先週に続いて線で繋ぐのは東温アルプスの井内峠から東。10月にフライングで
スタートして上林峠から井内峠までを歩いた。そして先週はその上林峠から
引地山までを繋いだので、今回から井内峠から東へ東へと石鎚山を目指して行く。
ここから先は3人とも歩いた事のない未知の稜線。石鎚から剣山の様に既歩の
区間はないので西から東に順序良く5回に分けて歩いて行く予定だ。
『石鎚山~剣山』を終える前に、次の目標として奥様たちには『四国百名山』と
『四国百山』のリストを渡していたが、イマイチ反応が鈍く食いついてこない。
奥様たちも百名山の内半分くらいは既に登っているらしいのだが、そのリストを見て、
『残っている山は県外でも遠い場所にある山ばかり』と宣う。『普通の登山が点だと
すると、縦走は線。線を繋いで行く方がいいわね~!』だそうだ。と言う事で今回の
引地山から石鎚山の目標となったのだが、これが終わっても恐らく線で繋がる稜線は
いくらでもあるので、次から次と目標が湧き出て、延々と終わりそうもない。(汗)
いつも通り豊浜SAで奥様たちをピックアップ。集合時間より10分早くSAに
着くと、もう既にあっちゃんが待っていた。早起きが苦手なあっちゃはいつも集合時間
ギリギリにやってくるので、先に着いて待っているのは初めての事だったので、私が
集合時間を間違って、遅れて着いてしまったのだと一瞬思ってしまった。にこにこの
自慢げな顔をしたあっちゃんの奥で、コーヒーの自販機を前にしてルリちゃんが、
何やらずっと悩んでいるのが見えた。二人を待たせたは行けないと、慌ててトイレを
済ませて出てきたら、まだルリちゃんが自販機の前で悩んでいる。
車に乗り込んで話を聞くと、コーヒーをpaypayで買おうとして、その操作が全く分からず
ずっと悩んでいたという。珍しく早起きが出来て自慢げに話をするあっちゃん。
結局paypayでコーヒーを買えなかったルリちゃんの二人を乗せて井内峠へと向かっていく。
先週は川内ICを降りて左に曲がったが、今日は右に曲がって国道11号線を走る。
間もなく国道から右に県道210号線を南下。西谷小学校の横を過ぎると、井内の
集落の中の道になる。集落の中では右に左に道は分岐しているが、集落を過ぎると
ガードレールもほぼない一本道。道には落ち葉は積もっているが、路面はそれほど
荒れた様子はなかった。くねくねと曲がった道を標高をあげて行くと、最初に琴の滝、
次に井内の御来光の滝が道のすぐ脇で流れていた。その滝を過ぎ、さらに井内峠隧道を
抜けると脇に2台程車を停めるスペースがあった。
トンネルの直ぐ脇に登山口と書かれた道標。そのトンネルからは冷たい風が吹き抜け、
直ぐに三人とも上着を羽織った。井内峠は丁度そのトンネルの真上。回り込むようにして
峠への道が続いていた。コースタイムでは20分となっていたが、意外と早く10分ほどで
峠には着いた。峠でも北側に続く峠道から冷たい風が吹き抜けていく。
井内峠からは東に先ずは梅ケ谷山に向かって稜線が続いている。最初の1169mの標高点
まではいきなりの急登。しかも朝露でたっぷりと濡れた落ち葉が足を滑らせる。登りで足が
滑るなら、下りは十分に気を付けないと危ないな~と思いながら登って行く。
道には東温市と久万高原町との境界杭が続いている。
1169mの標高点からは一旦下ってまた梅ケ谷山への登りが始まる。鞍部からだと
150m以上の登りになる。稜線の北側からはまた冷たい風が吹き上げてくるが、
長い登り坂にさすがに汗を掻いて暑くなってきたのか、奥様たちも上着を脱いだ。
その稜線の北側は葉を落とした木々の間から西条市の山並みや東温市の市街地が見える。
井内峠隧道から1時間弱で反射板の立つ梅ケ谷山に着いた。少し平らな山頂は、
フェンスで囲まれた反射板の敷地で占められていて、そのフェンスの脇に道標が
遠慮気味に立っていた。その脇に四等三角点 井内 1315.76m
梅ケ谷山から少しだけ下ってまた小さなピークに登って行くと、目の前が急に開けた。
先に着いた奥様たちから歓声があがっている。東に緩やかに広がる笹の斜面の向こうに
大きな山容の石墨山が横たわり、その奥に石鎚山が見える。その石鎚山の左と右には
西ノ冠山と二ノ森と堂ケ森が脇を固めていた。
石鎚山から剣山ではその間の距離が長すぎて、途中からゴールが見えることはなかったが、
これから歩く稜線までは見えないが、今回のゴール地点となる石鎚山が見えて感激している
奥様たち。もちろん私もこの角度からあの峰々を見るのは初めての事。さぁこれから
あの石鎚山を目指してがんばるぞ!とポーズをきめてもらう。
石墨山から北に緩やかに下がっている稜線の端に少し三角の頭をした法師山。
その右奥に小さく見える三角の山を『どこの山?』としきりに聞いてくる奥様たち。
その三角山は南面のスロープからして『沓掛山かな?』と自信なく答える。
絶景の広がる展望所を後にすると、少しづつ笹が深くなり、急な下り坂になる。元々
グリップの弱いシリオの302だが、ソールがすり減っていて更に滑る。濡れた落ち葉の
上をストックを使い、一歩一歩ゆっくり踏み出し下って行く。
展望所から下りきると何度がさらにアップダウンが続く。途中で二人が稜線の北側を
覗き込んでいる。追いつき立ち止まりみて見ると、今度は重信川の奥に松山の市街地が
良く見えた。
1258mの標高点を過ぎ、更に登り詰めると樽谷山に着いた。山名標がなければ山頂
だとは先ずは思わないような場所。四等三角点 樽ケ崎 1255.07m
引地山・皿ケ嶺から続く東温アルプスには稜線上にいくつもの山の名前がついているが、
国土地理院の地形図には陣ケ森の名前があるだけ。そしてほとんどの山がこの樽谷山と
同じように山名標がなければ山頂とは気づかないような場所だった。
樽谷山から最後の根無山へも一旦下って登り返していく。周りの笹は背丈ほどの高さが
ある。梅ケ谷山から樽谷山の途中までは今年に笹を刈った跡があるが、そこから先は
恐らく今年は刈られていない感じがする。ただ過去には作業をしてくれたらしく、足元は
笹で埋まることはなく、踏み跡はしっかりしているので問題はない。鞍部から登り返すと
根無山に着いた。ここは今までの二つのピークに比べると少しだけ広場の様になっていて
日当たりもいい。時間は11時30分。そろそろあっちゃんがお昼ご飯をどこで食べるか
言い始める頃だと思っていたら、案の定『お昼は折り返しの白猪峠?』と聞いてきた。
するとすかさずルリちゃんが、『何よんな、峠なんて鞍部やから薄暗い場所やろ。
ここまで戻って来てお昼ご飯にする!』と言ったらあっちゃんが『え~そんなこと
言われたら、もっとお腹が空いてきた~』と泣き言を言いだした。
それなら急いで白猪峠へ行きましょう。根無山から下って行くとしばらくするとヒノキの林の
中の道になる。するとあっちゃんが『変な匂いがせん?』と聞いてきた。確かにシンナーの
様な匂いがする。『山裾に何か工場があって匂いが上がってきているのかも』と言いながら
下って行くと、ヘルメットは被った男性二人が作業をしていた。
『何をされているんですか?』と尋ねると。『会社の所有地の境界を明示しているんです』と
答えてくれた。黄色いビニテを木の枝に付け、手にはスプレーを持っている。
スプレーで書いた『木と書かれた文字は何の意味があるんですか?』と聞くと、『すみません
字が下手で、あれ、水と書いているんです。会社の名前の頭文字なんです。』と笑いながら
話してくれた。先ほどからのシンナーのような匂いは、このスプレーの匂いだった。
その話しをすると『すみませんでした!』とまた笑顔で答えてくれた。二人とも
礼儀正しく笑顔が素敵な男性二人だった。
下りきった鞍部の白猪峠は予想していたより明るい場所だった。これ以上時間が経過すると
あっちゃんがさらにうるさくなってくると思い、この峠でお昼ご飯にしましょうと言うと
ルリちゃんも承知しているのか、『ハイハイ日当たりもいいし、ここで良いよ』と。
お昼ご飯を食べ終えて12時過ぎ。ここから折り返すと遅くとも15時までには駐車場に
着くだろう。満腹のお腹を抱えながらまず根無山へと登って行く。この登坂にはいつ
整備されたのか、朽ちかけた木の階段が何段か残っている。
根無山から樽谷山へはまた笹の中のアップダウン。前方に見える樽谷山の山肌には
まだカラマツのオレンジ色が少しだけ残っていた。
根無山から樽谷山、そして梅ケ谷山に続く稜線上にはブナの大木が目立つ。もうほとんど
葉を落としてしまっているが、もう少し時期が早かったら紅葉・黄葉の素敵な道だっただろう。
笹が覆いかぶさる道は、落ち葉がまだ乾かずやはり滑りやすい。そんな道でも奥様たちは
黙々と歩みを止めずに登って行く。
正面に折返しの最後の山頂の梅ケ谷山が見えた。あそこまで登ればあとはほぼ下り。
立ち止まってわずかな時間だが写真を撮っていると、直ぐに奥様たちの姿は見えなくなる。
梅ケ谷山の手前の展望所では、また立ち止まって東の大展望を眺める。目の前に横たわる
石墨山を眺めながら、来週の行程の話をする。私は当初、黒森峠から白猪峠のピストンを
考えていたが、奥様たちの意見で唐岬の滝の駐車場まで下って、国道を黒森峠まで戻って
いく事になった。(この時点では前途洋々だったが、帰ってルリちゃんが調べてくれた
所によると、翌週、翌々週の登山口となる黒森峠へは途中で三ヵ所時間通行止めになっていて
更にはその次の保井野登山口への道も時間通行止めになっていた。先行き不安定なのだ)
梅ケ谷山から井内峠まではほぼ下り坂。前を歩く二人のスピードが半端ない。
それに比べてまだ濡れた落ち葉の下りで、グリップの効かない靴で全くスピードが
出ない私。どんどん二人に離されていく。下りの途中では井内の棚田が見えた。
突然現れた敵を二本の刀で倒すヘッポコリーダー。その倒れた敵のとどめを刺すルリちゃん。(笑)
梅ケ谷山から井内峠隧道へは40分強で着いた。朝一番はとても寒かったトンネルからの
冷たい風が、熱を帯びた身体には逆に心地のいい風になった。
その井内峠隧道を抜け、井内の集落への帰り道は度々車を停めて、もう最後になるだろう
錦秋の彩りを写真に収める。井内の集落の田畑はその畔や法面もきれいに草刈りされていて
眺めていても気持ちがいい。そんな素敵な田舎の風景を眺めながら帰路につく。
クジャクが羽を広げたように見える紅葉
井内の棚田と紅葉
散った黄色い葉が、畑の法面一面を染めていくイチョウの木
ただ積んだだけのように見える石の前に、何故かお酒が供えられていた
今日のトラック
スタートして上林峠から井内峠までを歩いた。そして先週はその上林峠から
引地山までを繋いだので、今回から井内峠から東へ東へと石鎚山を目指して行く。
ここから先は3人とも歩いた事のない未知の稜線。石鎚から剣山の様に既歩の
区間はないので西から東に順序良く5回に分けて歩いて行く予定だ。
『石鎚山~剣山』を終える前に、次の目標として奥様たちには『四国百名山』と
『四国百山』のリストを渡していたが、イマイチ反応が鈍く食いついてこない。
奥様たちも百名山の内半分くらいは既に登っているらしいのだが、そのリストを見て、
『残っている山は県外でも遠い場所にある山ばかり』と宣う。『普通の登山が点だと
すると、縦走は線。線を繋いで行く方がいいわね~!』だそうだ。と言う事で今回の
引地山から石鎚山の目標となったのだが、これが終わっても恐らく線で繋がる稜線は
いくらでもあるので、次から次と目標が湧き出て、延々と終わりそうもない。(汗)
いつも通り豊浜SAで奥様たちをピックアップ。集合時間より10分早くSAに
着くと、もう既にあっちゃんが待っていた。早起きが苦手なあっちゃはいつも集合時間
ギリギリにやってくるので、先に着いて待っているのは初めての事だったので、私が
集合時間を間違って、遅れて着いてしまったのだと一瞬思ってしまった。にこにこの
自慢げな顔をしたあっちゃんの奥で、コーヒーの自販機を前にしてルリちゃんが、
何やらずっと悩んでいるのが見えた。二人を待たせたは行けないと、慌ててトイレを
済ませて出てきたら、まだルリちゃんが自販機の前で悩んでいる。
車に乗り込んで話を聞くと、コーヒーをpaypayで買おうとして、その操作が全く分からず
ずっと悩んでいたという。珍しく早起きが出来て自慢げに話をするあっちゃん。
結局paypayでコーヒーを買えなかったルリちゃんの二人を乗せて井内峠へと向かっていく。
先週は川内ICを降りて左に曲がったが、今日は右に曲がって国道11号線を走る。
間もなく国道から右に県道210号線を南下。西谷小学校の横を過ぎると、井内の
集落の中の道になる。集落の中では右に左に道は分岐しているが、集落を過ぎると
ガードレールもほぼない一本道。道には落ち葉は積もっているが、路面はそれほど
荒れた様子はなかった。くねくねと曲がった道を標高をあげて行くと、最初に琴の滝、
次に井内の御来光の滝が道のすぐ脇で流れていた。その滝を過ぎ、さらに井内峠隧道を
抜けると脇に2台程車を停めるスペースがあった。
トンネルの直ぐ脇に登山口と書かれた道標。そのトンネルからは冷たい風が吹き抜け、
直ぐに三人とも上着を羽織った。井内峠は丁度そのトンネルの真上。回り込むようにして
峠への道が続いていた。コースタイムでは20分となっていたが、意外と早く10分ほどで
峠には着いた。峠でも北側に続く峠道から冷たい風が吹き抜けていく。
井内峠からは東に先ずは梅ケ谷山に向かって稜線が続いている。最初の1169mの標高点
まではいきなりの急登。しかも朝露でたっぷりと濡れた落ち葉が足を滑らせる。登りで足が
滑るなら、下りは十分に気を付けないと危ないな~と思いながら登って行く。
道には東温市と久万高原町との境界杭が続いている。
1169mの標高点からは一旦下ってまた梅ケ谷山への登りが始まる。鞍部からだと
150m以上の登りになる。稜線の北側からはまた冷たい風が吹き上げてくるが、
長い登り坂にさすがに汗を掻いて暑くなってきたのか、奥様たちも上着を脱いだ。
その稜線の北側は葉を落とした木々の間から西条市の山並みや東温市の市街地が見える。
井内峠隧道から1時間弱で反射板の立つ梅ケ谷山に着いた。少し平らな山頂は、
フェンスで囲まれた反射板の敷地で占められていて、そのフェンスの脇に道標が
遠慮気味に立っていた。その脇に四等三角点 井内 1315.76m
梅ケ谷山から少しだけ下ってまた小さなピークに登って行くと、目の前が急に開けた。
先に着いた奥様たちから歓声があがっている。東に緩やかに広がる笹の斜面の向こうに
大きな山容の石墨山が横たわり、その奥に石鎚山が見える。その石鎚山の左と右には
西ノ冠山と二ノ森と堂ケ森が脇を固めていた。
石鎚山から剣山ではその間の距離が長すぎて、途中からゴールが見えることはなかったが、
これから歩く稜線までは見えないが、今回のゴール地点となる石鎚山が見えて感激している
奥様たち。もちろん私もこの角度からあの峰々を見るのは初めての事。さぁこれから
あの石鎚山を目指してがんばるぞ!とポーズをきめてもらう。
石墨山から北に緩やかに下がっている稜線の端に少し三角の頭をした法師山。
その右奥に小さく見える三角の山を『どこの山?』としきりに聞いてくる奥様たち。
その三角山は南面のスロープからして『沓掛山かな?』と自信なく答える。
絶景の広がる展望所を後にすると、少しづつ笹が深くなり、急な下り坂になる。元々
グリップの弱いシリオの302だが、ソールがすり減っていて更に滑る。濡れた落ち葉の
上をストックを使い、一歩一歩ゆっくり踏み出し下って行く。
展望所から下りきると何度がさらにアップダウンが続く。途中で二人が稜線の北側を
覗き込んでいる。追いつき立ち止まりみて見ると、今度は重信川の奥に松山の市街地が
良く見えた。
1258mの標高点を過ぎ、更に登り詰めると樽谷山に着いた。山名標がなければ山頂
だとは先ずは思わないような場所。四等三角点 樽ケ崎 1255.07m
引地山・皿ケ嶺から続く東温アルプスには稜線上にいくつもの山の名前がついているが、
国土地理院の地形図には陣ケ森の名前があるだけ。そしてほとんどの山がこの樽谷山と
同じように山名標がなければ山頂とは気づかないような場所だった。
樽谷山から最後の根無山へも一旦下って登り返していく。周りの笹は背丈ほどの高さが
ある。梅ケ谷山から樽谷山の途中までは今年に笹を刈った跡があるが、そこから先は
恐らく今年は刈られていない感じがする。ただ過去には作業をしてくれたらしく、足元は
笹で埋まることはなく、踏み跡はしっかりしているので問題はない。鞍部から登り返すと
根無山に着いた。ここは今までの二つのピークに比べると少しだけ広場の様になっていて
日当たりもいい。時間は11時30分。そろそろあっちゃんがお昼ご飯をどこで食べるか
言い始める頃だと思っていたら、案の定『お昼は折り返しの白猪峠?』と聞いてきた。
するとすかさずルリちゃんが、『何よんな、峠なんて鞍部やから薄暗い場所やろ。
ここまで戻って来てお昼ご飯にする!』と言ったらあっちゃんが『え~そんなこと
言われたら、もっとお腹が空いてきた~』と泣き言を言いだした。
それなら急いで白猪峠へ行きましょう。根無山から下って行くとしばらくするとヒノキの林の
中の道になる。するとあっちゃんが『変な匂いがせん?』と聞いてきた。確かにシンナーの
様な匂いがする。『山裾に何か工場があって匂いが上がってきているのかも』と言いながら
下って行くと、ヘルメットは被った男性二人が作業をしていた。
『何をされているんですか?』と尋ねると。『会社の所有地の境界を明示しているんです』と
答えてくれた。黄色いビニテを木の枝に付け、手にはスプレーを持っている。
スプレーで書いた『木と書かれた文字は何の意味があるんですか?』と聞くと、『すみません
字が下手で、あれ、水と書いているんです。会社の名前の頭文字なんです。』と笑いながら
話してくれた。先ほどからのシンナーのような匂いは、このスプレーの匂いだった。
その話しをすると『すみませんでした!』とまた笑顔で答えてくれた。二人とも
礼儀正しく笑顔が素敵な男性二人だった。
下りきった鞍部の白猪峠は予想していたより明るい場所だった。これ以上時間が経過すると
あっちゃんがさらにうるさくなってくると思い、この峠でお昼ご飯にしましょうと言うと
ルリちゃんも承知しているのか、『ハイハイ日当たりもいいし、ここで良いよ』と。
お昼ご飯を食べ終えて12時過ぎ。ここから折り返すと遅くとも15時までには駐車場に
着くだろう。満腹のお腹を抱えながらまず根無山へと登って行く。この登坂にはいつ
整備されたのか、朽ちかけた木の階段が何段か残っている。
根無山から樽谷山へはまた笹の中のアップダウン。前方に見える樽谷山の山肌には
まだカラマツのオレンジ色が少しだけ残っていた。
根無山から樽谷山、そして梅ケ谷山に続く稜線上にはブナの大木が目立つ。もうほとんど
葉を落としてしまっているが、もう少し時期が早かったら紅葉・黄葉の素敵な道だっただろう。
笹が覆いかぶさる道は、落ち葉がまだ乾かずやはり滑りやすい。そんな道でも奥様たちは
黙々と歩みを止めずに登って行く。
正面に折返しの最後の山頂の梅ケ谷山が見えた。あそこまで登ればあとはほぼ下り。
立ち止まってわずかな時間だが写真を撮っていると、直ぐに奥様たちの姿は見えなくなる。
梅ケ谷山の手前の展望所では、また立ち止まって東の大展望を眺める。目の前に横たわる
石墨山を眺めながら、来週の行程の話をする。私は当初、黒森峠から白猪峠のピストンを
考えていたが、奥様たちの意見で唐岬の滝の駐車場まで下って、国道を黒森峠まで戻って
いく事になった。(この時点では前途洋々だったが、帰ってルリちゃんが調べてくれた
所によると、翌週、翌々週の登山口となる黒森峠へは途中で三ヵ所時間通行止めになっていて
更にはその次の保井野登山口への道も時間通行止めになっていた。先行き不安定なのだ)
梅ケ谷山から井内峠まではほぼ下り坂。前を歩く二人のスピードが半端ない。
それに比べてまだ濡れた落ち葉の下りで、グリップの効かない靴で全くスピードが
出ない私。どんどん二人に離されていく。下りの途中では井内の棚田が見えた。
突然現れた敵を二本の刀で倒すヘッポコリーダー。その倒れた敵のとどめを刺すルリちゃん。(笑)
梅ケ谷山から井内峠隧道へは40分強で着いた。朝一番はとても寒かったトンネルからの
冷たい風が、熱を帯びた身体には逆に心地のいい風になった。
その井内峠隧道を抜け、井内の集落への帰り道は度々車を停めて、もう最後になるだろう
錦秋の彩りを写真に収める。井内の集落の田畑はその畔や法面もきれいに草刈りされていて
眺めていても気持ちがいい。そんな素敵な田舎の風景を眺めながら帰路につく。
クジャクが羽を広げたように見える紅葉
井内の棚田と紅葉
散った黄色い葉が、畑の法面一面を染めていくイチョウの木
ただ積んだだけのように見える石の前に、何故かお酒が供えられていた
今日のトラック
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