冬の訪れを前に、例年だと県外の山から県内の里山歩きに移行し、
県内を里山をうろつくところだが、今年は新たな目標が出来て
予てから念願だった阿讃縦走路を歩くことにした。
以前から少しづつ歩いていた阿讃縦走路だったが、周回するのも
ピストンするのも独りでは限界を感じていた。
そこで色々調べているとWOC登山部なる会があり、この縦走路を
歩いているのが目に付いた。会に入ればその内に縦走路も一緒に歩ける。
そう思って入会したWOC登山部だった。といっても会での活動が県外の山が
メインになり、阿讃縦走路は冬場に数回歩く程度でなかなか進まない。
それならいっそうのことこの冬場に一気に歩いてしまおうと、
奥様たちに提案すると賛同してくれて、歩き始めたのが11月25日。
ここに来てやっと相栗峠までつながった。
今日はこの相栗峠から大滝山を経て中山峠をまで歩けば、
いよいよ阿讃縦走路も東讃地区まで到達できる。
(私だけの宿題の大川山から土器川源流は、来年に持ち越し)
先週と同じく道の駅しおのえに集合して、まずはルリちゃんの車を中山峠にデポ。
そこから私の車で相栗峠へと向かって行った。
今回のコースで一番気になったのは、歩行距離でもなく、噂の相栗峠の急登でもなく
登山口までの道路状況だった。数日前の寒波で市内からは阿讃の峰々が白く
薄化粧をしているのが見えた。ノーマルタイヤで果たして相栗峠まで
走れるだろうか気が気でなかったが、幸い路面が凍っている場所もなく
峠の駐車場が薄く雪が付いている程度だった。9時15分その駐車場をスタート。
先ずは切り通しになった峠のコンクリートの階段から取りつき、
619mの標高点のある『展望ふれあい広場』へと登って行く。
広場への階段はこの先の急登までの前哨戦。県立自然公園の道標には
大滝山まで6.1kmと書かれている。
人の手が入らず荒れた展望広場を横目に見て進んで行くと
いよいよ急登の始まりとなる。この急登は石墨山・伊予富士と並んで、
四国三大急登と呼ばれているが、果たしていかがなものか。
私は15年以上も前に2回ほど登ったことがあるが、
ロープを使って登った程度しか記憶がない。
取りつきから見上げると延々とロープが続いている。
斜度でいえば他の山でも見られる急登だが、とにかく先が全く見えない。
それでも前を行く奥様たちは力強く登って行っている。
『あ~ストックが邪魔!』と言いながら片手にロープ。もう片手に
ストックを握りながら登って行くあっちゃん。
今日のこの急登の最大の難関は何といっても落ち葉だった。斜面に積もった
落ち葉はとにかく足を滑らせてくれる。息が上がり着込んだ上着のせいで
直ぐに上半身は暑くなる。それでも20分ほどで斜面の先に空が見え始め
汗をたっぷりとかいて何とか登りきることができた。
今日の難所の急登が終われば、あとは縦走路。いままで歩いてきた
縦走路と同じようなアップダウンの道が続いていくはずだ。
道標に従い進んで行くとフェンスに囲まれた鉄塔広場に着いた。
以前にこの阿讃縦走路で見た中央幹線の鉄塔ほどではないが、
けっこう大きく高い鉄塔と送電線が尾根を跨ぐようにして続いていた。
南には少し霞んでいるが一番奥に矢筈山から続く稜線が見える。
鉄塔広場からは道の脇に先日降った雪がちらほら残っている。
大滝山までの縦走路は何ヵ所か南北に峠道になっていて、
最初の鞍部は国地蔵峠。そしてここからの峠の
ほとんどが北側の大滝山自然公園への道は通行止めになっいていた。
杉林の中の単調な道が続いていくと、次に細尾峠に着いた。
道標には城ケ丸まで2.4km、相栗峠まで3.1kmと書いている。
城ケ丸からまだ先が大滝山なので、丁度ここが相栗峠から大滝山の中間点になる。
峠の取りつきから1時間20分、まずまずのペースだ。
今日はおNEWが二つ。ひとつはワーククマンで買った冬用のクライミングパンツ。
高松市内のワークマンを3店舗ほど回ったが売り切れで手に入らなかったが、
善通寺のお店でやっと見つけた1980円のコストパフォーマンスが最高のパンツだ。
レンガ色が派手で少し買うのに躊躇したが、残り一本だったので仕方がない。
お店の人に聞くと、仕入れてから直ぐに売れてその後は入荷がないそうだ。
今まで比較的安いブランドのモンベルのズボンでも一万円弱した事を考えれば、
冬用で厚手になってストレッチも効いていて“お値段以上ワークマン!”
買って帰った後奥さんに『少し派手かな?』と言うと、
『年をとったら派手なくらいがいいんやわ!』と言われたと奥様たちに話をすると、
ルリちゃんは、『上着とも色合いが合ってていいやん』と言ってくれた。
逆に『え~人参みたいやわ』とあっちゃんには茶化された。
もう一つはモンベルのガレナパックの25L。今まで使っていた20Lのザックだと、
雨具を入れると水筒、昼食・行動食でいっぱいになって
バーナーまでは入らなかった。先週は雨具を置いてバーナーだけ入れてみたが、
やはり20Lでは小さすぎ、かといって30Lでは少し大きい。
そこで丁度いい大きさで、雨具もバーナーも入る25Lを買ってみた。
これでしばらくは冬場の県内の山なら十分。
鞍部になった細尾峠から少し登って行くと苫尾峠
ここでも中間歩道通行禁止の案内板が掛けられている。
以前から中間歩道はトラバース道で崩れて歩きにくい場所があった。
また2年ほど前に遭難事故があり危険個所として通行止めになったようだ。
苫尾峠を登り詰めると、四等三角点 苫尾 818.9m。鉄塔広場近くにある
平帽子の三角点は尾根から外れていて見逃してしまったので、
今日初めての三角点とYAMAPの山頂ポイント。
苫尾山からも小刻みなアップダウンは続いていくが、高低差もなく
距離も短く、奥様たちはどんどん先を歩いて行く。
阿讃縦走路はほとんど眺望がなく、ただただ尾根道を歩いて行く道。
独り歩きだと退屈に耐えきれないかもしれない。
木々の間から今日の最終目的地の大相山が少しだけ見えた。
三本松を過ぎ大生峠を過ぎる頃、
そろそろあっちゃんがお昼ご飯を気にし始めた。
大生峠から城ケ丸までの登りは、県境は真っすぐ直登。
縦走路は回り込むようにして道が続いている。
ルリちゃんと私は回り道。あっちゃんはそのまま直登の道を選んだ。
回り道もなかなか急な階段が続いていたが、直登のあっちゃんも苦戦しながら
何とか登り切り城ケ丸に着いた。二等三角点 大滝山 943.3m。
時間も丁度12時なので、ここでお昼ご飯とすることにした。
今日はいつものカップラーメンと別に、会社のお歳暮で頂いた
宮城塩釜のおでんの缶詰を持参。牡蠣でとった出汁がしみこんだ具に
食欲がそそられ、あっという間に三人で完食!
さてさてここからが今日の問題の区間。ブナ峠までの間は大瀧寺の私有地の為
通行禁止と香川県みどり保全課からの表示板ある区間だ。
以前は『歩道以外は立ち入らないでください』と書かれた案内文だったが、
2年前の遭難事故で警察からの事情聴取後に通行止めとなったようだ。
そうすると事故のあったのは中間歩道ではなく、この区間での事なのか。
県も大瀧寺と何度も話し合いをしたようだが、結局通行止めという事で、
香川県勤労者山岳連盟にもその通達が届いた。ただこの城ケ丸からブナ峠までの
区間は、県内で唯一のブナの原生林のある場所。登山道としても、参道としても
素晴らしい景観の残る場所だけに、通行止めは残念なことだ。
連盟によるとこの通行止めは遭難事故によるものだけでなく、
不心得な登山者によって貴重な樹木に名前を彫ったり傷つけたりする人が
過去にいたことも関係しているのではという事だった。
大滝山の山頂は大瀧寺の境内の裏手にある。
大滝山山頂から下って西照神社の駐車場からまた阿讃縦走路が続いていく。
時間は13時前。今日のコースで相栗峠からはおおよそ中間地点となる。
昼食の時間を除くとここまでで約3時間。計画では中山峠までの歩行時間は
5時間30分と考えていたので、残り2時間30分で歩けるだろうか?
縦走路入り口から大きな電波塔を横目に見て進んで行くと、
しばらくは道幅もある自然林の緩やかな下り坂が続いていく。
『こんな道が続くといいね!』とあっちゃん。
しかしそうは問屋が卸さなかった。道はすぐにロープが張られた急坂に。
急坂が終わり更に広々とした尾根道となり、奥様たちのスピードが上がって行く。
するとまた急坂。先ほどまでは木々の間から大相山が目線の高さと
同じくらいに見えていたが、道はどんどん下って行く。勘弁してよ!
積もった落ち葉の量が半端ない。登山靴がすっぽり隠れている!
伐採された木が道に散乱した場所を過ぎ、右手に徳島側の眺望のある場所を過ぎ、
743mの標高点の先の鞍部からは大相山への最後の登り。
大相山への分岐からは緩やかな道が続き、14時20分今日最後の三角点、
三等三角点 桧ノ尾 881m、そしてYAMAPの山頂ポイント4つ目ゲット!
さぁ~ここから残り1時間。『目標3時30分!』と声を掛け合いスタートする。
しばらく歩いて行くと、阿讃縦走路では珍しく笹尾根になる。
そしていよいよ急坂が始まって行く。
中山峠までは下りだけだと思っていたが途中で二か所ほどプチ登坂。
その登りが終わると、本格的なロープのある急坂の下りになる。
奥様たちも落ち葉でグリップの利かない急坂にスピードが落ちる。
相栗峠の急登よりも、こちら側から登ってきた方が大変だったね、と奥様たち。
あまりの急坂に奥様たちに二人が、登山靴の中の指が当たって痛いと言い出した。
何とか急坂をやり過ごし道が里山の道の雰囲気になると、
国道を走る車の音も聞こえ始め、峠にある金比羅神社の屋根が見えた。
時間は15時25分。大滝山の縦走路の取り付きから予定通り約2時間30分で中山峠に着いた。
ここからは私の宿題の区間を除いて、①中山峠~境目、②境目~鵜峠、
③鵜峠~大山、④大山~碁浦と最短で4回で完歩となるはず。
予定通りに事が運べば春までには阿讃縦走路をやり過ごし、
また線で繋ぐ石鎚山から剣山が再開できるだろう。
ただ問題は①の中山峠から以東を妥協せずにほぼ県境を歩くのと、
②の鵜峠の手前のシダとイバラの道。果たして思惑通りに事が運ぶか、
年明けからの再開が待ち遠しい。
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