はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

部活を支える

2012-01-24 20:07:23 | ペン&ぺん
 18、19日の両日、鹿児島市に全国の高校運動部の顧問ら約560人が集まり、第46回全国高校体育連盟研究大会が開かれました。大会は全国高体連などが主催し、毎日新聞社が共催させていただきました。
 競技力など3部門で研究発表があり、優秀研究表彰3人には毎日新聞社賞が贈られました。このうち「高校生サッカー選手に必要な基礎体力を総合的に改善するためのボールを利用したトレーニングプログラムの検討」と題し発表した義岡昌明・県立串良商高教諭については20日の本紙鹿児島版で紹介しました。ここで優秀研究発表をもう一つ紹介します。
 その発表は、福井県立鯖江高男子体操部顧問の田野辺満教諭の「体操競技の技術進歩と安全性について~男子高校生の現状と課題」。体操は、けがの多い競技の一つ。近年は高得点を狙おうと能力以上の技に挑戦し、けがをする選手が増えているといいます。
 そこで、10年の沖縄インターハイなどの体操で高難度の技が行われている男子跳馬を検証。予選の全演技を撮影し、技の傾向を分析。さらに高体連の審判員4人が、跳躍の高さや飛距離、回転などを基準に、危険▽不安定▽安定など4段階で評価しました。
 その結果、3%以上が危険、17%以上が不安定な状態で行われている技だと判断されました。中でも「抱え込みツカハラ跳び」は、演技の半数以上が危険または不安定な感じでした。
 田野辺教諭は、事故防止のためには「選手が能力に合った技を飛ぶことが有効。審判や体操協会との連携が必要だ」と発表で結んでいます。
 競技は違いますが、フィギュアスケートでも3回転ジャンプを封印し演技をまとめた方が高得点になることもあります。チャレンジする気持ちを抑えつつ、選手にやる気を出させることも大切な指導法だと感じました。
  鹿児島支局長 馬原浩 2012/1/23 毎日新聞掲載

コクマルガラス

2012-01-24 15:37:44 | はがき随筆
 家の前の電線に黒っぽい鳥たちが群れていた。その中の1羽が「ギュルーギュルー」と鳴きたてている。双眼鏡で見るとコクマルガラスの淡色型だった。ムクドリより少し大きく、頭から胸にかけて白い。冬鳥で、全身黒い暗色型もいる。
 以前にもツルのねぐらの高尾野町の東干拓地で、ミヤマガラスの大軍の中にいるコクマルガラスを見たことがあった。でも鳴き声を聞いたのは初めて。
 うれしくなって、近くにいた人に「珍しい鳥がいますよ。見て」と興奮気味に話しかけた。するとその人は鳥よりも私の方を物珍しそうに見た。
  出水市 清水昌子 2012/1/21 毎日新聞鹿児島版掲載

教え子は先生

2012-01-24 10:37:39 | はがき随筆
 私には過ぎた教え子Yさん。
 3人の子の母で、家業で年中多忙なようだ。だが、音楽会ではいつもよき相談相手。私の拙い作詞曲まで美しいソプラノで歌ってくれる。私は幸せでいっぱいになり、感謝は尽きない。
 昨年の視覚障害者のSさんのコンサートでのこと。Yさんは3曲も歌う出演者だったのに、Sさんの胸に花を飾ってくれた。彼は、にこにこ。うれしそう。私は、はっとし、彼女の優しさに胸を打たれた。主催者の私がすべきことだったのだ。
 Yさん、ありがとう。また、支えてもらった。Yさん、貴女こそ私の先生。
  出水市 小村忍 2012/1/20 毎日新聞鹿児島版掲載

笑って笑って

2012-01-24 10:25:05 | はがき随筆
 母は、まもなく満94歳です。去年は床ずれに悩まされたので今年は夜中にも起きて、体の向きを変えています。そのせいで母はいいのですが、私が風邪をひいてしまいました、
 病院に行くと、なじみの看護師さんとおしゃべりです。
 「あら、お母さんは?」
 「デイに行きました。わたしは病気で母元気。今朝はおむつ交換の時2発たたかれました」
 「1発1000円?」「回数も増えたし、不況だから2発で1000円よ」
 「アハハハ……」
 母の反抗、ドンと来い。私のふところ増えるだけ。
  阿久根市 別枝由井 2012/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載