風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

鬼さんこちら 443号

2009年01月16日 10時54分15秒 | 随想
高畠導宏はプロ野球のコーチだった。54歳の時、教員免許を取得、福岡県筑紫台高等学校の教員になり、高校野球監督として甲子園球場のグラウンドに立つ夢は叶わなかった。膵臓癌の為、60歳で逝去した為である。

プロ球界きってのアイデアマン、情熱野球人で、数多くの打者を育て上げた。

南海ホークスの春季キャンプに、雪が降れば、農家のビニールハウスをブルペンにする提案をする。野村克己兼任監督も絶賛する。

落合博満に「グリップの高さを10cmほど高くしたらどうだ」の一言で大打者にした。その落合監督は失意の中村紀洋を「期待してないから」の言葉で復活させた。教え方は伝承される。

NHKドラマのフルスイング「キャッチ」は高畠導宏をモデルとしている。

高畠導宏のクラスで、英語担当の太田先生に対する子供達のいじめが発生する。帰国子女が首謀者となり会話力で教師をいじめ、精神が衰弱して長期休暇に入る。校長は退職届の提出を座して待つのみである。

高畠導宏は個人的に太田先生の心のケアを始める。歩き、ランニングそしてキャッチボール。そして太田先生はキャッチの真の意味に気が付く。

日本語の不得手な帰国子女は、得意な英語で必死に悩みを述べ、英語教師に助けを求めていたのである。キャッチ ミーは「私を助けて」の魂の叫びだった。そして教科書に従った英語でゆっくりと心を伝える太田先生。キャン・ユー・キャッチ・マイ・ボール?。イエス・サー、アイ・キャン・キャッチ・ユア・ボール。心のキャッチボールが始まった。 

日本国の優秀な英語教師は正しい文法、難解な文章の読解力は欧米人以上である。しかし会話は苦手である。英語教育の存在理由は心を外国人に伝える人間の道具を授けることである。

戦後の英語教育は進学の、出世の、金儲けの道具になり、文法や読解力に重点が有り、相対比較の格差社会を造った。従って会話は軽視される風潮がある。本来無意味な教育で鬼と同じである。

「Catch me if you can(捕まえられるものならつかまえてみろ)」は日本語で「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」の鬼ごっこの掛け声である。おいらは英会話の必要性が皆無だからこの遊戯には参加しない。

豪華な部屋で英語豊富な日本語の会議遊戯より、灼熱の太陽の下の農作業に価値を見つけるおいらは世間から変人扱いされる変な国日本は混迷している。

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