風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

株主優待券に引かれて伊勢参り 424号

2008年12月20日 13時37分52秒 | 随想
孤独な一人旅を愛するおいらが、唯一頻繁に二人旅をする名古屋の従兄は近鉄電車の株主である。無料の優待乗車券で神宮への旅のお誘いである。神宮といえばお伊勢さん、お山といえば比叡山である。

お伊勢さんの全ての社殿と鳥居を建て替え、神に転居していただく式年遷宮。天智天皇の娘の持統天皇の御代に始まり、1240年後の第62回は平成25年である。

近年は式年遷宮の4年前に宇治橋が架け替えられる。

仮橋が完成し、来年の2月2日から解体され、11月3日には三代揃いの夫婦の宇治橋渡始式である。

三代揃いの夫婦は、一組の孫夫婦には2組の子夫婦が存在する。子夫婦には4組の親夫婦が不可欠である。14人の人間で全国的にも極めて希な集団である。

木造の巨大な橋の部材は手作業で数年費やして準備される。そして組み上げには多くの人力を結集して丁寧に時間を掛ける職人仕事である。

機械で加工、重機で組み上げる近代工法なら、一月程度で完成するが神の持ち物としては似合わない。神は人間好きで、手作業を希望する。経済社会の効率・能率・無駄など人間臭い金勘定とは無縁の伝統の心である。

そして200年後の式年遷宮をにらみ、樹齢200年を超える桧の用材の神路山・島路山・高倉山や赤沢国有林を御杣山とすべく桧の植林を続けている。

鉄とコンクリートの明石大橋の工期は10年間だったが、地球を破壊した鉱物が用材だから10年間で出来た。建設費は5000億円である。

木造の宇治橋の工期は270日であるが、桧の大木を育てる為に200年の山仕事の精進努力が隠されている。その事が偉大な日本人の心で金勘定は不可能である。

蛇足だが、仮橋を撤去した後の開口部は復旧される。その為に撤去された木々は大切に保存されている。

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