今の私のこういう状況だから、介護関係の本が気にかかる。ノウハウものではなく人の心を深く掘り下げる小説が読みたい。
たまたまアマゾン内を徘徊中に見つけた本、直木賞作家なので外れはないだろうとジャケ買い(古語?)した。
予想通り、読みやすくて読後は私自身のこれからの介護生活に少し勇気を与えてくれるものだった。読んでよかったと思った。
あらすじ。
元国語教師で中学校の校長も経験した昇平は、10年位前から徐々に物忘れがひどくなり、今はアルツハイマー認知症患者として、デイケアに通いながら自宅で妻の介護を受けている。
子供は娘三人、長女はアメリカ、次女は妊娠が分かり、独身の三女はフリーランスの仕事で忙しい。
症状は次第に進み、大腿骨を骨折するが、術後の管理、リハビリができないので手術不適応となってしまう。やがて原因不明の高熱が出て、妻も娘たちも覚悟を決める。。。。
小説の中で、死はアメリカにいる孫が校長先生に語る形で明かされ、小説もそこで終わる。
過不足なく、介護の実態、家族愛などが描かれていて、参考になった。
がしかし、実際にはこれよりももっと過酷な条件の人がほとんどだろうと思う。
この主人公は年金に心配のない(たぶん)元教員、一戸建ての自宅、妻に三人の娘、と介護されるものとしては恵まれている。
中島さんにお願い、非正規雇用で年金も貯金も少なく、結婚しなかったので家族もなく、持ち家もなく、親はすでになく、身内とも疎遠、そういう人が、認知症になり介護を受ける場合はどんな話になるのか、それを書いて欲しい。もちろんトイレも自分で行けません。リハビリパンツ代も勿体ない暮らし。
誰がどこで面倒見る?日の差さないアパートで孤独死?そこにも何かの救いはあり、感動する話にしてほしい。そうすれば読む者はうんと元気が出るから。