大島渚に野坂昭如、すでに故人となっているが、2009年の、この本の発行当時は脳出血と十二指腸潰瘍穿孔、脳こうそくで二人とも自宅で介護を受ける身だった。
在宅介護は家族の献身なくて成り立たない。夫人二人は、夫の片腕となって生活の面倒全般を支える。二人の対談形式の間に、病気の情報や介護保険のことなどを、コラムとして専門家が執筆している。
対談でもいろいろな苦労がわかるが、実際にはそれ以上だったと思う。特に小山明子氏は女優でほとんど家事もしたことなかったのに、一度に介護の負担がのしかかり、介護鬱になったとか。
鬱は体の防御反応、能力の範囲を超えると心と体が反応してその人を守る。悪いことではないと思うけど、この病気の厄介なところは先の見通しが見えなくなって自殺に走ってしまうこと。幸い周りの助けでそうならずに済んだけど、これも責任感の強さからくるのだと思う。
大島渚は63歳でロンドンのタクシーの中で発病、野坂昭如は72歳で自宅で発病。映画監督、作家として一時代を築いた二人だけど、健康面にはあまり留意しなかったらしい。
大酒を飲まない、体重を落とすなど健康面での教訓も詰まった本。どんな素晴らしい仕事をしてきた人も、健康を害して中断するのは本人も残念だろうし、亡くなると急速に過去の人になってしまうのも寂しい話。つくづく健康の大切さを思った。
それと海外旅行では旅行保険は必須ですね。大島氏はロンドンでの入院、迎えに行く費用など、1千万もかかったそうです。まあいいかと思わず、保険は大切ですね。