はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

海辺の図書館

2012-03-22 11:44:36 | はがき随筆
 目の前には、水面がきらめく東シナ海が広がる。小春日和の海には、黒いウエットスーツを着た数人の若い男のサーファーの姿も。水平線近くの墨絵のような島影は甑島だろう。
 ロケーションのいい場所にあるのは、大学教授が定年を機に開設した私設図書館だ。2階に4部屋あるアパートの1階半分がスペースに。経済学を専門にしていた彼の蔵書が中心だが、鹿児島県関係の歴史本やマンガ本も書棚に並んでいる。
 この日は「室長」が留守のため利用できなかった。夕日が美しい時に再訪し、読書のゆったりした時間を過ごしたい。 
  鹿児島市 高橋誠 2012/3/21 毎日新聞鹿児島版掲載

いいんじゃない

2012-03-22 11:40:07 | はがき随筆
 14歳の一人娘は、私が何か発言すると、必ず「いいんじゃない」と、すぐに肯定してくれる。
 その言葉にホッとし、いつも癒されていると思う。
 「たまには美容院にいってこようかなあ」という私。
 夫が元気な時に、いつもそう言ってくれていたように、娘は「いいんじゃない。女はいつもきれいにしていなきゃね」と言ってくれる。
 娘の言葉に元気づけられながら、介護生活を乗り切っていけていると感じ、感謝の気持ちでいっぱいだ。
  鹿児島市 萩原裕子 2012/3/20 毎日新聞鹿児島版掲載

からからと

2012-03-22 11:35:13 | はがき随筆
 書き終えたばかりの随筆を娘に読んでもらう。コメントはいかに? すると唐突にきたのが「インパクトがないね。平凡だし味わいがない」と言いたい放題。さらに「ママが書きたいことが何もつたわってこない」と激辛評。思わず、ずっこけてしまった。「この批評、甘んじて受けましょう」とおどけたものの、内心がっかり。娘は新聞を読み始めた。そして、からからと笑い出す。その目線は本紙! 「うまいね!」とうなっている様子。その時、私は燃える。今度はその言葉、そっくりいただくわよ。
  鹿児島市 竹之内美知子 2012/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載