はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

やっちゃった

2012-01-02 12:01:54 | はがき随筆
 しょうがは、体温を上げ、カロリー消費をよくするとか。
 この冬一番の寒さが来た日、買い物の帰り、景品にしょうが湯をいただいた。帰りつくなりコートも脱がず大きなコーヒーカップをもってポットへ。えらい分量だが、3人分? そして色あざやかな真黄色、お湯をいれて口には出来ないほどの香りとプチプチとはじける泡に「はっ」と気づいた。入浴剤だった。その後、井戸端会議ならぬ女子会で笑いになったが、その中の一人が「私もやっちゃった」と言う。「バカやっちょいが」がここにも一人いた。なんだかうれしくなった。
  阿久根市 的場豊子 2011/12/31 毎日新聞鹿児島版掲載

うーん、納得

2012-01-02 11:53:36 | はがき随筆
 御世話になっているK子さんとA君とを招き3人で飲もうと思っていた。ところが、彼の都合が悪く、2人でどうぞと言う。じゃ、ン十年ぶりのデートとするか。妻に話すと「K子さんが、飲み屋に行きたいだろうか? あんたと」と、「あんた」を妙に強調する。そう言われると、自信はない。そっと鏡をのぞく。
 髪は薄い。顔は土色、老人特有のシミも。背中は丸まり、カップルには不向きだ。うん、彼女に恥をかかせるだけで、私の感謝の気持ちも伝わらない。今回だけは無念だが、妻の「あんたと」を素直に受け入れよう。
  肝付町 吉井三男 2011/12/30 毎日新聞鹿児島版掲載

「餅つき」

2012-01-02 11:49:47 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月31日 (土)

     岩国市  会 員    樽本 久美

 母の体調が悪いので「年末恒例の餅つきはやめよう」と話していたが「1人でもやるよ」と母の言葉。5年前、夫が入院していた時も、年を越してまでも1人で餅つきをした母。母の思いをくんで昨年は早朝5時に実家に行き、餅つきを手伝った。毎年、8時ごろ実家に行き、丸めることはしていたが、昨年は最初から手伝った。

 姪と甥も一緒にみんなで餅を丸め、そして食べた。ささいなことだが、今年もみんなで餅つきができることに感謝したい。来年はもう無理かなと思いながら、両親のうれしそうな背中を見た。
   (2011.12.31 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載