はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ふるさと語

2012-03-01 14:37:35 | はがき随筆


 「唐の国」から渡ってきたので「からいも」。「薩摩の国」から広まったので「さつまいも」と言うのだと教えられた。
 大学時代、四国の友人が「つけあげ」を「さつまあげ」と言った。言葉の変化の過程を見た気がした。
 東京に住む高校時代の親友に送ると「ちけあげ」とわざとなまり、はしゃいで喜ぶ。
 どこか泥くさくて、田舎っぽくてなつかしく、ほっとするふるさと語が好きだ。
 「薩摩の子ならやっぱり『からいも』『つけあげ』でなくちゃね」と、娘には私のこだわりを押しつけている。
  鹿屋市 伊地知咲子 2012/3/1 毎日新聞鹿児島版掲載

「金の卵」って

2012-03-01 14:02:21 | はがき随筆
 「中学の同窓会に出席できるか」。幹事から連絡。名前は出てくるが、顔は思い浮かばない。歳月人を待たずか。金の卵って知ってますか。団塊の世代と呼ばれる爺さま、婆さまだ。
 当日。「どちらさん?」「お宅は?」「あれ、お前かよ」
 さびついた時計は動き始め、いつの間にか鹿児っま弁に。「だった。だった」の話で針は50年前から進みません。翌日、「では、また」。バスの窓から手を振る彼の目に涙。きかん坊のN君だ。皆、笑った「お元気で」。注目の的だったK嬢。妙にさびしく聞こえた。次は再会はどちらの言葉になるのかな。
  姶良市 山下恰 2012/2/29 毎日新聞鹿児島版掲載