治問題が動機になっています。
ミステリーというよりは作者の怒り、
国の未来を憂えるという
作品自体から発する
主張みたいなものが読み取れます。
物語はそれぞれの登場人物の視点で
進んでいく構成になっています。
読みやすくストーリーの構成も
よくできています。
誘拐の結末は改題前のタイトル、
応募時のタイトルで
予測がつくので、
選考過程が書かれた巻末を
先に読んでしまうと分かってしまいます。
第12回『このミステリーがすごい!』大賞・
大賞受賞2作品のうち1作。
大賞受賞のもう1作、
梶永正史作
『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』も
読んでみようかな。