風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

嗚呼、紅葉は混色、桜は葉桜 396号

2008年11月12日 05時55分58秒 | 随想
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、鳥達が農薬などの化学物質の犠牲となり、鳴き声の無い春という出来事を通しその危険性の問題提起をした。

実際に日本では農薬で餌の小動物を殺された佐渡の朱鷺や豊岡のコウノトリが絶滅したが、中国やロシヤの善意や農薬の使用をやめた地域環境の構築で、鳥達が野生に復帰した。

最近、紅葉狩りに香嵐渓や飯田街道の山並を訪れた。赤や黄色や褐色が濁っている。温暖化の影響で気温低下が十分でなく、緑葉が残るためである。

葉が緑なのは葉緑素・クロロフィルが含まれるからであるが、寒くなり日照時間が短くなるとクロロフィルが分解され消える。そして紅葉が目立つのである。

紅葉の色素「アントシアン」は秋に葉に蓄積したぶどう糖や蔗糖と紫外線の影響で発生する。黄葉は色素「カロテノイド」、褐葉はタンニン性の褐色物質による。秋に葉の葉緑素が分解することにより、美しい発色をする。

温度上昇の環境は葉緑素の活動を活発化するかもしれない。桜の開花時期に葉が茂れば、桜の花の感動は半減する。葉桜、緑は早春に似合わない。

移動できる鳥は飛び去り、より好適な環境を選択できる。しかし大地に根を張り悠久の時を生きる巨木はじっと耐え、立ち枯れの死刑宣告を待つ。残酷な話である。

温暖化の原因は、地下に眠っていた石油で動き回る自動車の排気する炭酸ガスや窒素酸化物である。そして自動車を製造する材料の製鉄、エネルギーの電力など温暖化ガスを放出する。

鉄とガラスとコンクリートの都市集中の高層ビル群。原油を軸にする西洋物欲主義を離脱して、更なる自然と共生する心を復活する時期が来ていると思うのである。春の桜、秋の紅葉、落ち葉焼きの煙たなびく桧皮葺の木造家屋。美しい日本の原風景である。


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