はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

燃えて上がるは…

2012-03-27 22:06:33 | アカショウビンのつぶやき


「燃えてあがるは おはらはぁ桜島」と歌われるのは、鹿児島民謡「おはら節」。

最近の桜島は活動期に入ったと報道されるが、その爆発回数の多さには不気味なものを感じる。
昨年の爆発は千回に達しようか…というところ終わったが、今年は3月27日現在で既に365回。
地方紙の提供する桜島降灰速報で、携帯は鳴りっぱなし…メール着信音を静かな曲に変更したほど。

桜島が噴火すると、灰は夏は南東の風に乗り、薩摩半島の鹿児島市方面に流れるが、この時期は北東の風に乗って大隅半島、鹿屋市方面に流れて来る。

今日はやっと重い腰をあげて灰掃除をした。
吹きだまりのあたりは、1平米で洗面器半分ってところかな。毎日掃除をすればいいのだが…どうせ明日も降るんだし…と思うと毎日やるのも面倒になり、かなり積もってからの掃除だから大変。
更に集めた灰を、回収ポストに運ぶのも難儀である。

農作業にも大きな被害が及ぶ降灰だが自然の力にはなすすべもない。

福島原発ではまたも汚染水が流出したと報じられた。天災・人災が次々と地球の安全を脅かす。

永田町は一体どうなっているんだろう。


闘病記その3

2012-03-27 12:31:15 | はがき随筆
 紹介先の泌尿器科へ行った。尿の検査はPSAの数値2で安泰。血液検査も異常なし。首の骨が折れないよう上半身に装具をつけたまま、ゆっくりと杖で廊下を歩く。帯状疱疹も広がる。夫は、がんの転移だよと断言する。転移だけが身体の中をさまよう気分に浸っている。私もそうだと感じた。幹部に看護師さんが薬を塗った。転移の画像には、肋骨下から2番目あたりとぼうこうの横の骨が黒かった。夫は肋骨が痛いと言った。痛み止めをドクターは処方した。薬が効くよう。帯状疱疹も何日も痛くて我慢したともらした。あほかいな! 臆病者!
  姶良市 堀美代子 2012/3/27 毎日新聞鹿児島版掲載

復習しよう

2012-03-27 10:55:26 | ペン&ぺん
 「地方公共団体の議会が制定し、その地方公共団体だけに適用されるきまりのことを何というか。漢字2文字で書け」
 「参政権の具体例として、最も適当なものは次のア~エのうちどれか。ア・刑事補償請求権 イ・団体行動権 ウ・職業選択の自由 エ・最高裁判所裁判官の国民審査」
 今月、行われた県立高校入試・社会科の問題である。支局で問題の抜粋を入力しながら、数学や理科は解けないが、社会科なら解けると思った。
 ところが、時代は変わって、かつて中学で学んだことのない設問も。たとえば「ユニバーサルデザイン」という解答を導き出す問題などがあり、恥ずかしながら戸惑うこともしばしばだった。
   ◇
 さて、国政に目を転じると、消費税増税で与野党の駆け引きが続き、国民は戸惑うばかり。少し古い話だが、自民党の安倍晋三元首相が先月のテレビ番組で、与党が衆院解散を約束し野党が消費増税関連法案の成立に協力する「話し合い解散」の可能性に言及した。
 安倍氏は「民主党は増税しないと言ってきた。(それを翻して)関連法案を成立させたいというなら法案を通した後の解散を約束すべきだ」と話したという(2月26日朝刊2面)。解散総選挙得近しという気運が漂い始めた。
   ◇
 冒頭の設問の答えは「条例」。2問目はエの「最高裁判所裁判官の国民審査」だ。その国民審査は普通、衆院総選挙と同時に行われる。
 手元に、政権奪取した09年の民主党マニフェストがある。鳩山由紀夫氏が表紙の冊子だ。総選挙を前に、前回どんなことを国民に約束したか読み返してみたい。なにごとも復習が大切だから。
    ◇
 4月1日付で転勤することになりました。後任は坂本秀登支局長です。どうぞ、よろしくお願いします。
 鹿児島支局長 馬原浩  2011/3/26 毎日新聞掲載

竹の子

2012-03-27 10:30:46 | はがき随筆


 2月の初旬の日曜日。1時間で何本の竹の子を探せるか。山主と焼酎をかけて対戦である。彼の竹林は草木1本もない。しかし、長年の竹の葉が山肌を5㌢以上も覆い尽くしている。
 山主はヤマンガ(山刀)で竹の葉を削り取って探す。私麦踏みのように竹林の墨から踏んで探す。私が16本。山主が9本。15分の時間を残して山主がギブアップした。
 山主が「お礼はできないが竹の子の芽が出る。中旬まで手伝って欲しい」。「お礼は一杯の焼酎で手を打ちます」「君の一杯は腹で一杯だから要注意だな。ワッハッハ」「ウッフッフ」
出水市 道田道範 2012/3/26 毎日新聞鹿児島版掲載

文集出版に挑戦

2012-03-27 10:23:39 | はがき随筆
 茨城県土浦市の坂本裕子さんは、毎日新聞の「女の気持ち」をはじめ、他の新聞などへ投稿した本数が100本に達したのを機に、文集「えんぴつと消しゴム」を出版された。
 坂本さんは兼業農家の主婦で2人の子育てをしながら家族が寝静まった後、酒を楽しみながら書いたとか。新聞記事を見て早速購読の注文をした。文集は新書サイズで約200㌻。12年間書きつづったエッセーは折々の出来事が記録として残され、意義深いものである。私も「はがき随筆」など100本を越した。坂本さんに啓発されて文集作成に挑戦することにした。
  志布志市 一木法明 2012/3/25 毎日新聞鹿児島版掲載

遠い春

2012-03-27 10:18:48 | はがき随筆
 冬の寒さをひきずりながら弥生を迎えた。暦の上では春なのだが、春の感触はあまりない。それでも梅が散り椿が咲いて花は春を迎えたようである。
 気温は少し上がったが、風は冷たくジャンパーが脱げず、桜の咲くのを待つしかないのかもしれない。
 それにしても寒い春。花が咲いても庭に小鳥が来ない。そのことが何よりも寂しい。いつもはミカンを輪切りにし枝に刺し小鳥をまつが、その喜びもない。
 早く春になって身軽になり青い空を仰ぎたいものである。切ないまでに、そう思うこのごろである。
  志布志市 小村豊一郎 2012/3/24 毎日新聞鹿児島版掲載

古き良き時代

2012-03-27 10:11:48 | はがき随筆
 高なるポンポン船、地引き網の士気の良さ、浜の朝は活気に満ち、常に潤っていた。桜季の荒磯は、笑顔の花咲く人であふれツイストまがいで取る貝場には、イモを洗うような人の波が押し寄せた。栄養源の宝庫だった。
 見惚れた進水式はたくさんの大漁旗の色が風に踊り、岸の群がる人垣に、紅白の餅が振る舞われた。貧しいながらも古き良き時代であった。
 沖のテトラポット、砂浜なしの石段、今は、すっかり様変わりした。
 別天地に思えたあのころが、とても……いとおしい。
  指宿市 池元民子 2012/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載

流行性感冒

2012-03-27 10:04:42 | はがき随筆
 インフルエンザが猛威をふるっている。昔、流行性感冒といってやはり猛威をふるっていた。学級内で10人ぐらい欠席者がでると学級閉鎖になった。「今日はもう下校です。明後日まで休みです」。子どもたちは「やった」と喜んだ。続けて「絶対に家から出てはいけないよ。家の中で過ごすんだよ」の言葉に少し不満だったが喜んで帰った。
 ところが翌日から担任が家々を訪問し、子供の様子を見て回るのだ。これには子供は自由がなくがっかりした顔を見せた。 
 インフルエンザのニュースを見ると当時の子供たちの顔を思い出す。
  出水市 畠中大喜 2012/3/22 毎日新聞鹿児島版掲載