かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

真面目すぎる日本人の登山文化か

2021-10-30 18:05:38 | 日記

今朝の石丸謙二郎の山カフェに登場していたカナダ在住山岳ガイド谷剛士さんのお話を興味深く聴いた。

日本とカナダのガイドをやっていて山にやってくるヒトビトの登山文化が違うのだという。

日本人が山に登ってくるのは、山頂を目指すため。目的の山に来たらほとんどが山頂を目指さなければとピークハントに真面目なんだとか。

ところが、カナダ人は、山に来たら山頂を目指すヒトもあれば、草原に寝っ転がって帰るヒトや、絵を描いて帰るヒトなど様々で、ピークハントに真面目ではないユルユルなのだととのこと。カナダ人に限らず、いわゆる西洋人の登山文化なのだろう。多様な個性で、同調意識というものもない。

たしかに、オイラも人生の大部分を顧みれば、深田百名山登頂に代表されるように、今日はあの山、明日はあの山に登ろうと計画し、計画の達成は成功、不達成は失敗、という価値観で生きてきた。今度の夏油温泉だって、1日目は牛形山山頂を目指し、2日目は橋が架かっていれば経塚山などとした構想で出かけ、1日目に雨が降って登れないと「ああ、損した」という感覚にとらわれていた。真面目すぎる日本人の登山文化にどっぷり漬かっていたんだ。

今回も雨が止んだ翌日に横岳という計画外の山頂をめざし、それはそれで山頂からの風景を楽しんできたが、あるいは、天気が悪いときでも、ブナの森に傘をさして出かけ、雨の森の音を楽しむことだってできたのかもしれないし、宿の窓から見える雨に濡れて濃さを増した山肌のスケッチを楽しむこともできた。

そんなまじめすぎないユルユルの山歩きをしていけば、成功・失敗という話にはならないのだろう。

だが、昨年の立山や日光では、山頂をめざさない日、湿原散策の日などもあらかじめ計画していたので、あるいはオイラのこころにもすこしづつそのような異文化のユルユル精神が芽生えているのかもしれない。もっと育もうオリジナルで多様な山の過ごし方を。

     

ブナ黄金王国のスライドショーをつくってみた。山頂めざさず三脚を使用すればもっと鮮やかなブナたちを映せただろうに。手持ちだとピントが甘くなりすぎ。


深田日本百名山登頂の思い出    41 草津白根山(くさつしらねさん・2171米)

草津白根山を代表する観光スポット「湯釜」には、昭和53年(1978年)ころ最初の職場の慰安旅行で行っているので、長いこと草津白根山は登頂済みと考えていたが、最高峰本白根山(2174m)の探勝歩道の最高点?が山頂ということを知って、残り百名山を集中的に登っていた2007年6月30日(山頂付近の小石から判明)にその歩道を通って三角点まで行ってきている。

山容があいまいでダラダラした歩道を歩いており、いわゆる達成感というものはなかったが、火山性の砂礫地に美しいコマクサのピンクが点在していて心が慰められた思い出がある。

今日まで知らなかったが、深田さんの文章にもある通り、ふもとの万座温泉は年間営業で一番高いところ(1746m)にある温泉街ということだ。いまさらながら地図を見るとこの山域に芳ヶ平という広大な湿原地帯がある。草津から登って芳ヶ平に立ち寄り、湯釜方面まで歩き万座温泉へ下る名湯をはさんだ静かな旅もまたいいのだろう。高層湿原と世に聞こえた名湯には、山歩きを交えて立ち寄ってみたいし、味気なく登ってきた草津白根の価値をあらためて見出したい。

なお、現在この前の噴火により本白根山探勝歩道は立ち入り禁止となっている。2007年に歩けて良かったとつくづく思う。

       

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