2007年10月、息子の車で高雄に向かう。まだ青紅葉。
この作品は1961年から62年にかけて朝日新聞に連載され、新潮社から単行本として刊行されたもの。
京都中京の呉服問屋の一人娘千重子は、店の前に捨てられていた子供で、双子のもう一方の娘苗子は両親ともに既に亡くし、高雄で、山林地主の家に住み込み、北山杉の丸太磨きの仕事をしている。
ひょんなことからその二人が出会い、姉妹としてお互いに認め合い、千重子の店の下請けの帯職人から苗子は求婚されたりするが、身代わりではないと断り、一緒に暮らそうという千重子の申し出も断って、苗子は早朝の京都の街を高雄へと帰って行く。。。。
先日読んだ「京都の歴史を歩く」に、この本で京都の暮らしや行事が分かると紹介されていて読む気になった。
さすが大文豪にしてノーベル賞作家、文章はあくまでも流麗でかつ無駄がなく、それぞれの人物がくっくりとよく造形されている。京都言葉も心地よく、京都の観光案内にもなっている。
作家は京都に逗留して、周りの山や空の色、冬の寒さや夏の暑さを肌で感じながら、この作品を描いたのかもしれない。
古都の題名通り、古き良き京都をよく定着していると思った。
しかしながら、今の時代から見たら首をかしげる場面もいくつか。
まず千重子は高校卒業して、店を手伝うでもなく、仕事に行くでもなく、たまに家事の手伝いしたり親のお使いしながら、学校時代の友達と高雄に遊びに行ったりして生活している。
当時のお嬢さんはこんな感じだったのかもしれないが、半世紀過ぎた今から見たら、ものすごく退屈そう。
千重子の父親が、下請けの帯を織る職人を殴る場面も、もうびっくり。理由は帯の下絵を褒めなかったというそれだけの理由。親の居る前で殴って、親も本人も抗議しないばかりか、千恵子の父親も口先では謝るけど、歳とったので手が痛いとぼやいたりする。
いきなり他人を殴るって・・・ありえんやろ。
それとも昔の京都の問屋ってそのくらい威張ってた証。職人とは主従関係。今となれば貴重な場面。
それに捨て子。赤ちゃんだろうと何だろうと、持ち主不明のものはすぐに警察に届けないと。何か事件がらみかも知れないし。
嫡出子として届けたってあるけど、戸籍上は実子にしたということかしら。それはいくらなんでもまずいのでは。
なんかもう、日本昔話みたい。
とまあ、今の時代には違和感抱く場面も少しあったけど、古き京都の、宿命に翻弄される川端好みの女二人、よく書けていると思った。
高雄へ行くのに乗ったのは、小説の中では国鉄のバス。私はこれ。中出しインタークーラー撤去跡????
通りがかった若い二人連れ、男性の方が思わず吹き出し、見なかったことにして通り過ぎた。
えっ、これに乗るのと思わず後ずさりする母=私。
古都とは何の関係もない話で失礼しました。車が京都ナンバーというただそれだけのつながり。平にご容赦を。
下品な画像、平にお許しを。昨年この車がヤフオクで120万で売れたと喜んでおりました。
神戸の会社社長さんが、キャッシュ持ってはるばると自宅まで買いに来たそうです。もう、びっくりです。
川端康成先生とは何の関係もない話となりましたが、この作品は山口百恵主演で昔映画になりましたよね。