晴耕雨読の日々だったが、後期高齢者になり早寝昼読であるが、昔読んだ記憶のある菊池寛の「恩讐の彼方に」をネットの青空文庫で読んだ。
ボケが始まる60歳代前半に、JR四国のバースデイきっぷを利用して四国を周遊した時に訪れた阿波国大歩危の奥の平家落人の里・かずら橋の祖谷渓、そして立ち寄った道後温泉のユースホステルで四国遍路を知り、石手寺を参拝し、苦節7年、88寺を巡拝し結願したのだったが、豊前国耶馬渓と勘違いしていた事に気が付いた。
主人殺しの贖罪の為に苦節21年を費やして了海和尚の交通の難所に穿った青の洞門を訪れることは事実誤認の贖罪の為に価値ある旅なのだろう。
事実は禅海和尚の洞門托鉢勧進によって掘削の資金を集め、石工たちを雇ってノミと槌だけで30年かけて掘り抜いた平凡な事実で、小説は事実より感動するのである。