はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

連想

2012-01-12 22:16:31 | はがき随筆
 古い中国の映画を見た。小高い丘の上の墓地に向かって楽団が先頭に立ち、ドラや太鼓、笛で調子を取り、踊り子の後ろに家族がぞろぞろと登って行く。墓参りだが、曲が昔の日本の軍歌だった。私はしばらく考え、この楽団が昔、日本軍の慰安に行って覚えたんだと気がついた。
 日本でもそういうことがあった。終戦当時のジャズバンドは盛んに米軍キャンプに演奏に行っていた。中には家族を食わせるために、裏の仕事に手を染める娘もいた。「パンパン」「従軍慰安婦」などを考えあわせると、戦争はするのではないなとつくづく思った。
  鹿児島市 2012/1/11 毎日新聞鹿児島版掲載

「頑張れ友よ」

2012-01-12 16:16:49 | 岩国エッセイサロンより
2012年1月12日 (木)

岩国市  会 員   林治子

スーパーでばったりと友に会う。人づてに彼女が乳がんで片方を取ったことを聞いていたので、どのように声をかけていいのかと迷っていた。

すると彼女の方からいきなりしつこいセールスの話。「断ってもしつこいのよね。パッと片肌脱いで、この手術の傷が目に入らぬかと言ってみたらどうじゃろね。びっくりして飛んで逃げるやろうね」と言ってアハハと大笑い。

こんな冗談が言えるんだと感心。でも月1回は術後経過のため病院に通っていると聞き、がんの恐ろしさを知った。彼女にエ-ルを送りたい。

  (2012.01.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載