はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

my柿

2015-01-03 15:24:29 | はがき随筆
 玄関横に小5の次男が種から育てた柿の木がある。6年目にして台風被害を免れた10個が色づいた。大事に見守っていた次男が干し柿を作ると言うので、一緒に皮をむき、ビニールのひもで4個を物干し竿につるした。
 それからしいうもの、毎日、「いつ食べられる?」と聞く次男に1ヶ月と答えながら、2週間目に1個を試食した。美味しい! かくして1週間を待たず、残り3個も胃袋へと消えた。
 樹上の実は、透明感のある朱色の熟柿へと変わりつつある。次男と私は熟柿も好物だ、野鳥を気にしながら、食べ頃を今か今かと待っている。
  垂水市  川畑千歳 2015/1/3 毎日新聞鹿児島版掲載

新しく生き直す

2015-01-03 05:27:53 | はがき随筆
 「あなたの前向きな明るさにイライラして怒りがこみあげてきたわ」
 ひどいうつを患う彼女が、別れ際に吐き出した言葉である。
 返す言葉が見つからなかった。彼女の心に寄り添えなかったことが悲しかった。前向きな明るさが彼女の力になると思い込んだ自分の独りよがりを恥じた。
 「泣く人と共に泣きなさい。笑う人と共に笑いなさい」を生きるには、絶えず自分の殻を破り、もっと大きく、もっと自由にならなければいけないと思い知らされた。
 さあ、新しく生き直そう。
  鹿屋市 伊地知咲子 2015/1/1/ 毎日新聞鹿児島版掲載

幾つになっても

2015-01-03 05:21:22 | はがき随筆
 市の公民館講座の写真講座に通い始めて半年。同学のIさんの年齢を先日初めて知った。今年で90歳。私の母親と同じ年齢なのだ。
 「他に何もすることがないので参加しました。」と,物静かなIさんは謙遜されるが、さまざまな題材を選んで写真に表現されている。飲み会にも自分のカメラを持ってきて映して記念写真を参加者全員に配られた。
 90になってもこうした活動をされる意欲は「すごい」の一言に尽きる。幾つになっても楽しみながら生きていけるのだと、歳を重ねていく自分の励みになった。
  姶良市 中馬和美 2014/12/31 毎日新聞鹿児島版掲載