『里山に遊ぶ』も5週目に入り、色々考えたが今週は先週の続き笠ケ峰に焦点を当てた。
6年前に本宮山から笠ケ峰を周回しているので、
日下峠から笠ケ峰を繋げば、本宮山までトラックが繋がる。
地形図には載っていないがGoogleMapには笠ケ峰の南東の三角点に星越山の名がある。
取りあえずこの三角点まで歩き、少し引き返して五名に下りて日下峠まで周回できないかと調べたら
現在の地形図には載っていないが昭和58年の地形図には(国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで)
はっきりと道らしい線が五名ダムの方へ続いている。これで「No Problem」
ただ先週の悪路歩きの事もあるので更に詳しく見てみると
昭和39年の空中写真には地形図の線に沿って耕作地が広がり、民家のようなものも見える(シメシメ!)
しかし昭和56年も空中写真だと耕作地らしき場所はほとんど残っていなくて(えっ!)
平成になると全くその影もなく、地形図からも道の線は消えている。(え~~!)
一抹の不安が頭を過るが取りあえず下山路は出たとこ勝負だ~い!
そうこうしているともうひとつ、星越山までの途中に耕作地があるのが目についた。
拡大して目を凝らすと民家らしい建物も見える。
ヌ・ヌ・ヌ!これは最近流行りのテレビ番組の『ポツンと一軒家じゃ~!』
地形図にもよくよく見ると確かに豆粒のように畑の記号と小さく民家の形が載っている。
写真で見ると畑も荒れていないようなので、ひょっとしたら今まだ人が住んでいるのかもしれない。
ならばやはり麓の五名にに下りる道もあるはず!
それにしても国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスは随分と操作性も良くなり
年代をおって地形図や空中写真を閲覧できるので、今は地形図から削除されていても
古くは行き来のあった道を探すのにはとても便利だ。
更に『点の記』では三角点の詳細な情報(その場所の所有者まで)が判る。
点の記には『ポツンと一軒家』辺りまで自動車で行け車を停められると記載されている。
と言う事で随分と前置きが長くなったが、恐らく今日の周回コースは眺望もなく
ただただ線を繋ぐのがテーマ!
(でもこれはこれで、事前に地図や空中写真を眺めながら色々考え想像するのがまた楽しいのです。)
おっと忘れていたがもうひとつ『ポツンと一軒家』探検隊!も。
そうこうしている内に町内の同級生からLINEが入った。
『水曜日休みが取れたからどこか連れて行ってくれ!』と。
本来ならGWに燕岳へ遠征する予定だったメンバーの一人。
『眺望は全くないと思うけど、それでもよかったら!』と返事をすると即、『どこでもいいので!』と。
東京に在住で現在STAY HOMEの在宅勤務で身動きの取れないもう一人の同級生に、
『ゴメンね!』と断りをいれて、一ケ月ぶりに独り歩きから解放された。
先週と同じく日下峠に車を置いて8時過ぎにスタート。
事前に調べて置いた北側へ少し下った所にある取り付きへと向かうと、途中で先週見かけた
峠の祠とは別に、道の脇にひっそりと佇む石仏が目についた。傍らには目新しい花が添えられている。
県道のアスファルト道を下って行くと、電柱と保安林の看板のある場所に山側に続く道がある。
ここからが笠ケ峰への登山口になる。
幅の広い道がしばらくの間続き二股になった所で左側の道へと入って行くといきなりの急登。
ソーシャルディスタンスで歩こうと話をしようと思ったら、
先へ歩いて行く同級生に追いつけずどんどん間が開いて行くばかり、
これじゃ~普通にソーシャルディスタンス!
一旦、谷筋に出ると何ヵ所か細い丸太がかかっているが、ほぼ水は流れていなくて空沢になっている。
谷筋から離れていくとまた急登が始まっていく。
九十九折れに続いている道は花崗土が乾いてとても滑りやすい。
先を歩いていた同級生も立ち止まって『これは急やな~』と言いながら息を切らせている。
すると木々の向こうに北側の眺望が開けていた。さぬき市の里山や屋島や五剣山も見える。
麓の大川ダムの横の花崗岩が露出した見覚えのある山肌は、以前にその岩の斜面をダム湖から登った後、
適当に下って行くと最後に掴まる木がなく滑り落ちそうになり死ぬかと思った経験をした場所だ。
今日一番の展望のある場所から少し登って行くと大川町と白鳥町の町境の道になった。
道には町境の石柱に番号がふられてこの先も続いていく。
この辺りから植生が変わり大きな木が目立ち始め日差しを遮り、
吹いてくる風で汗が冷えて少し肌寒く感じ始めた。
太く大きな倒木があったり、病んだ木や地中ではなく地表に根を這わせて
よく立っていられるなと思うような大木があったりと、とても雰囲気のいい道が続いていく。
ほどなく龍王神社の石祠のある山頂に着いた。
木々に囲まれて眺望がほとんどないが、少しだけ木々の間から田面の辺りらしい景色が見える。
この山頂から少し歩いて行くと三角点のあるもう一つの山頂に着く。
三等三角点、笠ケ嶺(559.71m)。
ここにはおなじみのキティーちゃんのプレートと〇米さんの札がある。
キティーちゃんのプレートは以前にWOC登山部のセニョさんが
割れたプレートをDVDで裏当てして接着剤を付けて洗濯ばさみで留めている。
後でセニョさんに連絡すると、洗濯ばさみを回収してほしかったようで、次回への持ち越しにする。
三角点のある山頂から地面いっぱいに散っているツツジの花が目に入り、
何気にそちらに進んでしまって、南東に続く登山道が見つからず右往左往をしてしまう。
仕方がないのでGPSで以前に歩いたトラックを確認しながら少し藪いた斜面を
下ったり登ったりしながら何とか登山道へ軌道修正。
登山道は落ち葉の積もる急坂。『滑る!滑る!』と二人で言いながら下って行く。
この辺りには『これ本当に松ぼっくり?』と思うような巨大な松ぼっくりがゴロゴロしている。
急坂を下りきった鞍部には以前にも見かけた木の祠が見えた。
祠の横から北側に下って行く道が見えると言う事は、山頂の龍王神社への北の笠松の集落からの往来があったようだ。
鞍部からも明瞭な道が続いている。目新しい木札が木の枝に掛けられているが、
『507へ』と書かれているものの矢印がないので『どっちが507なんやろ~』と。
次に『登山口へ』とだけ書かれた木札。これも矢印がないので案内板にならない。
新緑の浅い緑とオンツツジのオレンジ色が木漏れ日に当たって輝いている。
以前に本宮山からの周回で間違えて南に進んでしまった尾根を今回は辿って行くと、
確かにこちらの方が道が明瞭で判りやすくて間違えるのも納得ができる。
しばらくすると道は痩せ尾根特有のウバメガシの植生に変わってきた。
込み入ったウバメガシの林の尾根は次第に露岩がゴロゴロし始める。
二人で『ええ~感じやん!』と言いながら岩の痩せ尾根を下るが、
ここでも先週と同じようにウバメガシの乾いた小さな落ち葉が足を滑らせる。
次第に道が不明瞭になってくると木々の間から左に伐採地が見え始めた。
どうやら二つ目の目的地の星越山への道を外れてしまったようで
最後は伐採地の作業道の法面を降りた。
伐採地の中の作業道はあちらこちらで分岐をしていて、進んで行くと途中で行き止まりになり
その度に何度か引き返すが、伐採された道の脇から一ヵ所だけ東の景色が見え、
虎丸山と大内町と白鳥の市街地が広がっている。
普段遠征で県外の山ばかり登っている同級生は虎丸山を初めて知ったと言う。
『阪神ファンの聖地やで!』というと『俺、ヤクルトファンやから燃やしてやろうか!』
などと恐ろしい事を言っている。熱狂的な野球ファンの気持ちは測りかねる。
ネットでは大内ダムの南の星越峠から筑波山と通り星越山まで歩いている人がいた。
次はそのコースを歩けば更に東の白鳥アルプスを経て引田へとトラックは繋がって行くと考えている。
ただそこから東の虎丸山が最難関で、恐らく星越峠からの道はなくほぼ全て藪こきとなるはず。
以前に南側から登った時もすべて藪こきで往生した。しかも周回ルートが考え付かない。
取りあえず今からのシーズンはオール藪こきのルートは厳しいので
冬からの課題として残しておくことにした。
作業道の下の谷筋にテープがチラチラと見え、作業道に分断された道かもしれない
と思いながら進んで行くと突然、猪避けの柵が現れた。どうやらポツンと一軒家の上に出たようだ。
柵の上には二本の電気線が張られている。しかも何匹もの犬の吠える声が聞こえてくる。
このルートを考えた時にポツンと一軒家が単純に目についたが、当然この猪避けの柵で
囲まれていることに思いが及ばなかった事が悔やまれる。これでは下山のルートが危ぶまれる。
仕方がないので柵から星越山に続く尾根めがけて藪の中を登り返す。
同級生は登山道の整備された山ばかり登っているので、あまり藪こきはしたことがないらしく、
『冒険やな~』と言ってくるが『こんなんいつもの事やで~』と。
やっとのことで尾根に出ると少しは歩いやすい道になるが、途中でテープも見失い
やっと見つけたテープに沿って下って行くと小さな沢に出た。
ところが反対側には全くテープが見当たらず、ここで星越山への意欲が途切れてしまった。
星越山への撤退を判断(笑)また藪いた坂を登り返し、先ほど見かけた西側に続く踏み跡を辿って行くと
相変わらず何匹もの犬の鳴く声が聞こえてくる。
すると突然『ズドーン』と大きな二発の鉄砲の音が鳴り響いた。
振り返って同級生に『オイオイ、撃たれんやろか~!』と言ってドキドキしながら下って行く。
しかも今は自分が前を歩いている・・・・!
ここで撃たれたらシャレにならないので『オ~イ!オ~イ!』と叫びながら
猪避けの柵まで来ると、中に他人がいるのが見えた。
『何しょんかいの~』と言うので『すみません、道に迷ってしまって・・・。』
『五名へ下る道はないですか~!』と聞くと『来た道もどったら』のような事を言って柵の中に入れてくれそうにない。
この柵の中からは麓に下りる道があるはずなので今更藪の中へ戻る気力もなく困り果てたが、
それでもしばらく話をしているうちに気分が和らいだのか、『ここから入り~』と柵を開けてくれた。
『ポツンと一軒家・不審者・猟銃』といろんな言葉が頭を巡るが、傍に近づいて会話をすると
色々と話を聞かせてくれ始めた。
先ほどの二発の猟銃の音は空砲で、普段は山に入った猟犬に『戻れ!』の合図だそうだ。
するとさっき捕まえたばかりやと指さす檻の中を見ると、小さなウリボウが中でウロウロしている。
『空中写真でみたらこの辺りに一軒家があるのは知っていたんですが』と言うと、
『あ~、ポツンと一軒家のテレビが取材に来たわ!』と。
『エ・エ・~本当ですか!』ちきしょう朝日放送に先を越されてしまった!
どうやら取材にはもう一度来るそうで、今はこの状態だからいつになるかわからないそうだ。
段々畑になった敷地の中にはあちこちに檻があり、生きたままで捕まえた猿や大きな猪もいる。
先日もカップルが迷い込んできたと言うので、若い男女を想像してこんな所まで来るなんてと思い、
『いくつくらいの人ですか?』と聞くと
『70歳くらいかな?奥さんは散々藪こきさせられてもう二度と来ないと怒っていたわ!』と。
70歳でカップル?と思ったが、まぁ~たしかにカップルには違いないわな。
物珍しさで敷地の中をウロウロしていたら本人さんの写真を撮らせてもらうのを忘れた。
広い敷地の中には山羊や犬が繋がれずに走り回り一見するとのどかな風景だが、
やはり山の中の一軒家。知らない人間がしかもとんでもない場所から出てきたら不振に思うだろうし
こちらもどんな人が住んでいるかもわからず心臓に悪い。ポツンと一軒家探検隊は今日で解散とする!
教えてもらった敷地の西側の柵は開けられていてそこから麓への道を辿って行く。
伐採地への道の脇を通り右手の谷に沿って下って行くが、左側は削られた法面になっている。
空中写真で見た道沿いには耕作地が広がっていたので、考えていた道はどうやら谷の反対側のような気がする。
麓の道まで出るとゲートが閉ざされ、一般車両は入れなくしてあった。
ここからは先週と同様に日下峠までの下道歩き。時折先週歩いた檀特山や東女体山の稜線が見える。
照り返しのきついアスファルトの上の登坂は、歩き疲れた足には堪える。
北側からは傘の形に見える笠ケ峰も、こちら側からは二つのピークがあるのがよく判る。
足が怠くなってきたころに日下峠に到着。10.5km、4時間30分の里山歩き。
迷走迷走続きのルートとなって時間の割にはどっと疲れが押し寄せてきた。
今日は風が強く湿気もなく歩きやすかったが、これからは暑さが堪えるのは間違いない。
明日には救急事態制限は解除されるようだが、県を跨ぐ移動は自粛となるだろう。
県外の爽やかな風の吹く峰々の稜線を歩ける日は果たしていつになるのだろうか。
今日のトラック
今日の3Dトラック
6年前に本宮山から笠ケ峰を周回しているので、
日下峠から笠ケ峰を繋げば、本宮山までトラックが繋がる。
地形図には載っていないがGoogleMapには笠ケ峰の南東の三角点に星越山の名がある。
取りあえずこの三角点まで歩き、少し引き返して五名に下りて日下峠まで周回できないかと調べたら
現在の地形図には載っていないが昭和58年の地形図には(国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで)
はっきりと道らしい線が五名ダムの方へ続いている。これで「No Problem」
ただ先週の悪路歩きの事もあるので更に詳しく見てみると
昭和39年の空中写真には地形図の線に沿って耕作地が広がり、民家のようなものも見える(シメシメ!)
しかし昭和56年も空中写真だと耕作地らしき場所はほとんど残っていなくて(えっ!)
平成になると全くその影もなく、地形図からも道の線は消えている。(え~~!)
一抹の不安が頭を過るが取りあえず下山路は出たとこ勝負だ~い!
そうこうしているともうひとつ、星越山までの途中に耕作地があるのが目についた。
拡大して目を凝らすと民家らしい建物も見える。
ヌ・ヌ・ヌ!これは最近流行りのテレビ番組の『ポツンと一軒家じゃ~!』
地形図にもよくよく見ると確かに豆粒のように畑の記号と小さく民家の形が載っている。
写真で見ると畑も荒れていないようなので、ひょっとしたら今まだ人が住んでいるのかもしれない。
ならばやはり麓の五名にに下りる道もあるはず!
それにしても国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスは随分と操作性も良くなり
年代をおって地形図や空中写真を閲覧できるので、今は地形図から削除されていても
古くは行き来のあった道を探すのにはとても便利だ。
更に『点の記』では三角点の詳細な情報(その場所の所有者まで)が判る。
点の記には『ポツンと一軒家』辺りまで自動車で行け車を停められると記載されている。
と言う事で随分と前置きが長くなったが、恐らく今日の周回コースは眺望もなく
ただただ線を繋ぐのがテーマ!
(でもこれはこれで、事前に地図や空中写真を眺めながら色々考え想像するのがまた楽しいのです。)
おっと忘れていたがもうひとつ『ポツンと一軒家』探検隊!も。
そうこうしている内に町内の同級生からLINEが入った。
『水曜日休みが取れたからどこか連れて行ってくれ!』と。
本来ならGWに燕岳へ遠征する予定だったメンバーの一人。
『眺望は全くないと思うけど、それでもよかったら!』と返事をすると即、『どこでもいいので!』と。
東京に在住で現在STAY HOMEの在宅勤務で身動きの取れないもう一人の同級生に、
『ゴメンね!』と断りをいれて、一ケ月ぶりに独り歩きから解放された。
先週と同じく日下峠に車を置いて8時過ぎにスタート。
事前に調べて置いた北側へ少し下った所にある取り付きへと向かうと、途中で先週見かけた
峠の祠とは別に、道の脇にひっそりと佇む石仏が目についた。傍らには目新しい花が添えられている。
県道のアスファルト道を下って行くと、電柱と保安林の看板のある場所に山側に続く道がある。
ここからが笠ケ峰への登山口になる。
幅の広い道がしばらくの間続き二股になった所で左側の道へと入って行くといきなりの急登。
ソーシャルディスタンスで歩こうと話をしようと思ったら、
先へ歩いて行く同級生に追いつけずどんどん間が開いて行くばかり、
これじゃ~普通にソーシャルディスタンス!
一旦、谷筋に出ると何ヵ所か細い丸太がかかっているが、ほぼ水は流れていなくて空沢になっている。
谷筋から離れていくとまた急登が始まっていく。
九十九折れに続いている道は花崗土が乾いてとても滑りやすい。
先を歩いていた同級生も立ち止まって『これは急やな~』と言いながら息を切らせている。
すると木々の向こうに北側の眺望が開けていた。さぬき市の里山や屋島や五剣山も見える。
麓の大川ダムの横の花崗岩が露出した見覚えのある山肌は、以前にその岩の斜面をダム湖から登った後、
適当に下って行くと最後に掴まる木がなく滑り落ちそうになり死ぬかと思った経験をした場所だ。
今日一番の展望のある場所から少し登って行くと大川町と白鳥町の町境の道になった。
道には町境の石柱に番号がふられてこの先も続いていく。
この辺りから植生が変わり大きな木が目立ち始め日差しを遮り、
吹いてくる風で汗が冷えて少し肌寒く感じ始めた。
太く大きな倒木があったり、病んだ木や地中ではなく地表に根を這わせて
よく立っていられるなと思うような大木があったりと、とても雰囲気のいい道が続いていく。
ほどなく龍王神社の石祠のある山頂に着いた。
木々に囲まれて眺望がほとんどないが、少しだけ木々の間から田面の辺りらしい景色が見える。
この山頂から少し歩いて行くと三角点のあるもう一つの山頂に着く。
三等三角点、笠ケ嶺(559.71m)。
ここにはおなじみのキティーちゃんのプレートと〇米さんの札がある。
キティーちゃんのプレートは以前にWOC登山部のセニョさんが
割れたプレートをDVDで裏当てして接着剤を付けて洗濯ばさみで留めている。
後でセニョさんに連絡すると、洗濯ばさみを回収してほしかったようで、次回への持ち越しにする。
三角点のある山頂から地面いっぱいに散っているツツジの花が目に入り、
何気にそちらに進んでしまって、南東に続く登山道が見つからず右往左往をしてしまう。
仕方がないのでGPSで以前に歩いたトラックを確認しながら少し藪いた斜面を
下ったり登ったりしながら何とか登山道へ軌道修正。
登山道は落ち葉の積もる急坂。『滑る!滑る!』と二人で言いながら下って行く。
この辺りには『これ本当に松ぼっくり?』と思うような巨大な松ぼっくりがゴロゴロしている。
急坂を下りきった鞍部には以前にも見かけた木の祠が見えた。
祠の横から北側に下って行く道が見えると言う事は、山頂の龍王神社への北の笠松の集落からの往来があったようだ。
鞍部からも明瞭な道が続いている。目新しい木札が木の枝に掛けられているが、
『507へ』と書かれているものの矢印がないので『どっちが507なんやろ~』と。
次に『登山口へ』とだけ書かれた木札。これも矢印がないので案内板にならない。
新緑の浅い緑とオンツツジのオレンジ色が木漏れ日に当たって輝いている。
以前に本宮山からの周回で間違えて南に進んでしまった尾根を今回は辿って行くと、
確かにこちらの方が道が明瞭で判りやすくて間違えるのも納得ができる。
しばらくすると道は痩せ尾根特有のウバメガシの植生に変わってきた。
込み入ったウバメガシの林の尾根は次第に露岩がゴロゴロし始める。
二人で『ええ~感じやん!』と言いながら岩の痩せ尾根を下るが、
ここでも先週と同じようにウバメガシの乾いた小さな落ち葉が足を滑らせる。
次第に道が不明瞭になってくると木々の間から左に伐採地が見え始めた。
どうやら二つ目の目的地の星越山への道を外れてしまったようで
最後は伐採地の作業道の法面を降りた。
伐採地の中の作業道はあちらこちらで分岐をしていて、進んで行くと途中で行き止まりになり
その度に何度か引き返すが、伐採された道の脇から一ヵ所だけ東の景色が見え、
虎丸山と大内町と白鳥の市街地が広がっている。
普段遠征で県外の山ばかり登っている同級生は虎丸山を初めて知ったと言う。
『阪神ファンの聖地やで!』というと『俺、ヤクルトファンやから燃やしてやろうか!』
などと恐ろしい事を言っている。熱狂的な野球ファンの気持ちは測りかねる。
ネットでは大内ダムの南の星越峠から筑波山と通り星越山まで歩いている人がいた。
次はそのコースを歩けば更に東の白鳥アルプスを経て引田へとトラックは繋がって行くと考えている。
ただそこから東の虎丸山が最難関で、恐らく星越峠からの道はなくほぼ全て藪こきとなるはず。
以前に南側から登った時もすべて藪こきで往生した。しかも周回ルートが考え付かない。
取りあえず今からのシーズンはオール藪こきのルートは厳しいので
冬からの課題として残しておくことにした。
作業道の下の谷筋にテープがチラチラと見え、作業道に分断された道かもしれない
と思いながら進んで行くと突然、猪避けの柵が現れた。どうやらポツンと一軒家の上に出たようだ。
柵の上には二本の電気線が張られている。しかも何匹もの犬の吠える声が聞こえてくる。
このルートを考えた時にポツンと一軒家が単純に目についたが、当然この猪避けの柵で
囲まれていることに思いが及ばなかった事が悔やまれる。これでは下山のルートが危ぶまれる。
仕方がないので柵から星越山に続く尾根めがけて藪の中を登り返す。
同級生は登山道の整備された山ばかり登っているので、あまり藪こきはしたことがないらしく、
『冒険やな~』と言ってくるが『こんなんいつもの事やで~』と。
やっとのことで尾根に出ると少しは歩いやすい道になるが、途中でテープも見失い
やっと見つけたテープに沿って下って行くと小さな沢に出た。
ところが反対側には全くテープが見当たらず、ここで星越山への意欲が途切れてしまった。
星越山への撤退を判断(笑)また藪いた坂を登り返し、先ほど見かけた西側に続く踏み跡を辿って行くと
相変わらず何匹もの犬の鳴く声が聞こえてくる。
すると突然『ズドーン』と大きな二発の鉄砲の音が鳴り響いた。
振り返って同級生に『オイオイ、撃たれんやろか~!』と言ってドキドキしながら下って行く。
しかも今は自分が前を歩いている・・・・!
ここで撃たれたらシャレにならないので『オ~イ!オ~イ!』と叫びながら
猪避けの柵まで来ると、中に他人がいるのが見えた。
『何しょんかいの~』と言うので『すみません、道に迷ってしまって・・・。』
『五名へ下る道はないですか~!』と聞くと『来た道もどったら』のような事を言って柵の中に入れてくれそうにない。
この柵の中からは麓に下りる道があるはずなので今更藪の中へ戻る気力もなく困り果てたが、
それでもしばらく話をしているうちに気分が和らいだのか、『ここから入り~』と柵を開けてくれた。
『ポツンと一軒家・不審者・猟銃』といろんな言葉が頭を巡るが、傍に近づいて会話をすると
色々と話を聞かせてくれ始めた。
先ほどの二発の猟銃の音は空砲で、普段は山に入った猟犬に『戻れ!』の合図だそうだ。
するとさっき捕まえたばかりやと指さす檻の中を見ると、小さなウリボウが中でウロウロしている。
『空中写真でみたらこの辺りに一軒家があるのは知っていたんですが』と言うと、
『あ~、ポツンと一軒家のテレビが取材に来たわ!』と。
『エ・エ・~本当ですか!』ちきしょう朝日放送に先を越されてしまった!
どうやら取材にはもう一度来るそうで、今はこの状態だからいつになるかわからないそうだ。
段々畑になった敷地の中にはあちこちに檻があり、生きたままで捕まえた猿や大きな猪もいる。
先日もカップルが迷い込んできたと言うので、若い男女を想像してこんな所まで来るなんてと思い、
『いくつくらいの人ですか?』と聞くと
『70歳くらいかな?奥さんは散々藪こきさせられてもう二度と来ないと怒っていたわ!』と。
70歳でカップル?と思ったが、まぁ~たしかにカップルには違いないわな。
物珍しさで敷地の中をウロウロしていたら本人さんの写真を撮らせてもらうのを忘れた。
広い敷地の中には山羊や犬が繋がれずに走り回り一見するとのどかな風景だが、
やはり山の中の一軒家。知らない人間がしかもとんでもない場所から出てきたら不振に思うだろうし
こちらもどんな人が住んでいるかもわからず心臓に悪い。ポツンと一軒家探検隊は今日で解散とする!
教えてもらった敷地の西側の柵は開けられていてそこから麓への道を辿って行く。
伐採地への道の脇を通り右手の谷に沿って下って行くが、左側は削られた法面になっている。
空中写真で見た道沿いには耕作地が広がっていたので、考えていた道はどうやら谷の反対側のような気がする。
麓の道まで出るとゲートが閉ざされ、一般車両は入れなくしてあった。
ここからは先週と同様に日下峠までの下道歩き。時折先週歩いた檀特山や東女体山の稜線が見える。
照り返しのきついアスファルトの上の登坂は、歩き疲れた足には堪える。
北側からは傘の形に見える笠ケ峰も、こちら側からは二つのピークがあるのがよく判る。
足が怠くなってきたころに日下峠に到着。10.5km、4時間30分の里山歩き。
迷走迷走続きのルートとなって時間の割にはどっと疲れが押し寄せてきた。
今日は風が強く湿気もなく歩きやすかったが、これからは暑さが堪えるのは間違いない。
明日には救急事態制限は解除されるようだが、県を跨ぐ移動は自粛となるだろう。
県外の爽やかな風の吹く峰々の稜線を歩ける日は果たしていつになるのだろうか。
今日のトラック
今日の3Dトラック