風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

寒波襲来は柿の皮むき 199号

2007年11月17日 13時05分16秒 | ワーキングホリデー飯田
新宿から中央高速バスで高森バス停留所に到着した11月12日から4日間、飯田市座光寺の篠田農園で市田柿の皮むきの手伝いをした。昨年より数日遅いので、柿も残り少なくなっている。3日目には70kgを処理するだけとなったが、しかし問題が発生した。

その柿は2週間前に収穫、冷蔵庫に保管した物であるが、自然に熟しが進行して極めて軟らかくなっている。皮むきロボット・ムッキーには難しい作業となり、皮が残る柿が多くなり手作業で再度取り除く作業がいる。極端に軟らかいものは、主人が半自動の皮むき機械を操作して取り除くのである。規格内の物を処理することは、機械が得意であるが、落ちこぼれは人間が世話しなければならない。悪戦苦闘の末、晩飯までには完了できた。天気予報によると、冬型の気圧配置となり、寒波襲来するという。美味い市田柿が出来るだろう。

農産物は、生き物で一個ずつ違っているから、マニュアル処理できないのが、工業製品との違いである。同様に違った個性の人を対機説法で、細やかに教育するのが農業思想で、日本人には合っていると思うのである。

若者のナガイさんとコバヤシさんが、ボランティア仲間で共同作業をした。
ナガイさんは大学院修士課程を終了した大企業の化学会社の会社員であったが、転職して再出発の束の間の時間で、援農体験をしている。大学院の修士や博士の称号のある人々と企業との橋渡しをする新分野の仕事に就職する。

就職氷河期の学生が、希望の職が見つからず、止む無く修士や博士課程に進学したが、行き先が教授の紹介では限界なので、手助けするコンサルタント業の様である。該当者が気軽な学生気分から抜け出す意識革命が難しいと言う。

竿頭進歩という禅語を紹介したら、大変喜んでくれた。
「石霜和尚云く、百尺竿頭、如何が歩を進めん。又た古徳云く、百尺竿頭に坐する底の人、得入すと雖も未だ真と為さず。百尺竿頭、須らく歩を進めて、十方世界に全身を現ずべし。」

富士山の頂上に到達したら、そこで一生暮らすのですか?そんなことは不可能であるが、次の一歩はどうするのですか?山を下って別の山の頂上を目指すことで、自分を高める修行をひとまず終了して、世間のお役に立つことではないのか?

修士や博士の頂点を極めたら、こだわり・かたより・とらわれを捨て初心に帰り、勇気を持って新分野に挑戦する気概の重要さを言っている。単純な作業でも修士・博士なら仕事振りが違い、職場が変わり、結果として高い報酬が付いて来る。

小林さんは自動車整備士であったが、農業を生涯の仕事と定め、埼玉県から夫婦で飯田に移住し、長野県の農業里親制度の適用を受け、桃と梨とりんごの畑を借り、果樹農家になるという。農業機械に頼る果樹農業には、整備士の経歴が役立ち、農村復活の開拓者になるだろう。

頼りない役人が増えているが、大歩危で古民家を保存する空音遊のノリさんやナガイさん・コバヤシさんを拝見すると、日本の未来は明るい気がする。

ご馳走になった晩御飯の飯田風おでんは初めての味である。だし汁で煮たおでんに大量の刻みねぎをみりん・醤油で漬け込んだたれを掛けて食べるのである。美味だった。最終日は皮むきロボット・ムッキーを感謝しながら掃除をした充実の4日間であった。


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