甚大な被害の出た大雨の後、これでもか~と云ううくらいの猛暑が続いています。
先週は標高が低かったせいで暑さにばててしまった感があったので
今週は高いお山に出かけることにしました。
『大永山トンネル』南から『大坂屋敷越え』そして
『ちち山の別れ』・『ちち山』最終は『笹ヶ峰』を目指します。
但し今回はWOC登山部過去最高の14名の参加となり、体力・脚力のバラツキが予想されたので、
うさぎさんチームは『笹ヶ峰』、
亀さんチームが『ちち山』、
そして
コアラさんチーム(絵が違いますが)がちち山の別れを目的地に設定しました。
ちち山の別れまででも尾根に出れば三方に続く稜線が見渡せて、夏山気分を味わえるはずです。
いつものように集合場所までのコアラお嬢様と私執事の会話。
お嬢様 : 『今日ね、お昼に冷麺を食べようと思って!』
執事 : 『へえ~!』
お嬢様 : 『冷たいの食べたかったから昨日から冷蔵庫で凍らせてきたん。』
『その写真をFBに載せようと思ったけど、また姐さんに、あんたの食べ物なんて
どうでもエエわ~って言われたらいかんから、止めた!』
執事 : (溶けずに凍ったままやったら面白いのに)
『でも、溶けんかもしれんで』
お嬢様 : 『その時はIRIBITOさんにお湯を貰って溶かすもん!』
執事 : 『そうやな~!(溶けんで食べれんかったら絵になるな~ヒ・ヒ・ヒ~!)』
大永山トンネルの南側で標高1,000m弱。車を降りるとやはり少し空気感が違います。
それぞれ身支度をして8時30分にスタートです。

すると初っ端から、かしまし娘の長女の先輩がやってくれました。
西部劇に出てくるガンマン、いや銀行強盗?

トンネルの横から林道に沿って歩くと直ぐに登山口です。
以前は錆びて朽ちそうな標識が新しくなっていました。

この登山道は別子銅山の『炭の道』。この道を使って銅山で使う大量の炭が
運ばれていました。道の脇に残る石垣が当時の面影を残しています。


うさぎと亀さんチームはグイグイと登って行きます。次第にコアラさんチームとの間が開いてきました。
と言ってもその時々でチーム編成は変わっていきます。それぞれのペースで歩くのが大事です。
ここで執事は大切なことに気づきました。『お嬢様の姿が見えない!』
しばらく立ち止まってコアラさんチームを待ちます。少しするとお嬢様が現れました。

大岩の横には小さな滝。その大岩を回り込み上に登ると沢沿いの道になります。


普段からそんなに水量のない沢ですが、先日の大雨のせいか倒木が流れてきて
荒れた雰囲気になっています。道を間違えないようにテープを確認しながら歩いて行きます。

沢を過ぎると杉林の急登が始まります。これを登りきると大坂屋敷越えです。
所々でお嬢様も少し苦戦をしています。少し前には亀さんチームの姿が。
うさぎさんチームは声はすれども姿は見えずです。



大坂屋敷越えの手前の分岐を標識に沿って笹ヶ峰方面を目指します。
尾根に出ると北側からとても涼しい風が吹き上げてきました。
今まで掻いた汗が一気に冷えるくらいの涼しさです。
ここでしばらく涼風を浴びながら水分補給の休憩です。亀さんとコアラさんが合流しました。


標識からは1261mのピークの下を巻くようにして道が続いています。
以前からの土砂崩れでザレた道をトラバースします。

このザレ場を渡り進んでいくと尾根道になります。足元には少しづつ笹が広がってきました。
最初は緩やかだった登りも次第に急になってきます。
途中で大きなヒメシャラの木が赤い木肌に眩しいくらいの緑の葉を広げていました。


それでも尾根道では先ほどと同じように所々で北側からの涼しい風が吹いてきます。
歩いては立ち止まり風を感じてまた歩くの繰り返し。
急坂が終わると日本庭園とブナの森に着きました。苔むした岩々が広がり、その周りには
ブナの木々。そしてこのコースのシンボルの大ブナ。





ブナの木が日差しを遮ってくれて休憩にはもってこいの場所です。
後続を待っていると4年ぶり2回目の参加のサザエさんが、
サザエさん : 『前回みんながボトルホルダーしているのを見ていいな~と思って
買いに行ったら以外に高かったので、Iさん(前回初参加)が手作りしてくれた!』
と言って胸元のボトルホルダーを指さしました。
サザエさん : 『でも、手づくりしてくれたんは凄くありがたいんやけど、一つだけ難点が・・・・!』

ピッタリサイズの上に、ストラップの位置が高くてファスナーが降りきらず、
1回では取り出せな~い! ( ゚Д゚)
この大ブナを過ぎると、三角点(迫割:四等三角点)の『獅子舞の鼻』です。
ここで今日初めて展望が広がっています。笹原が見えるのは『平家平』かな?


獅子舞の鼻辺りからコアラさんチームも二つに分かれ、さらに後ろに後続がチームができました。
名付けて
蟻さんチームです。
獅子舞の鼻から一旦下って登り返しの手前で迷いやすい箇所があったので、
ここでお嬢様と二人で蟻さんチームを待つことに。
しかしいくら待っても蟻さんチームがが現れません。
仕方がないので迷いそうな道を木の枝で塞ぎ、
踏み後の薄い方の道にウェットティッシュを枝に引掛け目印にして、先に進むことにしました。
足元はどんどん笹が濃くなり、樹林帯も終わろうとしています。
尾根の北側から尾根を乗り越えガスが登ってきています。

慣れない笹道にお嬢様のペースも落ちてきました。
この辺りからコアラさんとサザエさんチーム。
そしてコアラお嬢様と執事チームに完全に分かれてきました。

樹林帯を抜けると目の前には笹原が広がっています。そのピークが『ちち山の別れ』です。
そして『平家平』と『冠山』の稜線が見えます。
遮るものもなく、日差しが強くなったこの辺りからお嬢様の小言が増え始めました。


お嬢様 : 『あ~暑い!』 『疲れた~!』
執事 : 『上の方にガスがかかってきたから、あそこまで行くと涼しくなるわ~』
『でもガスがかかったら景色が見えんからな~』
お嬢様 : 『景色なんかどうでもええから、涼しい方がいい!』
執事 : 『山に来て景色がどうでもよかったら、家でエアコンかけておった方がええやんか!』
笹は腰より上になってきて、お嬢様のペースがますます落ちてきました。
一緒に歩くと小言を聞き続けることになるので、付かず離れずで歩いて行きます。


ちち山の別れから笹原支尾根は前回歩いた時には、笹が刈られていて歩きやすかったのですが
今日は足元が全く見えずに、時折の段差や窪みに足を取られます。
すると上の方から山さんが下りてくる姿が見えました。

お嬢様は疲れ切ったご様子で、とうとう腰を降ろして
お嬢様 : 『今までで一番しんどいかもしれん!』
『お腹が空いて、もう動けん!』
執事 : 『お嬢様、ほらあの木の上ちち山の別れですよ!』
お嬢様 : 『ちち山の離れまで行かんでいい!』
執事 : 『お嬢様、離れではなく別れですよ!』
お嬢様 : 『そんなん、もうどうでもいい!』

しばらくすると山さんが下りてきました。蟻さんチームからの着信があったけれど
折り返しても圏外なのか電話に出ないので、心配なので見に戻ると言う事です。
山さんには悪いのですが、先に進んでいるチームがあるので、
蟻さんチームは山さんにお任せしました。

お嬢様はすでに農作業する腰の曲がったおばあちゃんのような状態になっています。
振り返ると雲の上の向こうに『法皇山系』の峰々が並んでいます。


青い空に白い雲そして緑の笹原。申し分ない景色ですが、お嬢様にはそれどころではないようです。
『ガンバレ・ガンバレお嬢様!』 『あと少し、もう少し!』
となだめすかしながら進みます。



ちち山の別れの手前の木の下では、コアラさんが本当にコアラのような
恰好で腰を降ろして休んでいました。
先にはすでにサザエさんが着いているはずです。
前回に比べて断然元気なサザエさんと、少しバテ気味なコアラさん。
尾根を境にまるで生き物のように雲が流れうごめいています。これぞ夏山!といった感じです。

なんとかコアラさんチーム4名がちち山の別れに着きました。サザエさんは随分と待っていたようですが
一人ではちち山までは・・・という事で、今回はここまででいいと言ってくれました。
ではコアラさんチームはここで昼食とします。

笹に埋もれるように腰を降ろしても、笹が刈られた登山道を通って
涼しい風が通り抜けていきます。日差しも思ったより強くはありません。
お嬢様は待ちに待った冷えた冷麺を取り出しましたが、予想以上に解凍が進んでいません。
半分凍った冷麺を食べながら、
お嬢様 : 『寒くなってきたわ~!』
執事 : 『え~!さっきまで暑い暑いと騒いでいたのに』
お嬢様 : 『だって、ほんとに寒いんやもん!』
執事 : ( (~_~;) いっそうの事、冷麺と一緒にここで凍っとったらえんじゃ!)

ゆっくりと手のぬくもりで冷麺を解凍しながら食べているお嬢様を後に、
せっかくなのですぐ目の前に見える小ピークまで登ってみることにしました。
後ろから余力のあるサザエさんが付いてきています。
小ピークのトラバース道から笹をかき分け笹を握りながら直登をしていきます。
息を切らして登って行き振り返るとサザエさんの姿が見えません。
小ピークからはガスのかかった『ちち山』と『笹ヶ峰』から『寒峰』に続く稜線。
後ろには『冠山』から『平家平』への稜線が続いています。
景色を見終わり踏み跡をたどって戻って行くと、下からサザエさんが登ってきました。
先ほどの直登を避けて、正規の道を歩いてきたようです。


清々しい山の景色にさわやかな鳥のなく声と見苦しいおっさんの喘ぐ声です。
サザエさんと一緒にもう一度ピークに戻って、二人で景色を堪能した後、
コアラさんとコアラお嬢様の待つ、ちち山の別れへと戻ります。
戻ってみるとコアラさんは昼寝中。コアラお嬢様は寒いと言って帰る準備をしています。
この時うさぎさんチームからメッセージが届きました。
『ちち山で昼食。笹ヶ峰までどうしようか?』という内容です。
笹ヶ峰までは往復で3㎞と伝えると、『行ってきます!』と返事が返ってきました。
この時、亀さんチームはやっと『ちち山』に到着したようです。
よほどちち山の別れでの涼風が気持ちよかったのか昼寝をしていたコアラさんが
『このままうさぎさんチームが戻ってくるまで昼寝がしたい!』というので
『何よんですか。うさぎさんチームを待ってたらさらに遅れて降りないかんのやから!』と
なだめて重い腰をあげさせました。(サザエさんとお嬢様はすでに降りて行っています)
今日は抜群の景色に元気をもらい、それと引き換えに2頭のコアラさんには・・・・・・・・。


膝の悪いコアラさんの下りのペースに合わず、お嬢様の事も気になったので
コアラさんを追い越して先に進むんで行きました。
案の定足元の見えない笹道にお嬢様が苦戦をしています。


でも今日はサザエさんが前を歩きながら立ち止まっては振り返りしながら
しっかりとサポートしてくれています。


下りの途中でもお嬢様が
お嬢様 : 『今、どれくらい!』
執事 : 『お嬢様、まだ1/3くらいですよ』
お嬢様 : 『え~まだそれくらい?』
しばらく歩くと
お嬢様 : 『もう半分来た~!』
執事 : 『いえ未だでございます。』
お嬢様 : 『え~石鎚よりもしんどいわ』
執事 : 『お嬢様、それは先週もお聞きしましたよ!』
このまま行くとずっとお嬢様の愚痴を聞くことになるので、サポートはサザエさんに任せることにして
一服すると言って距離を置くことにしました。


獅子舞の鼻を過ぎ、大坂屋敷越えに着くと蟻さんチームと合流しました。
往きでとても涼しく休憩した場所です。あまりの時間を待ったため
随分と体が冷えてきたそうです。


最終的にはうさぎさんチーム4名笹ヶ峰到達。亀さんチーム3名ちち山到達。コアラさんチーム4名
ちち山の別れと小ピーク到達。蟻さんチーム獅子舞の鼻からの鞍部到達という結果になりました。
コアラさん蟻さん合流チームがトンネルに帰ってきたときには7時間経過していました。
暑い登山道から下りてきたときに、トンネルを吹き抜けてくる風が
なんと冷たく気持ちの良いことでしょう。一瞬でクールダウンができました。


その頃亀さんチームの姐さんが、ジェイソンばりのクールマスクをつけて
後ろからくるあみちゃんを木の陰に隠れて驚かせていたそうです。

少し間を置いて亀さんチームが到着しました。

そして最後に笹ヶ峰まで歩いたうさぎさんチームが疲れた様子で帰ってきました。
今回、それぞれのチームでそれぞれのドラマがあったようです。
まずは3つのチームの予定が4つのチームに分かれた事。うさぎさんチームでは先輩が笹原で
顔面から転んでしまったこと。亀さんチームの麺法師さんが足を痛めた事。
あみちゃんがずっと『明日仕事にならんわ!』と言いながら下っていたことなど、
まだほかにも枚挙にいとまがない今回の山行でした。(一緒に行動できなかったのでレポートにするには
無理がありました。)
先週は標高が低かったせいで暑さにばててしまった感があったので
今週は高いお山に出かけることにしました。
『大永山トンネル』南から『大坂屋敷越え』そして
『ちち山の別れ』・『ちち山』最終は『笹ヶ峰』を目指します。
但し今回はWOC登山部過去最高の14名の参加となり、体力・脚力のバラツキが予想されたので、


そして

ちち山の別れまででも尾根に出れば三方に続く稜線が見渡せて、夏山気分を味わえるはずです。
いつものように集合場所までのコアラお嬢様と私執事の会話。
お嬢様 : 『今日ね、お昼に冷麺を食べようと思って!』
執事 : 『へえ~!』
お嬢様 : 『冷たいの食べたかったから昨日から冷蔵庫で凍らせてきたん。』
『その写真をFBに載せようと思ったけど、また姐さんに、あんたの食べ物なんて
どうでもエエわ~って言われたらいかんから、止めた!』
執事 : (溶けずに凍ったままやったら面白いのに)
『でも、溶けんかもしれんで』
お嬢様 : 『その時はIRIBITOさんにお湯を貰って溶かすもん!』
執事 : 『そうやな~!(溶けんで食べれんかったら絵になるな~ヒ・ヒ・ヒ~!)』
大永山トンネルの南側で標高1,000m弱。車を降りるとやはり少し空気感が違います。
それぞれ身支度をして8時30分にスタートです。

すると初っ端から、かしまし娘の長女の先輩がやってくれました。
西部劇に出てくるガンマン、いや銀行強盗?

トンネルの横から林道に沿って歩くと直ぐに登山口です。
以前は錆びて朽ちそうな標識が新しくなっていました。

この登山道は別子銅山の『炭の道』。この道を使って銅山で使う大量の炭が
運ばれていました。道の脇に残る石垣が当時の面影を残しています。


うさぎと亀さんチームはグイグイと登って行きます。次第にコアラさんチームとの間が開いてきました。
と言ってもその時々でチーム編成は変わっていきます。それぞれのペースで歩くのが大事です。
ここで執事は大切なことに気づきました。『お嬢様の姿が見えない!』
しばらく立ち止まってコアラさんチームを待ちます。少しするとお嬢様が現れました。

大岩の横には小さな滝。その大岩を回り込み上に登ると沢沿いの道になります。


普段からそんなに水量のない沢ですが、先日の大雨のせいか倒木が流れてきて
荒れた雰囲気になっています。道を間違えないようにテープを確認しながら歩いて行きます。

沢を過ぎると杉林の急登が始まります。これを登りきると大坂屋敷越えです。
所々でお嬢様も少し苦戦をしています。少し前には亀さんチームの姿が。
うさぎさんチームは声はすれども姿は見えずです。



大坂屋敷越えの手前の分岐を標識に沿って笹ヶ峰方面を目指します。
尾根に出ると北側からとても涼しい風が吹き上げてきました。
今まで掻いた汗が一気に冷えるくらいの涼しさです。
ここでしばらく涼風を浴びながら水分補給の休憩です。亀さんとコアラさんが合流しました。


標識からは1261mのピークの下を巻くようにして道が続いています。
以前からの土砂崩れでザレた道をトラバースします。

このザレ場を渡り進んでいくと尾根道になります。足元には少しづつ笹が広がってきました。
最初は緩やかだった登りも次第に急になってきます。
途中で大きなヒメシャラの木が赤い木肌に眩しいくらいの緑の葉を広げていました。


それでも尾根道では先ほどと同じように所々で北側からの涼しい風が吹いてきます。
歩いては立ち止まり風を感じてまた歩くの繰り返し。
急坂が終わると日本庭園とブナの森に着きました。苔むした岩々が広がり、その周りには
ブナの木々。そしてこのコースのシンボルの大ブナ。





ブナの木が日差しを遮ってくれて休憩にはもってこいの場所です。
後続を待っていると4年ぶり2回目の参加のサザエさんが、
サザエさん : 『前回みんながボトルホルダーしているのを見ていいな~と思って
買いに行ったら以外に高かったので、Iさん(前回初参加)が手作りしてくれた!』
と言って胸元のボトルホルダーを指さしました。
サザエさん : 『でも、手づくりしてくれたんは凄くありがたいんやけど、一つだけ難点が・・・・!』

ピッタリサイズの上に、ストラップの位置が高くてファスナーが降りきらず、
1回では取り出せな~い! ( ゚Д゚)
この大ブナを過ぎると、三角点(迫割:四等三角点)の『獅子舞の鼻』です。
ここで今日初めて展望が広がっています。笹原が見えるのは『平家平』かな?


獅子舞の鼻辺りからコアラさんチームも二つに分かれ、さらに後ろに後続がチームができました。
名付けて

獅子舞の鼻から一旦下って登り返しの手前で迷いやすい箇所があったので、
ここでお嬢様と二人で蟻さんチームを待つことに。
しかしいくら待っても蟻さんチームがが現れません。
仕方がないので迷いそうな道を木の枝で塞ぎ、
踏み後の薄い方の道にウェットティッシュを枝に引掛け目印にして、先に進むことにしました。
足元はどんどん笹が濃くなり、樹林帯も終わろうとしています。
尾根の北側から尾根を乗り越えガスが登ってきています。

慣れない笹道にお嬢様のペースも落ちてきました。
この辺りからコアラさんとサザエさんチーム。
そしてコアラお嬢様と執事チームに完全に分かれてきました。

樹林帯を抜けると目の前には笹原が広がっています。そのピークが『ちち山の別れ』です。
そして『平家平』と『冠山』の稜線が見えます。
遮るものもなく、日差しが強くなったこの辺りからお嬢様の小言が増え始めました。


お嬢様 : 『あ~暑い!』 『疲れた~!』
執事 : 『上の方にガスがかかってきたから、あそこまで行くと涼しくなるわ~』
『でもガスがかかったら景色が見えんからな~』
お嬢様 : 『景色なんかどうでもええから、涼しい方がいい!』
執事 : 『山に来て景色がどうでもよかったら、家でエアコンかけておった方がええやんか!』
笹は腰より上になってきて、お嬢様のペースがますます落ちてきました。
一緒に歩くと小言を聞き続けることになるので、付かず離れずで歩いて行きます。


ちち山の別れから笹原支尾根は前回歩いた時には、笹が刈られていて歩きやすかったのですが
今日は足元が全く見えずに、時折の段差や窪みに足を取られます。
すると上の方から山さんが下りてくる姿が見えました。

お嬢様は疲れ切ったご様子で、とうとう腰を降ろして
お嬢様 : 『今までで一番しんどいかもしれん!』
『お腹が空いて、もう動けん!』
執事 : 『お嬢様、ほらあの木の上ちち山の別れですよ!』
お嬢様 : 『ちち山の離れまで行かんでいい!』
執事 : 『お嬢様、離れではなく別れですよ!』
お嬢様 : 『そんなん、もうどうでもいい!』

しばらくすると山さんが下りてきました。蟻さんチームからの着信があったけれど
折り返しても圏外なのか電話に出ないので、心配なので見に戻ると言う事です。
山さんには悪いのですが、先に進んでいるチームがあるので、
蟻さんチームは山さんにお任せしました。

お嬢様はすでに農作業する腰の曲がったおばあちゃんのような状態になっています。
振り返ると雲の上の向こうに『法皇山系』の峰々が並んでいます。


青い空に白い雲そして緑の笹原。申し分ない景色ですが、お嬢様にはそれどころではないようです。
『ガンバレ・ガンバレお嬢様!』 『あと少し、もう少し!』
となだめすかしながら進みます。



ちち山の別れの手前の木の下では、コアラさんが本当にコアラのような
恰好で腰を降ろして休んでいました。
先にはすでにサザエさんが着いているはずです。
前回に比べて断然元気なサザエさんと、少しバテ気味なコアラさん。
尾根を境にまるで生き物のように雲が流れうごめいています。これぞ夏山!といった感じです。

なんとかコアラさんチーム4名がちち山の別れに着きました。サザエさんは随分と待っていたようですが
一人ではちち山までは・・・という事で、今回はここまででいいと言ってくれました。
ではコアラさんチームはここで昼食とします。

笹に埋もれるように腰を降ろしても、笹が刈られた登山道を通って
涼しい風が通り抜けていきます。日差しも思ったより強くはありません。
お嬢様は待ちに待った冷えた冷麺を取り出しましたが、予想以上に解凍が進んでいません。
半分凍った冷麺を食べながら、
お嬢様 : 『寒くなってきたわ~!』
執事 : 『え~!さっきまで暑い暑いと騒いでいたのに』
お嬢様 : 『だって、ほんとに寒いんやもん!』
執事 : ( (~_~;) いっそうの事、冷麺と一緒にここで凍っとったらえんじゃ!)

ゆっくりと手のぬくもりで冷麺を解凍しながら食べているお嬢様を後に、
せっかくなのですぐ目の前に見える小ピークまで登ってみることにしました。
後ろから余力のあるサザエさんが付いてきています。
小ピークのトラバース道から笹をかき分け笹を握りながら直登をしていきます。
息を切らして登って行き振り返るとサザエさんの姿が見えません。
小ピークからはガスのかかった『ちち山』と『笹ヶ峰』から『寒峰』に続く稜線。
後ろには『冠山』から『平家平』への稜線が続いています。
景色を見終わり踏み跡をたどって戻って行くと、下からサザエさんが登ってきました。
先ほどの直登を避けて、正規の道を歩いてきたようです。


清々しい山の景色にさわやかな鳥のなく声と見苦しいおっさんの喘ぐ声です。
サザエさんと一緒にもう一度ピークに戻って、二人で景色を堪能した後、
コアラさんとコアラお嬢様の待つ、ちち山の別れへと戻ります。
戻ってみるとコアラさんは昼寝中。コアラお嬢様は寒いと言って帰る準備をしています。
この時うさぎさんチームからメッセージが届きました。
『ちち山で昼食。笹ヶ峰までどうしようか?』という内容です。
笹ヶ峰までは往復で3㎞と伝えると、『行ってきます!』と返事が返ってきました。
この時、亀さんチームはやっと『ちち山』に到着したようです。
よほどちち山の別れでの涼風が気持ちよかったのか昼寝をしていたコアラさんが
『このままうさぎさんチームが戻ってくるまで昼寝がしたい!』というので
『何よんですか。うさぎさんチームを待ってたらさらに遅れて降りないかんのやから!』と
なだめて重い腰をあげさせました。(サザエさんとお嬢様はすでに降りて行っています)
今日は抜群の景色に元気をもらい、それと引き換えに2頭のコアラさんには・・・・・・・・。


膝の悪いコアラさんの下りのペースに合わず、お嬢様の事も気になったので
コアラさんを追い越して先に進むんで行きました。
案の定足元の見えない笹道にお嬢様が苦戦をしています。


でも今日はサザエさんが前を歩きながら立ち止まっては振り返りしながら
しっかりとサポートしてくれています。


下りの途中でもお嬢様が
お嬢様 : 『今、どれくらい!』
執事 : 『お嬢様、まだ1/3くらいですよ』
お嬢様 : 『え~まだそれくらい?』
しばらく歩くと
お嬢様 : 『もう半分来た~!』
執事 : 『いえ未だでございます。』
お嬢様 : 『え~石鎚よりもしんどいわ』
執事 : 『お嬢様、それは先週もお聞きしましたよ!』
このまま行くとずっとお嬢様の愚痴を聞くことになるので、サポートはサザエさんに任せることにして
一服すると言って距離を置くことにしました。


獅子舞の鼻を過ぎ、大坂屋敷越えに着くと蟻さんチームと合流しました。
往きでとても涼しく休憩した場所です。あまりの時間を待ったため
随分と体が冷えてきたそうです。


最終的にはうさぎさんチーム4名笹ヶ峰到達。亀さんチーム3名ちち山到達。コアラさんチーム4名
ちち山の別れと小ピーク到達。蟻さんチーム獅子舞の鼻からの鞍部到達という結果になりました。
コアラさん蟻さん合流チームがトンネルに帰ってきたときには7時間経過していました。
暑い登山道から下りてきたときに、トンネルを吹き抜けてくる風が
なんと冷たく気持ちの良いことでしょう。一瞬でクールダウンができました。


その頃亀さんチームの姐さんが、ジェイソンばりのクールマスクをつけて
後ろからくるあみちゃんを木の陰に隠れて驚かせていたそうです。

少し間を置いて亀さんチームが到着しました。

そして最後に笹ヶ峰まで歩いたうさぎさんチームが疲れた様子で帰ってきました。
今回、それぞれのチームでそれぞれのドラマがあったようです。
まずは3つのチームの予定が4つのチームに分かれた事。うさぎさんチームでは先輩が笹原で
顔面から転んでしまったこと。亀さんチームの麺法師さんが足を痛めた事。
あみちゃんがずっと『明日仕事にならんわ!』と言いながら下っていたことなど、
まだほかにも枚挙にいとまがない今回の山行でした。(一緒に行動できなかったのでレポートにするには
無理がありました。)