年も押し迫ったある日、実家から新物のそば粉が届いた。ここ数年恒例となった親子の年越しそば打ち合戦。今年は身ちょれと思いきや母方から突然、体調不良で来られないとのこと。えらいことになった、一人でできるか不安がよぎる。そば合戦の戦利品を楽しみにしている友人知人がいる。「どげんかせんといかん!」。試される時が来た。母が使うと魔法のめん棒も私にはただの棒きれ。粉だらけで悪戦苦闘。何とかごまかして終了した。その夜はいつまでも母に甘えている自分に気づき赤面する。新年を迎えて独り立ちすることと親孝行を心に誓う。
指宿市 有村好一(58) 2008/1/12 毎日新聞鹿児島版掲載
指宿市 有村好一(58) 2008/1/12 毎日新聞鹿児島版掲載