KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

ユキちゃんアワちゃんにふられてセリちゃんに・・・。

2024年03月14日 | 香川の里山


実は先週の土曜日はお休みをとって、独りで久保谷ユキワリイチゲ(ユキちゃん)

見に出かけようと思っていたら、思わぬ話の展開で奥様をさかもとのひな巡りに案内す

る事になってしまった。

その後次々とYAMAPの活動日記に久保谷のユキちゃんとアワコバイモ(アワちゃん)

がUPされているのを見て、今週は出かけてみようと2ヶ月半ぶりに西の奥様たちを誘っ

てみた。

去年の3月22日に三人で歩いた時は、往路ではあまり目立たなかったユキちゃんが、

頭山
まで歩いて、折り返して午後に下山する頃にちょうどきれいに花弁が開いて奥様たち

が度々立ち止まっては写真を撮っていた。

今年はどこのお山の花も早く咲いているので、今日ぐらいがちょうどいいかもしれない。


集合時間ギリギリに着いた大師堂の川向の駐車場には、すでに車が十台近く停まってい

た。車の横で身支度をする人。その中でまんのう町でネイチャーガイドをしている横山

さん
が、参加者の四人の女性を前に何やら説明をしていた。今日は同じように久保谷の

花を愛でるツアーのようだ。その参加者の中にはWOC登山部何回か一緒に歩いたYさん

の姿もあった。『お久しぶりです!』と声をかける。




西の奥様たちにも『お久しぶりです!』と話をして久保谷橋を渡ってスタートする。

昨日降った雨のあとで渓谷に流れる水の量が多い。その水温の低い水の流れを撫でて

吹く風が冷たくて、身震いひとつ。










YAMAPの活動日記に写真が上がっていた上流部の伐採地。その作業の注意喚起の掲

示板が道の脇に掛けられている。讃岐竜王山の東側もそうだったが、この山域でもけっ

こうな範囲で伐採が行われているようだ。





舗装路が途切れ渓谷沿いの山道になると、最初にU字溝が崩れた荒れた場所に出る。

『こんな場所があったかな?』とあっちゃんと二人で話しながら歩いて行くと、直ぐに

渡渉のヶ所になる。ここからは右に左にと何度も渡渉を繰り返すことになる。

道沿いには所々に絶妙なバランスでケルンが積まれている。














(画像が荒い場合は、右下の歯車マークを開いて画質を1080に設定するときれいになる)



水の流れが早く水量も多いので、水の中の岩を飛び石の様にして気をつけながら渡って

行く。今日の冷たそうな水にドボンでもしたらシャレにならない。渓谷の両脇には大き

く斜めに露出した和泉層群の断層が見られる。










その断層の先には左手にけっこうな高さの滝。ここでも二人で『こんな滝、流れていた

かな?』と。去年歩いてからまだ1年しか経っていないのに、人の記憶は頼りない。と

いうか、我々の記憶が曖昧なだけ?







この渓谷沿いの道は四国のみちになっていて、途中の何ヵ所かでその道標が立っている

が、途中で地形図にも載っていない分岐で『征木・立石峠』への新しい道標が立ってい

た。ローカットのシューズで来たルリちゃん。渡渉できる箇所が違ってくるので、先に

渡ったあっちゃんが指示している。








谷あいにもそろそろ陽が射し始めた。ただお目当てのユキちゃんは、まだ口を閉じたま

まうなだれている子ばかり。そしてアワちゃんも口をすぼめている子がほとんどだ。気

温が上がり陽がもっと当たる昼からの帰り道に期待をしよう。













道沿いの所々にある石仏は西国三十三番観音霊場の石仏で、大師堂から三頭越を経て、

三頭神社まで1丁ごとに建てられていたそうだ。道が少し左手に振ってヒノキの林の

中の道になる。その道沿いの水の流れはいよいよ細くなり、最上流部となる。その水

のが途切れる最上流部の、さらに上部は伐採で遮るものがなく明るく光っていた。

今日の谷あいの水が薄く濁っていたのは、この伐採が影響していたのかもしれない。
















最上流部から右に折れヒノキ林の中を登って行くと作業道ができていた。トラックや重

機が通るぬかるんだ作業道を横断して、少し歩くと三頭越に着いた。







いつものようにニヤケタ顔でアメノウズメノミコトのおっぱいを触ると、それを見ていた

向かい側のサルタヒコノカミの顔がやきもちを焼いているのか引きつっている。











するとあっちゃんが例によって『お昼ご飯かな?』と言ってきたので、ルリちゃんが

『なによん、まだ10時30分で!』と即却下。

『ユキワリイチゲが開いてくれるのは昼過ぎですから、今日は三頭神社まで行ってみま

しょう!』と言って三頭越をあとにする。

植林地の中を抜け舗装路にでると陽が当たり始めた。その舗装路を南に向かって歩いて

いくと、左手の景色が広がってくる。眼下には吉野川がくねくねと大蛇のように蛇行し

ながら流れているのが見える。







三頭神社はハンググライダー場のある丘に登らず、舗装路をそのまま下がっていくと神

社の駐車場についた。駐車場にはハコバンが一台停まっていた。すると何やら神社の方

から音が聞こえてきた。『何か聞こえませんか?』と奥様たちに言って耳を澄ませてみ

ると、神社の方から聞こえてきたのはサックスの音だった。

『練習しているのかしら?』『それなら邪魔したら悪いわね』とあっちゃん。それでも

せっかくここまで来たので石段を登って境内に入ると、やはり男性がひとりでサックス

の練習をしていた。我々に気づくと吹くのを止めて片付けし始めたので、こちらも気を

使って簡単にお参りを済ませて、きれいに清掃された神社の境内をあとにする。










ハンググライダー場の丘に登ると。先ほどとは反対側の吉野川が見下ろせた。ルリちゃ

んが見る先には烏帽子山から石堂山・矢筈山の山並みが雪を抱いている。

その反対側には竜王山。その裾野は南に向かって緩やかに広がり、入倉の集落からかなり

上の方まで伐採が進んでいるのが見える。ハンググライダー場には吉野川の川べりから、

まだ春早い冷たい風が吹き上げてくる。『ここではお昼ご飯は無理ね!』とあっちゃん。







去年もお昼ご飯を食べたすぐ下に見える東屋でお昼にすることにして、『とりあえず三

角点には行きましょう』と言って、山頂札のかかる木から少し南に歩いていくと 四等

三角点 三頭 734.16m
 三角点の横には年季の入ったキティーちゃんのプレート。










ハンググライダー場まで戻り丘を下って東屋でお昼にする。そういえば昨年この場所で

お昼を食べている時に話題になったのがWBCの決勝戦の様子だった。ネットを見なが

ら日本が優勝したのが流れて三人で喜んだ。その時の中心人物は大谷選手だったが、今

日の話題も大谷選手の結婚の話。何かしら不思議な感じがする。













お昼ご飯を食べて時間を見るとまだお昼前。下っていくには少し時間が早いと思って、

『時間つぶしに近くの三角点に寄ってみましょう』と提案して、舗装路から三頭越の方

には行かずに、そのまま歩いていく。819.7mと地形図に載っている三角点の真南まで

来たが、斜面はコンクリートで覆われていて登れる場所ではない、地形図には手前に実

線が載っているので引き返して、実線のある場所から取りついて山の中に入っていく。

実線は三角点の北側を通ってぐるっと回って三頭越の方に繋がっている。かっては車が

通れるくらいの道幅があるが、今は灌木が生い茂ってまっすぐは歩けない。







途中から三角点を目指して左に斜面を登っていくとヒノキの林から飛び出て、背の低い

草木の生える場所に出た。するとそこには懐かしい形をした車が二台捨てられていた。










後ろのトラックの荷台の横には〇〇農園と書かれた文字が消えかかっていた。今は灌木

が生い茂ってはいるが、西側は何か作物を育てていたような開けた場所になっている。

地形図を見ると、この場所から南側は等高線の間隔が狭く急峻な地形になっているが、

この辺りだけは間隔が広くて平らな場所になっている。

ただし三角点はまだ少し先のようだが、耕作地跡はトゲのついた枝でとてもじゃない

が中には入っていけない。平地から少し下がってヒノキの林の中を歩いていくと、

三等三角点 倉尾 819.79m が草木に埋もれた場所にあった。 







三角点を確認して廃車のあった場所まで戻りそこからさらに実線まで戻る。途中に捨て

られたリアカーと捨てられた車がもう一台。







その廃車から先が次第に道が怪しくなってきた。倒木が道を塞ぎ、灌木が行く手を阻む。











最後は枯れた竹が道に覆いかぶさり、まともに歩くことができない。無理やり進もうと

するが、方向を間違えているのにルリちゃんが気づいて少し引き返して進んでいく。














竹藪をクリアするとあとは随分とマシになり、最後は三頭越への道に飛び出した。







三頭越まで来ると4人の男女が休んでいて、久保谷側から女性の親子が登ってきた。時

間はちょうど良さそうだが、果たして・・・・?と思いながら久保谷へと下って行く。

下りも真っすぐに歩いているには膝の痛みはないが、体の向きと膝から下の向きが変わ

り違ってくると少し違和感がでてくる。もちろん段差のある場所はゆっくりゆっくり亀

さんのようにして歩く。










渓谷沿いは朝と比べると随分と明るく陽が当たってはいるが、肝心の花たちが見当たら

ない。特にアワちゃんは周りの枯れ葉と同系色なので、よくよく探しながら出ないと見

つけられない。それでも何とかひとつふたつ見つけては写真を撮る。













奥様たちも熱心に写真を撮っているが、相変わらずほとんどのユキちゃんは朝とあまり

代り映えしない姿で、何やらいじけて口をとがらせて俯いているように見える。











それでも何輪かは少しだけ花を開かせた姿を見せてくれた。昨年も書いたがユキワリイ

チゲはルリイチゲとも呼ばれているそうで、その名の通り瑠璃色のきれいな花びらだ。











すると白い岩の上に鮮やかな青い色をした実が一粒落ちていた。慌て者の鳥が口にくわ

えたのを落としたのだろうか。これがアカリプタさんが載せていたジャノヒゲ:和名(異

名:リュウノヒゲ)の実だった。








奥様たちも目を皿のようにしてアワちゃんとユキちゃんを探しながら降りてくるが、今

日はそれらしく咲いていたのは数輪だけだった。それでもアワちゃんが少しは愛想を振

りまいてくれて、何とか何枚かはマシな写真が撮れた。

今日は陽が当たっても、昨日降った雨で谷の水が多くなり、谷底の気温が下がったまま

だったのかもしれない。

















大師堂の駐車場まで戻ってくるとまだ数台車が停まっていた。今日は皆さん同じように

残念な気持ちで降りてくるのだろう。このままふられぱなしでは気が収まらない。

奥様たちとはここで別れて、以前にねこバスさんがアップしていたセリバオウレンのセ

リちゃん
に会いに行くことにする。何やら若いころに古馬場のスナックであまり相手に

されず次のお店にはしごしていた時の気分だ。




三頭トンネルを抜けて美馬町側から阿波竜王や讃岐龍王の南側を走って、相栗峠を通っ

て塩江町へと下って行く。相栗峠に向かう途中の林道からはまた雪を被った山並みが見

渡せた。剣山系の山々だろうか?。遠くに臨む山並みは夏場の色よりこの時期の雪を抱

いた所と緑の山肌のコントラストがある方が風情があってきれいに見える。















最初は分からなかった群生地も地形図を見ながら探し当てると、セリちゃんのお店?は

同じような顔をした色白の子たちが大勢いた。ともすると踏みつけそうになるのを足元

に注意しながら写真を撮っていく。










セリバオウレンのセリちゃんはバイカオウレンのバイちゃんに比べると背が高くて首が

長い。そのせいか右に左に顔が向いていて優柔不断にも見える。小さく小粒なバイちゃ

んの方が可愛らしいかな?今度は違うお店に出かけてみよう。














YAMAPのスタートボタンを押し忘れて三頭越で入れたため、歩行距離は7.2kmにな

っていたが、下山後の駐車場であっちゃんが『今日は9kmでしたよ!』と教えてくれた。

膝は少しの痛みと違和感があったが10kmくらいは歩けない距離ではないことが分かった。

あとは標高差と急な下りの道。痛みは多少我慢すればいいのだけれど、段差で滑りでもし

たら怖いし、炎症をおこしてまた水が溜まって膝が曲がらなくなるのが辛い。

まぁとにかく無理せず付き合っていくしかないけれど、あの高い山並みをまた歩くことが

できるかが、まだまだ気がかりだ。