著者とは昔、何かの集まりでお会いした記憶がある。話した内容はすっかり忘れたけれど、私の親世代、今もご存命でしょうか。
四国新聞に連載したのを一冊にまとめたもの。
明治以後の香川県にゆかりの文学者を取り上げている。ゆかりとは出身、またはずっと地元にいて活動。これは短詩系文学に多い。すそ野が広く、弟子を取りやすい。などが原因。短歌、俳句は知らない人も多く取り上げていた。わが不明を恥じるのみ。
また講演会や取材に来る中央の有名作家の足跡も辿っている。志賀直哉の暗夜行路には多度津へ渡る場面もあるらしい。大昔に読んですっかり忘れてた。
総じて、平野と里山ため池の見通しのいい讃岐平野の中で、人々がどう自己表現していたかを丹念に調べているのが印象的。
写真も、生家跡など、素朴でよかった。期せずして20年前の讃岐の景色をとどめている。惜しむらくは人物に一切顔写真がないこと。有名作家は知っているけれど、無名に近い人は写真、欲しかったですね。
写真大切。