「月下美人の花が今夜咲きそうなの」と同窓会の席で友が耳打ちする。友の車に男女5人乗り込んで駆けつけると、暗闇に大輪の純白の花が2輪咲いていた。ほのかに甘い香りが漂う。
ヤシの実が庭のテーブルに置かれる。藤村の詩を思わず皆で口ずさむ。堅い堅いとてこずっていた実がやっとうがたれた。後から来た3人も加わって八つのグラスに、透明なヤシの実ジュースがつぎ分けられる。初めて見る果汁。淡泊で味わい深い飲み心地だった。
折しも同窓会の夜に咲いた月下美人の花と、遠くから来たヤシの実。妙なる夜であった。
霧島市 秋峯いくよ(68) 2008/12/1 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はマグナさん
ヤシの実が庭のテーブルに置かれる。藤村の詩を思わず皆で口ずさむ。堅い堅いとてこずっていた実がやっとうがたれた。後から来た3人も加わって八つのグラスに、透明なヤシの実ジュースがつぎ分けられる。初めて見る果汁。淡泊で味わい深い飲み心地だった。
折しも同窓会の夜に咲いた月下美人の花と、遠くから来たヤシの実。妙なる夜であった。
霧島市 秋峯いくよ(68) 2008/12/1 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はマグナさん