7日の懇談会が終わった後、クロツラヘラサギの国際シンポの翻訳で身動きが取れませんでした。ようやく、仕上げたので先週の報告をしましょう。
まず、この写真は7日の懇談会のあとの記念写真。場所は<民主社会のための弁護士会>です。このような<環境系>の日韓の弁護士の集まりは2005年以来とのこと。今回は韓国側は4大河川弁護団、日本側は有明弁護団の合同会議という形でおこないましたが、これからの課題がたくさん出てきた会議でした。
じつはこの日、4大河川裁判のチョン・ナムスン弁護士の誕生日。ケーキを用意してイベントをしたのですが、会議の後の夕食の場に持っていくのを忘れ、冷蔵庫に置いたままです。どうなったのでしょうか、このケーキ。
で、韓国側はこの、チョン・ナムスン弁護士、ヨジュ環境運動連合のイ・ハンジン委員長、ペ・ヨングン弁護士が報告し、日本側は吉野弁護士、後藤弁護士、支援する会の岩井事務局長が報告をしましたが、ものの見事に<ずれ>がありました。
右から、堀弁護士、岩井事務局長、後藤弁護士、吉野弁護士、大久保教授、江原大学の関係者(すみません名前わかりません)
この<ずれ>を<共通課題>と読み替えてもいいと思いますが、整理するとこんな感じです。
○韓国側の考え
1 事業者の環境アセスはいい加減、だから裁判所も正しい判断をしなくてはならない。それをしない裁判所は自ら任務を放棄している。これを食い止める法的な根拠を見つける必要がある。
2 現在ある具体的な被害に対して損害賠償などを起こすのは、工事の存在を認めたうえでの訴訟になるので、行わない。勝利したパルダン有機農地の裁判も、ごく一部の勝利であり、4大河川工事全体には余り影響しない。
○日本側の考え
1 正義を実現するために裁判で勝たなくてはいけない。そのためには力のある正義を実現することが必要だ。
2 いままでの公害裁判と同じように、被害で始まり被害で終わるのが原則。被害を受けた原告が直接前面に立たなくてはいけない。それと比べると、4大河川裁判は、原告が見えてこない裁判だ。
この違い、たぶん、日本国内でも裁判や住民運動の中にいつでも存在する、運動の仕方や仲間の作り方の違いだと思います。僕などは韓国スタイルでやってきたなという感じがするので、非常によく分かります。
だって、むかしのベトナム反戦運動の裁判では、当時の首相や大臣などを証人に申請するなんて、まあ、<遊び>でやっていたようなものですね。同じような時期に、水俣の裁判などは、本当に血のにじむ思いで証拠や証人を探し、原告を組織していたわけですから、あの時水俣の裁判などに関わっていたら、たぶん僕の人生も大きく変わっていたでしょうね。
で、大久保先生の指摘なんですが、最高裁の判決で悪い事例を残してしまうと、全体の利益を考えるとマイナスになることがあるという事実も今回、気がつきました。つまり、いい加減な環境アセスでも問題はあるけれど、工事を中止にするだけの問題じゃない、という事例です。今回の4大河川では、アセスの期間も4ヶ月、やり方も既存の調査の流用なんですが、これで最高裁がOKだしたら、やばいですね。
というわけで、日本側の指摘はこのぐらい。つぎに韓国側の<思い>を書きましょう。
さいごに、おまけの写真。後藤先生、冬ソナ、観ましたか?