韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国の有機農業の秘密~その2

2014-06-21 12:13:11 | 環境問題&有機農業

 有機農業をどのようにとらえるか色々あると思いますが、単純に農産物の安全だけでなく生態系への配慮も大切な問題だろうと思います。そんな視点から見ると、韓国の有機農業も実はいろんな問題をはらんでいます。

 以前、江原道の農家を南楊州(僕の住んでいるところ)の農家と一緒に訪問したことがあります。訪問先は、集落レベルで営農組合をつくってビニールハウスでイチゴの有機栽培をしているところでした。江原道の海に近い地域でしたが、冬はとても寒くなるところ、寒さ対策はどうしていますかという質問に、

 「石油のボイラーを使っています。もちろん、石油代は営農組合への補助金があるので、それでまかなっています。これからは、大きく投資して大きく儲けないと」と、自慢をされてしまい、あれれと思ったことがありました。いっしょに行った南楊州の農家のオジサンはオバサン、いやお姉さんたちも、腑に落ちないという感じでした。だれかが、補助が無くなったらどうするんだい、と独り言を言っていましたっけ。

 また、はっきりとは口に出してはいませんが、石油をバンバン焚いてやるビニールハウスって、おかしいという感じを持っているようでした。とあいうのも、南楊州の場合、地下水が豊富なため、ビニールハウスを2重にして、水カーテンをつくって冬の寒さ(とくに夜の寒さ)対策をしています。もちろん、水カーテンをやるのにも地下水をポンプアップしてやるわけですから、電気は使っていますが、まあ、直接石油を使うよりは環境に配慮していると言えます。

 さて、いま登場したイチゴ、南楊州でも栽培が盛んですが、家の近くのスーパーなどではお目にかかることがありません。いつも、100キロ以上離れたノンサンという地域だったり、プヨだったり、とにかく遠くのイチゴを食べています。地域で栽培していなかったら、まあ、しかたがないことですが、同じ地域で栽培しているのに、それを食べられないって、なんかおかしいですよね。いわゆる、フードマイレージの問題でして、イチゴに関してはローカルフードが通用していません。

 というのも、南楊州はソウル中心部から1時間ちょっとで来れるところなので、いわゆるイチゴ摘みの体験農場になってしまいました。イチゴ摘みとお土産のイチゴ、場合によってはジャムを作って持って帰ったり、サンギョプサルを食べたりと、いろいろプログラムにも工夫を凝らしています。先日、日本の農政関係の公務員といっしょに訪問した営農組合では、土日の週末に600人が訪れたといっていました。一人、2,000円としても120万円! これを収穫して市場に出そうと思ったら、ぎゃくに人件費がかかってしまうので、比較にならないでしょう。実際、3年前までは葉っぱ物を栽培し、専門のレストランと契約を結んで出荷をしていた農家も、収穫のときの手間がかかるので、イチゴ栽培に切り替えてしまいました。

 もちろん、このような体験農場も一つの解決策ですが、すべての地域でできるわけではないですよね。行政(農業技術センターというのがあります)は、このような6次産業を推薦していますが、ソウルに近い南楊州だからできる話です。そうそう、日本の公務員が、有機でイチゴつくり、たいへんじゃありませんか、と質問したところ、

 「むかしやっていたブドウよりは、簡単だよ」と言われてしまい、有機でブドウをやっていたのならイチゴはそれほど難しくないだろうと感じました。

 まあ、イチゴ以外にもハウス栽培はいろいろありまして、収穫の手間がかかるので大変ですが、葉っぱ物はけっこういい値段で市場に出ています。また、野菜によっては全生産量の70%以上、南楊州で作っているものもありますか、やっぱりすごい話です。このへんの栽培技術はかなりのレベルじゃないかなと思います。ただ、いくつか納得できない、疑問に思ったところもありますが、それは次の機会にしましょう。

ハウス栽培のイチゴです。

こんな感じで栽培しています。

 


韓国有機農業の秘密~その1

2014-06-21 02:11:22 | 環境問題&有機農業

 最近、日本の生物多様性地域戦略の報告書のために、国家戦略はもちろん各地の地域戦略にも目を通していますが、農業、とくに生物多様性と関連の深い有機農業について、いろいろ考えています。考えをまとめるために、韓国の有機農業につてメモしてみます。じつは、3月に日本の農業担当の公務員たちと韓国の有機農業の現場を訪問する機会があって、この訪問のおかげで韓国の有機農業の全体像がちょっと掴めた感じがします。

 訪問したところは、大きく分けてホンソンの有機農業と南楊州の有機農業です。じつはこの二つの地域が韓国の有機農業の出発点とも言える地域で、それぞれ自分たちの有機農業にs誇りを持っているのが感じられました。そして、日本以上に有機農業が定着している韓国の秘密にも、ちょっと触れることができたかなと感じています。

 まず、消費の問題、とりわけ韓国の食生活の特徴が、有機農業の発展と定着に大きな役割を果たしています。つまり、焼肉などを食べるときにサンチュなどで包んで食べますが、このような包む野菜の消費がとても多いです。消費が多いから売り場でも独立しコーナーで販売していますし、一般の人でも葉っぱものの野菜は有機にしている人が多いみたいです。

 葉っぱものだけじゃないですよね。韓国料理に欠かせないキムチやナムルなど、とにかく野菜がたくさん使われていることは、いちど韓国を旅行した人ならすぐに理解できると思います。だいたい日本人の消費量の1.3倍のようです。

 つぎに漢方薬の伝統があります。大学も専門の学部があるぐらいですから、日本とは比べ物になりません。このような伝統的な医学で薬の材料としてさまざまな植物が使われていますが、このような知識が一般の人にも常識として浸透しています。そのため、食べ物に対する関心はとても高く、この関心が有機農業を支える背景になっています。

 このほか、農民の先駆的な取組と政府への働きかけ、その結果として有機農業基本法の制定や政府の様々な支援、90年代半ばからの生協運動の出発と有機農産物の取り扱いの拡大など、韓国の有機農業はさまざまな応援団によって発展してきたといえます。

 ですが、現在行われている有機農業をみると様々な問題点があることもわかりました。これについては、また別に述べてみます。

写真は去年生協で行った農夫学校の畑です。