はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

まちなかギャラリー

2008-01-19 21:56:14 | アカショウビンのつぶやき













 陶芸の道を選んで30年、夫婦2人でこつこつと焼き物を続けてきた姪夫妻が、まちなかにギャラリーをオープンさせた。
 今まで古い民家に作品をならべ、彼の作風を生かす形でギャラリーとしていたが、突然「まちなかにギャラリーをオープンしたの…」と聞かされたときはびっくりした。 
 周囲の心配をよそに2人で創った、十坪ほどの、おしゃれな「ギャラリー利重」は、2人の夢がいっぱいつまった素敵な空間だった。
 陶芸仲間や画家、薩摩和紙や銅細工の友人などの作品も展示され、多彩なジャンルの作品は見応えがある。
 鹿屋市再開発ビル・リナシティかのやのソフトバンク前にオープンした
「まちなかギャラリー利重」が、多くの方々にホッとした空間を提供できる場所になればいいな…と、思いつつエールを送る。
場所は鹿屋市大手町3-20
0994-41-3392
お気軽にお越し下さい。

感傷旅行

2008-01-19 21:04:51 | はがき随筆
 23年ぶりに、同窓会のために訪れた大阪。時の流れという現実を見た。
 毎日のようにのぞいていた本屋はおしゃれな雑貨屋に、銭湯は歯医者に、スーパーはネットカフェに。そして暗くて狭かった下宿の建物は広い駐車場に。この場所で私は笑い、泣き、そしてちょっとだけ恋もした。
 キンモクセイの香りに包まれて感傷に浸る私。そんな私を温かく迎えてくれる友達の顔、顔。縁をこの縁を大切にしていこう。
 冷たい雨にぬれながら、履き慣れないブーツの音を響かせ、私は夜の学生街を歩く。
   喜界町 福崎康代(45) 2008/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載

写真コンテスト

2008-01-19 20:17:58 | はがき随筆


 秋に小さな写真コンテストで思いがけなく最優秀賞をもらった。3歳の孫が90歳の双子(母とその妹)に誕生日の花束を贈った時のショットである。
 ふれあいをテーマにしたそれにマッチしたのだろうか。若いころから写真を撮ってきて、ほんの少し認められた気がしてうれしかった。3万円相当の副賞は、キャンピングセットを選んだ。暖かくなったら庭にテントを張って孫たちと楽しもう。
 元気に散歩をし、台所を片付けたりもする母だが、時に洗面台の場所を忘れたりと痴呆は少しずつ進んでいる。そんな母の〝今〟を残したい。
   薩摩川内市 馬場園征子(66) 2008/1/18 毎日新聞鹿児島版掲載