花ごよみ

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壁の男   貫井 徳郎

2017-07-22 | 本 な、は行(作家)

壁の男

町中の家の壁に描かれた、
子供が描いたような絵。

そんな絵を描き続ける、
伊苅(いかり)と言う名の男。

ノンフィクションライターの「私」が取材。
絵を描き続ける理由を探る。


舞台は地方の集落。
故郷に戻ってきた伊苅重吾。

その街で壁や塀に、
決して上手くはない絵を
描き続けるある男の人生が、
その絵に興味を持った
ライターによって明らかにされる。

初めは絵を描くだけの、
変わった男の退屈な物語のような雰囲気で
途中でもう止めようかなと思いましたが
男の今まで生きてきた背景が
分かって行くに連れ
引きこまれていきました。

妻との出会い。結婚。
養護施設出身の若い夫婦、
そしてその娘。
悲しく暗い過去の人生に
気が滅入ってしまいました。

どこかしっくりいかなかったストーリーも
ラストはなるほどと納得できましたが
それにしてもあまりにも
不幸の影に取り憑かれた過去に
やりきれなさを感じました。






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