かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

赤い実のゆくえ

2021-10-20 14:32:04 | 日記

北海道や青森に住んでいた頃は、よく山から採ってきたいろいろな木の実をホワイトリカーと氷砂糖に漬け込んで「山の健康酒」づくりに励んだ。いや励もうとしたというのが正解。少なくとも半年以上は熟成させてから飲むべきものだが、家に酒がないとチョイチョイ熟成前にいただいてしまい、肝心の薬効がないままカラなってしまうことが多々あり、かえって健康を害する心配もあって自然とやらなくなってしまった。また、いちばん作りたかったのはコケモモやガンコウランといった高山帯の実であったが、北海道のような人気のない広大な植生帯ならまだしも、本州の山で採取することはなにか犯罪めいた気がするので、こっそりとレジ袋にあつめることもやらなくなった。

下の写真のようなナナカマドの実は、どこにでもあって、食べると苦くてだれに見向きもされないが、熟成した酒にすると琥珀色の薬効酒になるということで、北海道時代には、梅酒用の大きなビンに漬け込んで仕上がりを期待したが、琥珀色になる前に例のとおりカラになってしまった。まだまだ苦い酒だったと記憶している。

今の季節だったら、ナナカマドは無尽蔵と言ってもいいくらいあちこちに真っ赤な実を風に揺らしているが、この前吾妻山で見かけたアトリなど苦さを苦にしない一部の野鳥にしか食べられないようだ。もしかしたらもっと熟して干しブドウ状態になれば美味しくなってたくさんの冬鳥たちのごちそうになるのかもしれない。もしかしたら、それがナナカマドの戦略かもしれない。

北面白山を下山中、真っ黒なホウの実が地面に落ちて、真っ赤なタネが顔を出していた。こちらの実は、落ちる前にヤマガラやキツツキなどたくさんの野鳥のごちそうになっているとのことだが、まだ口に入れたことがないし、お酒も造ったこともないが、これも薬効があるとされている。

地面に落ちた真っ赤なタネは、だれのごちそうになるのだろうか。夜間、赤外線カメラを仕掛けていたら、たくさんのネズミたちがやってくるのが確認されるのかもしれない。

動物たちの食べ物とならないでも、ムシやバクテリアの大事な栄養源となって、だれかがすっかりお掃除してくれるのだから、森にはムダという言葉がいらないのだろう。

    

      


深田日本百名山登頂の思い出   33 妙高山(みょうこうさん・2454米)

                34 火打山(ひうちやま・2462米)

妙高山と火打山は、1970年代の後半にセットで登っている。学生時代だから(社会人になっても)経済問題と人だかりを避けるため小屋泊まりはほとんどやらないので、笹ヶ峰から登って、まず高谷地ヒュッテ前に一人用テントを張ってから火打山を往復し宿泊、翌日テントを担いで妙高山に登り、どのコースを選択したか不明であるが、燕温泉方向に下った。燕温泉だったか関温泉だったか、真っ白な気持ちの良いお湯があふれる広いヒノキの露天風呂で汗を流して帰った思い出がある。

そのお湯にもう一度入りたいこともあって、2007年9月に再び燕温泉方向からテント持参で入山。暗くなってから燕温泉について、たしか登山口近くにある露天風呂近くの草原に勝手にテントを設営し露天を堪能した。翌日、妙高山を時計回りに周回し、燕温泉の別の露天風呂に入って帰ったのだが、1070年代の真っ白な気持ちの良いヒノキの露天風呂は探せなかった。関温泉だったかもしれないが、いまだに覚えているのだから、よっぽど気に入っていたのかもしれない。

妙高はともかく、火打山には笹ヶ峰からもう一度登ってみたい。ハイマツ帯がササなどに冒され始めているとのことだが、北限のライチョウ家族がまだ確認されているとのことで、ぜひあって「がんばれよ~」と声をかけてあげたいので。

    

雪倉岳から、白馬大池の向こうになだらかな火打山と右端にのかつい妙高のシルエットを遠望する。

   (2019.9)

   

 

コメント