わずか18,000歩たらずの散策でも、美しくも深い物語が隠されている。自粛の日々、深読みしていこう。
なんでもない 道端の雑草にだって よくみると 天女が舞い降りているように 見えるときがある。カラスノエンドウは、そんなお花。
雑草なんて不遇なグループに仕分けしたのはヒトだけであって、カラスノエンドウは、①土に肥しとなる窒素を供給してくれている、②アブラムシを引き寄せながら、彼らを食べてくれるテントウムシさんたちのような益虫と呼ばれる虫を育ててくれる、③冬の北風から農地となる土壌を守ってくれる、など大切な役割を果たしてくれている。
トチノキの葉が大きな手のひらみたいに開き、花の穂をそそり立たせ、そろそろ花を咲かせよう
としている。その花の甘い香りに誘われて、たくさんの虫が集まり、蜜を持ち帰るハチが、お礼として受粉をさせるのだという。
フランスや英国では、セイヨウトチノキ(マロニエ Chestnuts)の花咲く時を、恋人がカフェのテーブルで愛を語るのだという。(サラボーンの歌声とクリフォードブラウンのペットが甘く奏でる「パリの四月」がよみがえる。)
秋にはたくさんのトチの実をならせ、森の恵みとして様々な動物の命を繋ぐ。ヒトも縄文時代から大事な糧としてきた。
それらの実は、ほとんど他の生き物ののために捧げられ、食べ残しなどほんのわずかな生き残りが、トチノキのDNAを繋いでいく。これが、トチノキの智慧なのだ。
https://youtu.be/2MURTyqwOmA
サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン「パリの四月」
April In Paris, Chestnuts In Blossom
Holiday Tables Under The Trees
Apri In Paris, This Is A Feeling
That No One Can Ever Reprise
四月のパリ チェストナッツの花香る
並木の下のカフェのテーブル
四月のパリの休日に 感じているの
この かけがえのない ひとときを
河原には、オニグルミの花が開いている。同じ樹に真っ赤な雌花と緑の雄花が全く別の場所に同居するが、どうやって雄花の花粉を自分の家と異なる家まで運ぶのだろう。オニグルミにはオニグルミの智慧というものがあるのだろう。
雌花は、受粉したあと、花の数だけのあのかたいクルミの実をならせる。クマも硬くて割れないのだというが、リスはしっかりと齧って、ごちそうにありつく。賢いカラスは、舗装道路にクルミを落とし、ヒトの車に轢かせて、ご相伴にあずかるのだという。もちろん、ヒトは「くるみ割り人形」などを使って、お菓子の友とした。栄養と滋味にあふれた天の恵み。
一方、木質が硬いので、銃床に用いられたのだという。どれだけの木が切られて、どれだけのヒトを殺したのだろう。
オニグルミには、オニグルミの物語がある。
散歩の帰り道、高い頭上で、マヒワの家族が木の芽を懸命に啄んでいる。ベジタリアンの小鳥たち。高すぎて映像がぼけた、自粛の4月最後の日の記念に・・・
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