はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

東京砂漠

2012-01-29 14:53:12 | はがき随筆
 姪の東京での結婚式に、久しぶりの親子4人で参列した。
 若い2人の門出を祝福し、式も滞りなくお開きとなった。祝い酒での顔の火照りが、外の風に心地よかった。
 式服のまま式場の青山から横浜までタクシーを使った。これが、東京の運転手の典型。一言も口をきかない。おまけに目的地の直近にも行き着かないのに「すみません」の一言もない。
 「おめでとうございます。天気もよろしくて」ぐらいは言いたくなるのが人情だろう。祝いやわびの一言も言えないまでに人間味を喪失させたのも東京砂漠のせいだろう。
  肝付町 吉井三男 2012/1/28 毎日新聞鹿児島版掲載