はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

天敵

2008-08-14 22:00:29 | はがき随筆
 突然、上唇が強烈な痛みに襲われた。庭で草を取っていてハチの巣に触れたらしく、彼らの怒りを買ったのだ。
 アシナガバチは私がクマに見えるのか、上唇へのチューは2度目で、毒針を4年続けて刺した。鏡を見るとタラコのような唇にのらくろ軍曹に似たほお。おかしいがしびれて笑えない。
 抗体反応が心配で病院へ。医師の「血圧や呼吸に異常はなく、安心を」という救いの言葉に、胸の鼓動が治まる。
 翌日、庭木に三つのハチの巣を見つけた。大きなマスクをかけて、憎き天敵の城を殺虫剤で攻め落とした。
   出水市 清田文雄(69) 2008/8/14 毎日新聞鹿児島版掲載 
   写真はチョコ☆さぶさん