はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

バスと盲導犬

2008-12-21 00:05:29 | はがき随筆
 落ち葉の舞う中をバス停にたどり着いた私は、盲導犬を連れた「アラフォー」の女性を見た。彼女はバス停の縁にすっくと立ち、じーっと前を向いたままである。ひたすらバスのエンジン音が近づくのを待っていた。
 私はバスの止まる位置がずれはしまいかと心配になった。しかしバスのドアはピッタリと彼女の前で開いた。私はやっと気が付いた。彼女は前もって犬を連れた自分の姿を運転手に見えるようにたっていたのだ。
 生活の知恵とはいえ、彼女の用意周到さに私は、自分の行き当たりばったりの性格と引き比べて、恥ずかしい思いがした。
   鹿児島市 高野幸祐(75) 2008/12/20 毎日新聞鹿児島版掲載