2020年5月26日、コロナ緊急事態宣言は全国的に解除された。いまだ、国民の99%は、抗体を持っていないとのデータもあり、今後、第二波、第三波の大波が押し寄せると識者は述べているが、この青葉の季節、とりあえず、一応、外出OK、来月から県外移動、6月19日以降は首都圏を経由する県外移動も、「政治的に」、ゴーサインが出たのだ。
そんな日でも、自粛期間と同様に、青葉の森を歩いてきた。2,3時間歩いても、すれ違う人はだれもいないという、静かな森で、鳥の声、花の色などに五感をすませている時間は、「無我夢中」、いわば座禅と同じような時間の流れを体得することができるような気がする。
黒い真ん丸オメメで、真っ黄色のくちばしをした見慣れない小鳥が二羽、森をかすめていった。カメラに収めきれなかった。帰って、図鑑を確認したら、「クロツグミ」のカップルではなかったかと思う。
林道では、サンコウチョウのホイホイも遠くで聞こえた。この森では、ホトトギスやカッコウは聞こえない。なんでも、ホトトギスはウグイスの巣に、カッコウはオオヨシキリ、モズ、ノビタキなどの巣に托卵するそうなので、これらの標的が少ない森には、やってこないのだろう。
この日最後の坂道を登っていると、高らかな歌声が梢から聞こえてきた。何度か位置を変え、歌主の正体を確認してみたら、
「いた!」まぎれもなく幸福の青い鳥、オオルリの♂くん。こちらの存在にも気づかないような一所懸命さで大きくくちばしを開いて鳴いていて、鳴き終えると何者かの返事を待っているかのように首をかしげる。縄張りアピールか求愛か?初心のウォッチャーとしては、その辺の言語解読能力が足りないのだが、あの一途さから察するに、♀に美声をアピールしているのではなかったか。何しろ、オオルリ♂は、その歌唱力によって♀獲得能力を発揮するのだということらしいから。
15分、20分、オイラはその歌主の美声に酔いながら、しばし幸運なひと時をすごした。緊急事態解除の福音の調べは彼によって届けられたのだと、勝手に思い込んだ日。