野を歩く。どこにでも咲いているから、見向きもしていなかったタンポポ。(漢名で蒲公英、英語でDandelion)漢でも、英でも、薬草であってハーブだ。調べれば調べるほど、花も、葉も、茎も、根も薬効があり、花や葉はサラダやおひたし、てんぷらなど、根はきんぴらや炒ってノンカフェインコーヒーとして、それぞれ味わうことができる。
タンポポには、日本列島の固有種、いわゆる日本タンポポと明治以降持ち込まれたという西洋タンポポがあるが、西洋タンポポのほうが繁殖力が高いということで、都市部を中心に爆発的に増えたということだ。だが、過激な気候にはなじまないということで、山奥に行けば行くほど在来種のほうが力に勝るとのことであり、一方的に在来種が追いやられているということでもないらしい。しかし、オイラの徒歩圏内では、圧倒的に西洋タンポポが野原を凌駕しているようだ。
日本と西洋、見分け方は簡単であり、花を裏返して、総苞片という花を根元で包んでいる箇所が開いて反っているか、閉じているか、閉じていれば日本固有の在来種、東北であればエゾタンポポ、関東であれば関東タンポポということになる。
最近は、青葉山のふもとの散策で、これが面白いのでタンポポの花を裏返しては、観察をはじめているが、けっこう日本と西洋が共存している場所が多いことが分かってきた。なんとなく、花が小さく背丈のあるのが日本ということも分かってきた。
山菜のシーズン、本来であればもっと奥山に入って、「山からの贈り物」にあやかりたいところだが、徒歩圏内だと人目に触れ、ましてや〇〇の森などのエリアでは、タブーなのかもしれない。
だとすれば、人目に触れても、堂々と収穫できて体にいいもの、と考えたらターゲットはタンポポ、それも在来種ではなく外来種、環境省指定の要注意侵略的外来種という汚名を冠している西洋の方だろう。戦争で負けた悔しさや、侵略的というと今はやりのウィルス撲滅という国是が深層にあるのかもしれないが、西洋には悪いが、散歩のたびにすこしだけ収穫(退治)させていただこう。西洋は苦みが強く、在来種を勧めている美食家もあるが、多少の苦みは我慢して、保護主義を貫いていこう。。
根までいただけるということは、年中いただけるということで、パンデミック時代の食糧自給率向上のためにも、セイヨウタンポポ、希望の光ともなってくれるかもしれない。
これが日本です。
これが、西洋です。
青葉の森のふもとで、観察を続けているのは、トチノキとホオノキ。トチノキのツボミ、色づいてきた。
ホオノキ。どちらも似たような大きな葉をしているが、ホオノキは互生の単葉が枝の先に集中して、トチノキのような掌状複葉に見えるとのことである。ホオノキもまもなく賢治の愛したマグノリアの白い花が咲くことだろう。観察を続けよう。
草花を、観察し続けていると、突然鋭い鳥の鳴き声。「モズだ!」
写真に収めてきたが、写っていたのは♀、お母さんの方。多分、子育てが始まっており、近づくものに対する威嚇なのだろう。母はつよし!そうそうに、退却した。