韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

ナクトンガンの河口堰開放の国際フォーラム

2016-11-17 21:51:05 | 日韓環境情報センターの活動
11月15日から17日まで、釜山のナクトンガン河口堰開放の国際フォーラムに、通訳&コーディとして参加してきましたので、感想を紹介しましょう。

ナクトンガン河口堰というのは、水道の飲み水や工業用水や農業用水に海水の塩分が入らないように、河口から数キロのところにある可動式の堰のこと。1983年から工事を開始、1987年の11月に完成しました。これと同時にナクトンガンの川辺の湿地やアシ原や砂浜、干潟が埋め立てられ、工場やアパートが立ち並ぶようになったそうです。

この河口堰ができてから、海水と川の水が分断されて堰の上流には汽水域がなくなり、シジミ漁が壊滅状態になったのは、日本の長良川と全く同じです。

このように河口堰ができてから、環境は悪化したのですが、塩分が含まれていない水を供給するという目的のまえでは、河口堰のマイナス部分を指摘する声は大きくなりませんでした。

ところが、3年ほど前から急速に水質が悪化、ミドリのペンキを撒いたようなアオコが一面に発生し、大問題になったわけです。去年、信州大学のパクホドン教授や熊本保健科学大学の高橋教授とアオコの調査をしたときも、あまりの酷さにショックを受けました。

さすがに、これではダメだと、以前からの環境団体の働きかけに、プサン市も動きだし、昨年10月、市長自らが河口堰を開けると宣言をしたわけです。

ところが、河口堰は国のもの、プサン市が開けると言っても、プサン市だけではどうにもなりません。それで、行政だけでなくNGOや専門家等が一緒に開放のための活動を、共に行っているわけです。

国は反対、周辺自治体でも反対のところがあり、プサン市の闘いは、なかなか厳しいのが現状です。プサン市の中では、河口堰開放が主流ですが、国政レベルやプサン周辺の地域レベルで考えると、まだ多数派ではありません。この壁を、どう乗り越えるかが当面の課題になりそうです。


生物多様性地方戦略の日本現地調査~ 長野の事例

2016-10-18 23:33:51 | 日韓環境情報センターの活動
ちょっと遅くなりましたが、韓国の環境政策評価研究院の日本出張の続きをまとめて見ます。
今回の調査は、忠清北道の地域戦略の参考のために行ったのですが、ここは海に面していなく、大きなダム湖が二つ地域なので、長野県が調査対象となりました。また、県立の環境関連の研究所があるのも、興味がありました。

地域戦略の取り組みのなかで、これは面白い!と感じた取り組みが2つあります。ひとつは、セミの脱け殻調査で温暖化の調査を兼ねて行われています。具体的には、今後温暖化が進んでいくと、長野より南で棲息しているセミが長野でも棲息するであろうという予測のもと、市民参加の調査が行われていました。

もう一つが、伝統野菜の保全と栽培推進です。山間部が多い長野では、在来種の野菜、とりわけ漬物などで利用できる大根やカブ、ナスなどに様々な品種が残っています。また、この品種の特徴を生かした調理方法も残っている場合があります。これらを、キチンと登録し、また栽培する農家を組織し、流通も確保する取り組みが行われていました。これなどは、韓国でも活用できる施策だと言えます。


次に訪問した長野県環境保全研究所では、諏訪湖の水質管理の取り組み、そして長野オリンピックのときの環境保全の取り組みとその後の追跡調査について説明してもらいました。諏訪湖はアオコの発生で''有名''だった所で、韓国でも四大河川再生事業のあと、毎年アオコが発生しているので、色々と参考になります。また、冬季オリンピックも2018年にピョンチャンで行われますので、長野の取り組みは細かく分析する必要があると思います。
最後に、一緒に長野を訪問したイ•ヒョヌ博士が学生時代、植物を専攻していたので、研究所の植物標本を見せてもらいました。県レベルの研究所でも規模が大きいので驚きました。でも、防虫剤?の匂いは、ハンパじゃなかったです^^



生物多様性地域戦略の日本現地調査の報告

2016-10-06 13:12:22 | 日韓環境情報センターの活動

 タイトルが少し堅苦しいですが、ガマンして読んでくださると、ありがたいです。先日、9月26日から30日まで、東京と長野県で、タイトルにあるような生物多様性地域戦略に的をしぼった調査を、こちらの研究所の方と行いました。こんなことをしている日本人は、あまりいないと思いますので、きちんと記録しておこうと思います。

 この調査は「韓国環境政策評価研究院」という韓国政府の環境政策のシンクタンクからの依頼で、これで3回目の調査になります。韓国政府のシンクタンクといっても、形態は財団法人になっていて、環境部(日本の環境省に該当します)からは独立した形になっています。これは、90年代末に通貨危機、IMFの時と言いますが、このとき、経済分野の研究機関が、政府や政治力学に流されてしまって、政策提案などができなかったという反省に基づいて、すべての分野の研究機関を担当省庁から独立させて、内閣の下に集めたそうで、この「韓国環境政策評価研究院(KEI)」もその中のひとつの研究機関です。

 ここのイ・ヒョヌ博士(韓国ではこの肩書をよく使うので、ここでも使います。いまは、一つの部門の責任者=本部長です)が、ピョンチャンでのCBDCOP12で発表された韓国の生物多様性国家戦略の編集責任者で、これに基づいて地域戦略の編纂依頼を2、3の地方自治体から依頼を受けて、参考にするために日本の地域戦略を調査することになり、コーディネートと同行通訳を担当することになったわけです。

  1回目が、愛知県、名古屋市、滋賀県、2回目が、環境省と生物多様性センター、日本自然保護協会と日本生態系協会、そして、今回の東京都と長野県、また国連生物多様性の10年日本委員会(事務局は日本自然保護協会)と環境教育フォーラムを訪問しました。 (写真は生物多様性センターを訪問した時)

 今回は特に、生物多様性と環境教育、また生物多様性に関連した農業政策の二つを中心に調査をしたわけですが、まあ、色々なところを訪問して、資料をもらったり、インタビューをするわけなので、この二つのテーマ以外にも、いろいろと興味深い話を聞くことができましたので、訪問した順番に、まとめてみます。(通訳をしているので、あまり写真がありません。もらった資料の写真で勘弁してください^^)

  まず、東京都環境局。ここでは「植栽時における在来種選定ガイドライン~生物多様性に配慮した植栽を目指して」というパンフレットをもらい、説明を聞きました。これは緑の「量」だけでなく「質」に注意した植栽を行うときのガイドラインです。というのも、今まで、管理のしやすさ、病害虫への強さなどから緑化の時、国内外の外来種が多く利用されてきたためです。このパンフレットの後ろに、地域ごとの外来種のリストが載っていますが、大変精密な!リストに、僕だけでなくイ・ヒョヌ博士も驚いていました。この話を聞いた後、ビルの周囲にある緑が気になりましたが、見ただけでは、外来種なのか在来種なのか、分からないですね。もっと、勉強しないと。

  次は、日本自然保護協会(NACS-J)で道家さんと面談。イ・ヒョヌ博士とは、いろいろな国際会議で顔を合わしていて、先日のIUCNのハワイでの会議でも会っているそうです。ここは、以前訪問したことがある場所なので、NACS-Jが行っている「自然調べ」や「自然観察路コンクール」など環境教育に関連した活動の説明を聞き、また、環境教育の特徴や、国連生物多様性の10年日本委員会での環境教育の取り組みについても教えてもらいました。

  そして、今回初めて訪問した「日本環境教育フォーラム」。日本環境教育フォーラムの今までの活動や国際協力活動、また自然学校という名称で行われている環境教育の話など、とても参考になりました。どちらかというと「ホットスポット」といわれる開発と保全のせめぎ合いの現場を回ることが多い僕にとっては、環境保護や環境教育の根っこの部分を確認した時間になりました。

~続く~

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2016年下半期(9月以降)のお知らせ

2016-07-15 10:34:41 | 日韓環境情報センターの活動
久しぶりのアップですが、お元気でしょうか?
7月に行われた参議院選挙は新しい要素も見えては来ましたが、まだまだ力不足な所が山積みだなと感じました。こんな時代だからこそ市民レベルの交流が大切だと思います。これからもそんな思いを忘れずに活動して行こうと思います。
そんな訳で、2016年後半の交流ツアーや体験イベントを紹介しましょう。まだ、具体的な実施時期が決まっていないものもありますが、皆さんと一緒に作っていこうと考えています。
もちろん、これ以外の交流活動やエコツアー、現地調査なども行えますので、お問い合わせください。
*<7>以降は決まり次第、具体的なスケジュールなどをお知らせします。


(0) 8月26日~28日
 第4回生物の多様性を育む農業国際会議(ICEBA)2016、小山市
*韓国の水田湿地ネットワークのメンバーと一緒に参加、通訳もやります。詳しくは小山市のHPをご覧下さい。

写真は7月にいすみ市で行われたシンポジウムでの現地見学

(1) 9月2日~ 5日
 韓国村おこし全国ネットワーク全国大会見学ツアー
*毎年、行われている村おこし町作りの全国大会を傍聴し、また実際に村おこしをしている地域を見学するツアーです。今、参加者を募集していますので、興味のある方は連絡してください。

全国交流大会のポスター

(2) 9月8~11日(または22日~ 25日)
韓国漁業漁村交流ツアー
*今回、初めて行う水産業&漁村での交流ツアーです。どんな交流になるか予想がつきませんが、楽しい交流にしませんか?訪問地は、全羅南道の干潟、養殖、沿岸漁業の現場を訪問しようと考えています。詳しくは、ブログとフェイスブックをご覧下さい。

(3) 10月8日~11日
ナクトンガン河口堰ツアー
*ナクトンガンの河口堰では水質悪化を解消するために、河口堰の水門を開放する動きがあります。このナクトンガンの試みを見学して、長良川河口堰の開放のために参考にしようと、市民グループがツアーを行います。

写真は長良川河口堰

(4) 10月28日~31日
日韓湿地フォーラム
*詳しくは8月以降、お知らせします。

(5) カワウソ関連ツアー(随時)
1. カワウソ研究センター日帰りツアー
ソウル出発のツアーです。11月までは実施可能ですので、問い合わせて下さい。
2. シファ湖カワウソ観察ツアー
12月以降、シファ湖が氷ってから行います。詳しくは、後日、お知らせします。


(6) コウノトリ•朱鷺見学ツアー(随時)
昨年、忠清南道のイエサンで放鳥したコウノトリから二世が誕生するなど、韓国でのコウノトリの野生復帰は着実に進んでいます。
来年はトキの放鳥も予定ですので、この秋、ぜひ見学しに来てください。


(7) 有機稲作&学校給食&町づくり見学ツアー(随時)

(8) スンチョン湾•ナガム邑城伝統民間見学ツアー(随時)

(9) 韓国郷土料理体験ツアー(随時)

2016カワウソセンター見学日帰りツアーのお知らせ

2016-05-23 13:27:17 | 日韓環境情報センターの活動

日本では絶滅したカワウソの研究と保護・飼育を行っている<韓国カワウソ研究センター>を見学する日帰りツアーです。
ソウル市内ホテル、または指定の駅から専用車で訪問します。6月下旬から9月上旬まで、2名から実施可能です。(一人20000円~、昼食含む)人数が多くなれば、安くなりますのでお問い合わせください。
#フェイスブックのシステムにより実施時期は2週間になっていますが9月末まで実施します

田中博(日韓環境情報センター・+82-10-6668-9252)

 


シファ湖のカワウソ物語 その1

2016-03-08 15:42:22 | 日韓環境情報センターの活動
土曜、日曜とシファ湖に行ってきました。土曜の夜遅く、チェ• ジョンインさん(湿地公園のトップ、シファ湖生命の守り人)の案内で公園の中をナイトツアー。カワウソ、遠くで泳いでいる頭を見ました^•^ 瞬間でしたので、写真は撮れませんでした。
翌日は朝7時から、湿地公園を見学させてもらい、カワウソの足跡や排泄物など痕跡をたくさん確認しました。
今、ちょうど出産の直前で、四月頃無事に産まれ個体数が増えたら、もっと遭遇できる機会が増えますよ。
とにかく、この冬四ヶ月間、チェ•ジョンインさんは毎晩観察し、ビデオや写真をたくさん撮っていますので、このツアーに参加して見てください。
*できれば、六月もナイトツアー、やりたいですね。交渉します^•^








韓国山菜祭りと有機農業ツアー

2016-03-01 13:31:29 | 日韓環境情報センターの活動
ゴールデンウイークの後半にキョンギ道のヨンムンで開催される山菜祭りとパルダン地域の有機農業農家の見学をしませんか。
小グループのエコ&スタデイツアーとして現地の農民や農業関係者との懇談等も行います。
また、ナミャンジュの有機農業テーマパークや農業技術センター等の訪問も可能です。

5名以上から実施が可能ですので、ご家族やお友だちと5名以上で申し込めば、時期や日程、訪問先の変更や追加も可能です。

スケジュールは次の通りです。なお、現地事情により変更する場合があります。

5/5(木)
午後、キンポまたはインチョン空港集合 専用車でヤンピョンへ移動、ヤンピョン泊

5/6(金)
ヨンムン山菜祭り見学、ヨンムン寺見学 有機農家見学&懇談、ヤンスリ伝統市(五日市)見学、パルダン泊

5/7(土)
ナミャンジュ有機農業テーマパーク見学、パルダン生協売場見学&懇談、ナミャンジュ体験農家見学、タサン博物館&生家見学、ソウル泊

5/8(日) 出発までソウル市内観光(フリータイム) キンポ、またはインチョン空港から帰国

# 木曜から土曜までは専用車での移動、田中が同行し通訳&ガイドを行います。 最終日は地下鉄や市内バスを利用した観光となります。ご自分で市内観光ができる場合、ガイドなしでも構いません。

田中博(日韓環境情報センター)

詳しくはフェイスブックのイベントページ、または田中までお問い合わせください。







2016 第三回日韓未来バスツアー~光州で民主主義を考える旅

2016-02-27 00:40:44 | 日韓環境情報センターの活動
日本人と韓国人が共に旅をして語り合う'日韓未来バスツアー'の三回目を、5月の光州(クァンジュ)で実施しようと考えています。
1980年5月の光州民主化運動は、韓国の民主化運動のなかでも大きな位置を占め、現在の韓国社会を形づくる基盤の一つとなっています。
この光州で当時、民主化の闘いに参加した方からお話を聞き、共に民主主義とは何であるか考えみたいと思います。
地域や職場、学園でお忙しいでしょうが、多くの仲間の参加をお願いします。

実施時期 2016年5月20日~24日
募集定員 約20名(韓国人参加者を含む)
参加費  4万円位を予定(参加者数が確定した後、お知らせします)
協力   5•18関連団体(交渉中)
主催   日韓未来バスツアー事務局(田中博)

日程(現段階での予定です。確定次第、ブログやメールなどでお知らせします)
1日目
夜までに、指定のホテル(ソウル駅近くを予定)に集合
# 宿泊ーソウル市内ホテル
2日目
朝7時ごろの高速鉄道KTXでヨンサン駅からクァンジュ駅へ移動
9時ごろクァンジュ到着、望月洞墓地参拝、記念館見学
昼食後、当時の体験者との懇談、及び関連行事参加
関係者と夕食
# 宿泊ークァンジュ市内ホテル

3日目
朝から昼過ぎまで、クァンジュ市内の関連場所と施設の見学
午後3時頃の高速鉄道でソウルへ移動
ソウル市内食堂、または市場で夕食
# 宿泊ーソウル市内ホテル
4日目
出発まで自由行動、キンポまたはインチョン空港から帰国

このスケジュールは暫定的なものですので、ご理解お願いします。
韓国現地での集合、解散のツアーですので、航空券はご自分で購入してください。
2日目、3日目はバスを利用して行動します。
参加費は、高速鉄道料金、バス代、宿泊代、通訳コーディネート代が含まれます。食事代は現地精算となります。
訪問先、見学先などご希望がありましたら、お知らせください。







ナクトンガン河口とポンハ村の有機農業~2016韓国エコ&スタデイツアー

2016-02-13 12:16:34 | 日韓環境情報センターの活動
2016年のエコ&スタデイツアーの第一弾、ナクトンガン河口とポンハ村の有機農業を紹介しましょう。

現地を訪問されたかたはご覧になったと思いますが、ナクトンガンの河口には長良川にあるのとそっくりな河口堰があります。これは、ナクトンガンの取水口に海水が入らないようにするためのものですが、この堰によって生物多様性が豊かな汽水域がなくなり、最近は毒素が含まれたアオコが大量に発生し、大きな問題になっています。
アオコに対しては、昨年、環境運動連合と合同で、日本から専門家を招請して調査を実施した結果、99%の処理をしてもWHO基準値の四倍以上の毒素が検出されました。
そのため、プサン市では来年度から試験的にゲートを開けて、海水流通を調査することになりました。このゲート開放は、日本の長良川河口堰や諫早湾干拓地調整池の水門開放に影響を与える可能性があります。日本で河川の生態系回復に努力されている皆さんにも、現場を見ていただきたいと思います。




一方、キメ市のポンハ村では有機稲作の取り組みが村ぐるみで行われ、年間600トンの米を生産、全部が消費者に渡っています。このような有機農業の定着は、近くのファポ川の生態系回復に繋がり、昨年3月には豊岡生まれのコウノトリがここで発見されました。
このようにノ•ムヒョン大統領の故郷のポンハ村は、韓国でも有数の有機農業村になりました。

ナクトンガン河口とポンハ村の有機農業のツアーに多くの皆さんの参加をお願いします。