はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

男Aと男B

2007-10-26 21:53:42 | はがき随筆
 ヒガンバナが咲き始めたある日、母が部屋から外を眺めていた。
 「由井ちゃーん、男が単車で来たよ」
 母が大声で呼んだが、放っておいたら手すりにつかまって走ってきた。
 「由井ちゃん、また来たよ。わっせか太か単車だよ」
 母はおびえて私の腕をつかんだ。
 「研一と昌仁だよ。お母さんの孫でしょう。よく見てごらんなさい」
 「まあ、そうなの」
 真っ赤と真っ白フルフェースのヘルメットを着け、1000㏄と1300㏄にまたがり、私たちに片手を上げて、霧島を目指して走っていった。
   阿久根市 別枝由井(65) 2007/10/26 毎日新聞鹿児島版掲載